UbuntuStudio11.04 + mpd の起動ならびにシャットダウンの安定性を求めてかなり四苦八苦した。流石にここまで苦労するとは思わなかったが、やはり音楽を心置きなく楽しむためには安定した動作が安心感のためにも、気持ち良さのためにも非常に大事であるので、とことんこだわった。結論として、我が家の音楽再生専用PCとは相性が悪いのか11.04 Nattyはギブアップせざるを得なかった。インターネット上の情報を参考にあれこれ試すも一向に改善しない。ある程度見えてきた事実はどうも11.04はこの辺りにバグがあるらしく、大方苦労している様子である。この一両日、結構な時間を費やしたが、解決に至らず。根本的なバグであれば、当方レベルがいくらあれこれチャレンジしてみてもしっかりとしたLinuxの技術がある訳ではないので、詮無い話である。かなり悩んだ上で、せっかく環境構築した11.04をあきらめて、以前のバージョンにへ戻すことを決意。このため、現状はUbuntuStudioは10.10でもなく、それ以前の10.04をベースとしたシステムとなった。(旧バージョンのISOファイルを保存しておいたことが幸いであった)なお、調査対応の中でいろいろ確認、判明したことを以下に為念、記しておく。
1.ATIのグラフィックチップを使用し、HDMI接続にてTV(当方のケースでは50インチプラズマ)をモニターにしている場合は
(a)TVの画面から表示領域がはみ出し、一部の領域(僅かであるが)が見えなくなる。これは表示領域のスケーリングの問題である。(ATIグラフィックチップに固有に起こるドライバー問題らしい)
(b)表示領域はATICCC(Catalyst Control Center)にて設定すればスケーリングを合わせることが通常は出来る。ただし、この機能は旧製品となったビデオチップをサポートしていないため、我が家の機器ではこのスケーリングの問題に対応できない。(新しいマザーボードあるいはグラフィックカードに購入し直せば済む問題かもしれないが、あまり意味がないので)
(c)11.04では起動がかなり不安定となる。これもATIのグラフィックチップとドライバーの相性に係わる問題のようである。いくつかの対応事例がネット上にあったが、それを参考にしても結局解決せず原因不明である。これが音楽再生専用PCでは一番の泣き所となって、11.04を諦めるに至った。(ちなみに、メインのデスクトップPC(XP、VISTA、Linuxのトリプルブート)、Linux実験専用PC(デスクトップのお古)、ノートPC(XPとのデュアルブート)にも11.04を導入しているが、こちらは全く問題なし。音楽再生専用のPCのみこの不調なのは一体何故?という気分である)
2.パワーオフに際して、電源ボタンを押した場合(「/etc/acpi/events/powerbtn」)、終了を確認するシェルの起動がデフォルトであるが、モニター、キーボード、マウスなしのブラックボックス化への対応を行いたいため、直接「/sbin/shutdown -h -P now」を発行するようにこれを変更しているが、延々と電源が落ちないケースが結構な頻度で起こる。
(a)これは必ずしも11.04固有の問題ではなさそうであり、楽曲ファイルを無線LAN経由でNASに置くため「/etc/fstab」にて自動マウントしていることによる問題と思われる。手動でアンマウントさせてから、シャットダウンに入るのが最善ではあるが、それではブラックボックス化にならないので、これも泣き所となる。なお、11.04以前のバージョンであれば多少の時間はかかるケースもあるが電源オフは行われる。
(注記)念のため、電源ボタンが押された場合、shutdownコマンド発行前に、mpdの停止、NASのアンマウントを行わせる処理を10.04にも入れて様子を見ているところ。
mpdの設定に関する情報によれば、サンプリングレートは楽曲ファイルに(デフォルトで)従うようであるが、我が家では44.1KHzの音源がどうしても大半なので、これを88.2KHzにアップサンプリングさせる指定「output_format "88200:24:2"」としている。ただし、この指定を行うと一律に当該サンプルレート設定に従ってしまうので、96KH音源が多いケースであれば「output_format "96000:24:2"」としてしまった方が良いかもしれない。88.2KHzが96KHzにリサンプリングされてしまうのは意味があまり無く、ちょっと気持ちが悪いと思うが。
なお、デジタル出力はmpdにて88.2KHz/24bitにアップサンプリングしているのであるが、サンプルレートコンバータの品質が
mpd.conf
で選択・指定できるので、ベスト品質となる「samplerate_converter "Best Sinc Interpolator"」を当然ながら使用している。なお、デフォルトは品質の劣る「samplerate_converter "Fastest Sinc Interpolator"」のようなので、注意が必要と思う。
総じて、PC環境に完璧さを求めすぎるのかもしれないが、やはり音楽を聴く、ということを心安らかに楽しむためには、PCがうまく立ち上がらなかったり、落ちなかったりでは、フラストレーションが溜まってしまう。特に、PCはブラックボックス化を目指しているので、支障がある際にはモニターとなるTVのスイッチを入れたり、キーボード、マウス(いずれもワイヤレスであるが)を引っ張り出したりと煩雑なことこの上ないので、完璧にしようと考えた。基本はmpdのみ、しっかりと稼動してくれれば良いので、気持ち的には最新バージョンを使いたいのは山々であるが、そこは敢えて割り切ることとした。ただし、ここに至るまで、問題の切り分け、事例情報の収集、再現テスト、異なるバージョンのUbuntuStudioのインストール、環境設定と正に悪戦苦闘、夜を徹して(?)結構な労力を払った。このような点で、PCオーディオというのものは時として深くて暗い穴倉に引きずりこまれるような錯覚にも陥ることがある。これもまた、一段落に至れば楽しい面もあるが、バグ等に泣かされることもあるというPCオーディオの影の部分なのかもしれない。
どこかで、Voyage MPDをプレインストールしたコンパクトなPCを売っていれば、それを購入した方が良いのでは、などと思わず考えてしまった。実際に売っているのかな? ちょっと自分の主義には反する点もあるが、苦労している時間も勿体ないので探してみようかとも思う。
と、思っていたら、
こんなもの
があるらしい。現在未入荷のようであるが、無線LANも使えるとのことなので、興味津々。ただし、USB DAC専用みたいなので持っていない当方としては、ちょっと悩ましいか。
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