オーディオ日記 第29章 音の泡沫(うたかた)(その5) 2011年12月27日


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新環境において、ベストを目指すべく調整を進めているので、それをまとめ的に記載しておこうと思う。

1.デジタルイコライザーの使用停止
転居以来、部屋に合わせた微妙なスピーカーの調整を続けてきたが、イコライザによる補正量が結果としてかなり僅少となってきたこともあって、思い切ってデジタルイコライザを接続から外した。これに合わせて、中高域の若干のレベル調整やらを実施した。結果であるが、これが新たな環境にマッチして存外によろしいと感じている。トランスポートやPCからダイレクトにDACへの入力となるので、接続のシンプル化ならびに途中でのデジタル処理が介在しないメリットと周波数補正のメリットが結果としては差し引きとなるのであるが、今回はやや前者が優ったと云えるであろうか。従来はデジタルイコライズするためにその前段階で24bit/96KHzへアップサンプリングを行わせていたが、現状はDACにてD/A変換の直前で192KHzへアップサンプリングさせるだけ。当然ながら、接続や構成は本来的には「シンプル・イズ・ベスト」なのであるが、今までは部屋の影響もあり、イコライズの必要性を感じていた。おそらくこれは部屋の形状にも影響を受けているものと思う。転居前の部屋は、天井はやや高いのであるが、比較すれば背面のエアーボリュームが小さく、スピーカーサイドの背面の壁は木造住宅なので石膏ボードであった。この背面の石膏ボードは音響処理としては結構マイナスが大きい素材であると思う。自分なりにいろいろと吸音その他工夫してきたが、結局はイコライザ頼りとなった経緯がある。現在は部屋のエアーボリュームが従来比1.5倍となり、スピーカーの背面は(多少距離を離して混濁感が出ないように留意しているが)コンクリートである。これにより、最低域の持ち上げを行わなくても、音の充実感が出せる。合わせて、リスニングポイント背後からの反射がかなり減少していると推量(リスニングポイントから背後の壁までが5m程度の距離)され、2~3KHzあたりの一番コントロールが難しい部分をいじる必要性を感じなくなったことが大きい。また、最近の傾向としては従来ほどには大きな(?)音量とはしないので、多少の暴れは残っているが、余り気にならないということかもしれない。なお、ずいぶんと長い間マルチアンプのクロスオーバーポイントは変更していなかったのであるが、今回のデジタルイコライザの使用停止に関連して、三山特性を意図的に作れなくなるので、声の帯域を重視したいがために、650Hzから800Hzへクロスオーバー周波数も変更してみた。スロープ特性は-24dB/Octでこれは変えていない。

このような変更・調整の結果の音であるが、家人より「音楽を聴いているよりは、ほとんど寝ている」と評されてしまった。家人から見ればこれは皮肉なのであろうが、当方としては「わが意を得たり」である。まあ、この寝ている、というのは音量が多少控え目になっていることもあって、ついついとろんとしてしまうのであるが、つまりは気持ち良い音と云えるであろうか。シンプルな構成にしたことによるEM-DAC 4399Octという稀有のDACの本領発揮なのかもしれない。あるいは単なる年齢(老化現象?)の影響であるやも知れず、であるが、まあこの設定状態も「生理的に」満足できる状況にあるということであろう。

2.メインPCにおける再生環境
新たなPCルームは従来のように単独のパソコン部屋ではなくなり、ベッドなど置かれた居室兼寝室とならざるを得ず、ちょっと寂しい。こちらにもいろいろと考えねばならない事項があるのだが、各種OS等のテストに使用していた古いマシンがこのところ大分不調となってきた。このマシンにはVoyage MPDとUbuntu11.10を同居させているので、この不調はちょっと痛い。完全に立ち上がらなくなっている訳ではないが、うまく立ち上がらなかったり、BIOSの設定が飛んでしまったりと、この先そう長くは持たない感じである。この際、新たなパーツを調達してみようかと思いつつ、それまでにいろいろな環境の移行や実験を行っておかねば、ということから、以下を実施してみた。

1.WindowsXP環境のメインマシンにUbuntu11.10をインストールし、デュアルブート化する。これに伴い、従来はVISTAとのデュアルブートとしていたが、VISTAは使用は停止(WASAPIの試験にしか使用していないので)した。XP(Winamp)とUbuntu(mpd)は同一の内蔵HDDに置いた楽曲ファイル(NTFS)をシエアーして使用するという、敢えてNASを使用しない簡易的な環境とした。本来的には、SSDによる起動ディスクとNASにおいた楽曲ファイル、という構成(現在Voyage MPDによる再生専用のHTPCがこの構成をとっている)がベストと思うのではあるが、NASにおいてはデータの転送速度が遅いというデメリットがあるので、PCルームではそこまで音にはこだわらず、作業性を優先した次第。

2.テスト用PCでは、FEDRA16を試験的に導入し、Ubuntu以外のLinuxでのmpdの稼働や操作感を確認した。Ubuntuは11.10以前からUnityによる操作性を全面に打ち出して来ているが、当方はこれがあまり好きではなく、あえて現状はUbuntu Classicのモードで操作していることもあって、ちょっと他のLinuxの操作性を確認するという浮気心からである。まあ、単なる慣れの問題や好き嫌いであるが、FEDRAも悪くないし、XMOSも正しく認識される。常用環境とするかどうかはもう少し弄ってみてから決めようと考えている。

ところでPC環境ではWindows7への対応をぐずぐずしているという状況にある。これはVSITAが決定的に嫌いであったことから、Windows7に対しても気乗りがしない、ということが大きな理由。このような背景もあって、当方のPC環境をこのところあまり更新・強化してこなかった反省もあるので、そろそろ重い腰を上げねばならない。 ONKYOのサウンドカード(SE-200PCI、SE-150PC)とも64bitOS環境でのドライバも出ていることが確認されたので、Windows7に対してもちょっと前向きに考えている。そうなると、最新のCPUやマザーボード、これに合わせたメモリーの調達がセットになるので、まあ、お正月をのんびりとPCいじりで過ごすのも悪くないかと考えている。Windows7とWASAPIはPCオーディオの観点からはどうなんだろうか。WASAPIはVISTAでの実験レベルに留まっているので、興味はあるのだが。


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