オーディオ日記 第29章 音の泡沫(うたかた)(その17) 2012年3月20日


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DC-901とVoyageMPD(ならびにUbuntu11.10)とのUSB接続はDC-901が認識されないという不調に終わったので、WindowsXPで再トライを行ってみた。Windows環境ではドライバーが用意されていることもあり、Winamp+ASIO4ALLという当方の環境でも問題なく再生。しかしながら、少し微妙なのはサンプリングレートがソース優先ではなく、DC-901側で固定に設定されてしまうこと。サンプリングレートの設定自体はドライバー同様に付属のソフトウエアで行うのであるが、44.1KHz~192KHzのいずれかを選択する方式で、説明書によれば、ここでの指定のサンプリングレートに変換される、とのこと(ただし、DC-901上は表示等は一切無いので、実際にアップサンプリングはPCのドライバー部分で行われているのか、DC-901内部のサンプリングレートコンバータで行われているのかは把握できない)。まあ、192KHzにしておけば、44.1KHzであっても192KHzにアップサンプリングしてくれるものと考えれば良いのだが、ソースのサンプリングレート優先の「AUTO」の機能が欲しいところではある。
この点を除けば、PCオーディオには勿体無い位のUSB DAC(試聴においてはWinamp側を44.1KHz出力、設定を192KHzで行ってみた)と云えるであろうか。現在合わせてテストしているQA550との組み合わせでも同じことだが、デジタル機器においては「価格のバランス」など無用ということかもしれぬ。

DC-901も大分聴き込んで耳に馴染んできたので、改めてEM-DAC4399Octと音楽を楽しむ、という観点から比較してみた。今回は切り替え試聴ではなく、DAC以外の環境を全く同じ(QA550から同軸送り出し、DACからはバランス出力。なお、QA550は電源入力系のダイオード除去、オプティカル出力停止の改造を行っている)として都度ケーブルの接続変更を行っての聴き比べである。
まずはクラシック、Mozartからスタートしたが、DC-901はやはりこの類のソースには非常にマッチしており、音楽を聴くということを文句無く楽しませてくれる。確かに多少穏やかな気がしなくも無いが、その分、弦との相性は極めて良い。切り替えて比較すればEM-DAC4399Octの方が鮮明度は優っているように思えるが、自然で心地よく、低域の見通しの良さという観点ではDC-901に軍配であろう。ピアノは鮮鋭さが逆にEM-DAC4399Octに分がある。ボーカルはDC-901が好ましく思えてきた。総合的にどっちが好みかと問われれば、価格を抜きにしてもDC-901であろう。これは初日の感想とは異なるものとなった。最初の印象とじっくり聴いた後の判断はあまり異なることはないのであるが、今回は違った。DC-901の良さがじわじわと効いてきているようだ。これは今後の方針を定める上で何とも悩ましいこととなった。今回はDC-901単体なので、SACDの試聴ができていない。SACDをDP-900との組み合わせで聴いたらおそらくノックアウトされてしまうかもしれない。

ただし、何とも悔しいのはVoyageMPDでのUSB接続が出来ないこと。メインのデジタルドランスポートが現状VoyageMPDである当方にとって、これが出来ないことが心理的にも「逝ってしまう」ことを阻止してしまっているかもしれない。普通にUSB DDC等を別に介して接続すれば良いではないかとも思わぬではないが、せっかくUSBインターフェースが付いているのに、という気分である。いずれにしてもES9018のポテンシャルは大分掴めてきたように思うので、この先デジタルの出口部分をどうするか、改めて楽しみも増えたと云える。密かにEM-DAC9018Qの完成を心待ちにしている身としては、このEM-DACがあまり有名になってしまっても困るのではあるが。


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