オーディオ日記 第28章 オーディオへの想い(その9 ) 2011年 8月27日


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Voyage MPDをベースにシングルボードコンピュータにて廉価なネットワークオーディオ機器をミュージックサーバーとして仕立てる計画は、XMOSの到着待ちにて進んでいない。このため、手持ち無沙汰もあり、今後の楽曲ファイルのフォーマットがどのように展開していくのか、つらつらと考えてみた。インターネットを介したダウンロードがさらに活発になっていくことが想定され、ハイレゾ分野ではFLAC形式が主役になることは間違いないと思う。既にLINNやHD Tracksなどハイレゾファイルを配信している各社もFLACを中心と考えているものと見受けられる。当方は大分前から楽曲ファイルはFLACに一本化しているので、この流れは的を得たものと考えている。ただし、ハイレゾ音源については、96KHz、192KHz/24bit(あるいは88.2KHz、176.4KHz)のロスレスPCMデータなのであるが、Amazon(MP3)やApple(AAC)など大量に販売することを目論む企業は既に別の流れを作っている。販売量やデータ量との兼ね合いなどもろもろの思惑も絡んでのことなのであろうし、著作権ならびに価格と音質というバランスを見ているのかもしれない。幸いにもPCオーディオ、ネットワークオーディオいずれも主要なファイル形式はサポートされるので、現状破綻はないが、どうもこの辺りの覇権争いは今後も続き、統一されることはなさそうに感じる。

楽曲の選択肢が豊富という観点からはAmazonやAppleを凌駕することは多分難しく、ハイレゾ音源配信はニッチに留まってしまう可能性もある。当方もCDにて手に入らないような曲はロッシー圧縮のMP3であっても我慢して購入せざるを得ない(もちろんその後FLACに変換してライブラリに加えてはいるが)。多くの音楽愛好家にとって、256K程度の不可逆圧縮の楽曲ファイルは適度な品質と価格と云えるのかもしれない。本音を言えば、AmazonにはFLACで販売して欲しかったのであるが、iPod/iPhone系がAppleの戦略によりFLACをサポートしていない現状ではマーケット規模からして、それも出来ない話であったろうと思う。

一方の高品質の雄であるSACDのDSD形式(あるいはDSFファイル)はメディア販売の形式に重きを置き、過去の販売スタイルから脱却できなかったため、非常に分が悪い。音質的にはDSDがベストと思うが、SACDにおける著作権保護を過剰に意識した「デジタル出力の制限」が大きな足枷になってしまっており、これを劇的にブレークスルーする方法はもう無いのかもしれない。音質の観点で考えるとこれはとてももったいなく、残念なことでもある。過去の貴重なアナログ音源もDSD形式に変換、販売・配信という構図がもっと早くできれば、と今更ながら思う次第である。ただ、新たな録音自体はDSDにて行われることは別のテクノロジーが出てくるまでは続くだろう。一方で新譜のリリースがSACDでいつまで行われるのか確かではなく、SACD自体ももニッチの世界となってしまうのか大いに心配している。

FLAC形式によるハイレゾ配信であるが、手放しで評価出来る訳ではない。44.1KHzの音源を単にアップサンプリングして販売しているケースも皆無ではないし、過去のアナログ名盤をその人気にあやかって高額で配信しているようにも感じる。また、HD Tracksとて、SACD盤として販売されているものをハイレゾFLAC化したものではないか(これは当方の邪推である)、と思えるほど、音源のバリエーションが少ないのも残念なことである。

一方で、LINN Recordsが好ましいのは新しい音源を録音・作成し、それをSACDで販売すると共に、PCM音源にダウンコンバートしたものを配信している点である。ただ、この場合、当方としては、価格差が小さいこともあり、どうしてもSACD盤の購入に走ってしまうし、その方が「ショッピング」としての満足度はやはり高い。

このようなもやもやっとした状況から、現在の当方の購買に係わる構図は差し詰め以下となろうか。
1.過去のアナログ盤はアナログで聴く。(PCオーディオでEasyに聴きたい時は自分でFLAC化したものを)
The Eagles, Hotel California
2.アナログ盤を所有していないものはハイレゾ FLACファイル を購入する。(CDで持っていることが多いが)
3.(CDが出ておらず)ハイレゾ音源もなければ、ロッシー圧縮音源でも我慢する。
4.新しい音源はなるべく SACD (ハイブリッド盤)を購入する。
5.最後(?)の選択肢として、CDを購入する。
(最後とは云っても実際はこれが一番多いのであるが)


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