オーディオ日記 第29章 音の泡沫(うたかた)(その15) 2012年3月16日


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QA550とDC-901という構成で聴いてみた。QA550は無改造、電源のみエネループである。本日は初日ということもあってまずはQA550でひとしきり聴き慣れた音楽を聴いた。価格的にはアンバランスこの上ないが、奏でられる音楽はやはり極上である。

Accuphase DC-901 NO.2

DC-901のインプレッションとしては、実在感のある低域、澄み渡る高域という稚拙な表現では表せないくらい、安定感のある精緻な音を聴かせてくれる。何処と言って注文を付けたくなるようなことも無く、ただただ音楽に浸れる。接続ケーブルには敏感に反応する。この再生能力はレファレンスとしての価値が物凄く高い(価格ももちろんであるが)と思う。一方でQA550は円高のピークと思われる時期に香港のQLSから直接購入したので、送料まで含めて11,000円を少し出るくらいであるが、この金額差というものをほとんど感じさせないようなトランスポートとしての音の良さがある。ただし、物としての作りに関しては天と地ほどの差があるのはやはり経済原則と云うべきか。元々当方はAccuphase ファンなので贔屓目もあるが、DC-901の作りの良さときたら手元にどうしても置いておきたくなるような出来栄え。多分DP-900と並べて置くとしたら立派なことこの上なく、所有欲は大いに満たされるだろう。ただし、今はQA550との組み合わせで、出てくる音の一本勝負である。堂々と渡り合えるQA550の実力も素晴らしい。

さても気になるのは我家のEM-DAC4399Octとの比較である。DC-901をアンバランス接続、EM-DAC4399Octをバランス接続とし、プリアンプ(C-290V)にて切り替えて試聴できる構成として、接続方式とケーブルの違いがあることは承知の上で聴き比べを行ってみた。始めの想定ではDC-901の方に強靭な音の印象があるのでは、と考えていたが、この先入観はちょっと違っていた。想定していたよりもEM-DAC4399Octの方に力感があり、比すればDC-901は穏やかである。弦や女性ボーカルでもやはり当初の思い込みとは違い、EM-DAC4399Octに僅かに輝かしさや艶やかさが感じられる。DC-901は極自然である。我家のスピーカーユニット(SUP-L11とSUP-T11)はどちらかと云えば表現がおとなしく、押し出しが強くないユニットなので、その性格がDC-901ではストレートに出てくるのかもしれない。従ってEM-DAC4399Octの方が個性がはっきりしているように感じられる。このため、聴きなれているというアドバンテージもあろうと思うが、我家のシステム構成における初日の印象では、EM-DAC4399Octが相当良い勝負をしている(自分的には好ましい)、という結果であった。ただし、まだES9018のポテンシャルを引き出せていないし、DC-901の本領発揮には至っていないと思う。本日より一週間程度の試聴期間があるので、さらにDC-901をいろいろな環境(音質向上の改造を行ったQA550との組み合わせ等)で比較試聴・テストする予定としている。大変楽しみである。

ただし、このDC-901残念な点も無くはない。せっかくUSBインターフェースを持っているのであるが、我家のLinux(VoyageMPDならびにUbuntu11.10)ではいずれもDC-901を認識してくれない(当方の環境セットアップに何らかのミスがあるのかもしれないが)。VoyageMPDとDC-901とのUSB接続には非常に大きな興味を持っていただけに大変残念な結果である。自宅試聴の前にAccuphase社にも直接照会してみたが、Linuxとの接続については、「未テストであり接続の実績無し。是非とも実地にテストされたし」との回答であった。Mcintoshはドライバー不要なので、LinuxでもUSB Audio 2.0で何ら問題なく接続できるものと密かに期待していた。たとえ192KHz対応が不可でも、UBS Audio 1.0により96KHzまでなら大丈夫のはず、とタカをくくっていたのだが実のところ認識すらしない、という結果になってしまった。DC-901はUSB InterfaceのチップにTENOR TE-8802Lを使用しているため、ファームウエアによってLinuxの対応が分かれることは事前の調査で掴んではいたが、全く認識しない、とは正直意外であった。 (同じチップを使用した製品を出している他のメーカーにも照会したが、TENOR TE-8802Lは「古いファームウエアであればLinuxとの接続はOKであるが、最新のファームウエアの場合は不可」とのことであった。ちなみにこちらのメーカーは「発注時にその旨云って貰えればLinux接続可能なファームウエアで出荷する」との回答であった、為念)もう少しトライしてみようと思う。それでもだめだったら現行環境ではないがWindowsXPを試してみようかと考えている。

もちろん、VoyageMPDからPCIカード経由のデジタル出力ではDC-901の優れたパフォーマンスは充分堪能できているのではあるが、せっかくUSB Interfaceがあるのに使えない、というのは何とももどかしいものである。

Accuphase DC-901 NO.3 Accuphase DC-901 NO.1


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