オーディオ日記 第29章 音の泡沫(うたかた)(その10) 2012年2月10日


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スピーカーのメカニカルグラウンディングを実施した後の調整を続けている。物理的にはスピーカーボックス自体は微動だにしなくなった。100Kg以上あるスピーカーでも上部を押せば僅かにではあるが揺れていた。背面の支柱の効果は思ったより大きい。今から思えば微細な揺れを排除し、できる限り強固に固定すべきであった。このメカニカルグラウンディングの効果は低域の音のピントに現われてくる。一聴では低域の量感が減ったようにも感じられなくはなかったが、逆に音量を絞った際にも音が痩せてこない。最低域までをしっかりと確保しながら、量感にあふれた滲みのない低域を再生させるのがこの対応の目標であったが、このあたりはまずまず及第点と思う。milonさんの音と比較するとさずがにALTECのユニットのような「軽々とした響き」が出せないのは、SONYとALTECのユニットの違いとは思うがちょっとこの辺りはもどかしい気分が残ってしまう。515のユニットは良いなあ、と思いつつググってみると、なにやらALTEC 515の復刻製品が Greate Plains Audio というところで製作されているらしい。日本では コイズミ無線 ヒノオーディオ でアルニコバージョンの515Cの取扱いもあるようである。 ALTEC 416-8Aを卒業し、SONY SUP-L11にたどり着いた長い経緯もあるのだが、ちょっと浮気(古巣に戻る?)をしてしまいたくなるような気持にもなるなぁ。

さて、メカニカルグラウンディング実施後の微調整であるが、音楽再生は、CD、PCオーディオ、アナログの3種のインプットで総合的に行っており、今回はアナログの比重を高めにし、特にアナログ再生での声の帯域を重視した。転居後の我が家のリスニングルームは、スピーカー背面がコンクリートの壁であること、リスニングポイント後方の空間がかなり広いこと、の相反する条件から納得できる周波数特性と量感を満足させる低域の再生に多少難しい点があった。このため、低域、中域のクロスオーバー周波数やスロープ特性なども含めてあれこれいじってきたが、ボーカルの気持ち良さがやっとこ合格点か、というレベルに留まっていた。今回の対応により、低域から中域にかけての音の滲みが解消された効果と推察するが、ボーカル再生の調整が非常にやり易くなった。やはりこの点は低域のコントロールにおいて何らかの問題があったと考えられる。ただし、置き場所、位置取り等の基本セッティング、マルチアンプの環境設定仕上げた後、さらに完璧な調整に近づけるためには、やはりデジタルイコライザが必要であった。

新環境においてはシンプルな再生環境・構成とするためにも、何とかデジタルイコライザをお役御免にできぬものかとあれこれトライしてきたが、最終的な音楽としてのバランス、声のプレゼンスやリアリティなどボーカル再生の納得感を追い求めると、どうしても微調整による三山特性が欲しくなってしまった。イコライザによる調整ではまだまだ修行が足らぬと思わざるを得ないし、若干の悔いも残る。ただし、これらの結果としての音楽は、まだまだやることは多いと思うものの、久々に「脳天痺れ感」を味わっている。


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