オーディオ日記 第27章 この先にあるものは (その12) 2011年7月5日


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mpdによる再生環境のブラッシュアップを進めている。結局メインシステムの再生専用PCのSSDにパーティションを切って、XPと同居させる構成とした。まだ完全にはXP+Fidelizerの環境は捨て切れないので、一応Dual Bootとして確保しておくつもり。再生に際しては、mpdにて88.2KHz/24bitへアップサンプリングさせたデジタル出力を直接DEQに入力し、現在のところはDDCをバイパスして使用している。これは、今後のハイサンプリングレートの楽曲ファイルへの準備段階としても考えており、また機器構成も少し簡素化しようという意図のもの。アップサンプリング、ビット数拡大をさせてもCPUの使用率等それほど問題はなさそうである。ただし、暑い時期なので、CPU温度にはちょっと注意を払う必要があるが。なお、楽曲のオリジナルのレートに合わせてサンプリングレートを変動させる方法には未だたどり着いていない。88.2KHz、96KHz、176.4KHz、192KHzと多様化しているので、それをリサンプリングしないで再生することを考えたいのであるが、後段のDACやマスタークロックジェネレータでの対応も考えるとやはりどこかで一律のサンプリングレートにしないと塩梅が悪いかもしれない。

また、mPODとの組み合わせによる操作性が思った以上に快適で、音のみならず、Winamp + Wmoteの組み合わせよりスピーディさという点で操作性も優っているように思う。作成したプレイリストの管理がmpdにて一元化されているので、Arioからでも、mPODからでも同じプレイリストを共有し、それぞれから同時に自由に操作できる点は、Winamp本体からの操作、Wmoteでの操作と基本的には同じでありがたい。なお、NAS上にある楽曲ファイルを検索しながら、適宜プレイリストに投入する機能については、Wmoteの方が少し木目細かいので、今後のバージョンアップ等に期待したいところ。

mPODおよびLinuxのmpdクライアントからの操作には全く問題ないのであるが、Windows用のmpdクライアントを2種類(ArioとGMPC:Gnome Music Player Client)を試してみたところ、いずれも日本語タイトルが文字化けしてしまう。Arioの場合は操作画面も一部文字化けしてしまうなど、ちょっと使えそうにない。これは残念である。GMPCは楽曲タイトル(タグ情報)のみの文字化けなので、プレイリストの選択やスタート、ストップ操作程度であれば、まあ我慢できないことも無い。Windows環境にて作成したFLACファイルをNASに置いているにも拘らず、この文字化けである。逆にLinux環境のArioやmPODでは不思議なことに、日本語タイトルの文字化けは起こらず、全く問題ない。文字コードの問題とは云え、いやはやこの互換性の問題は奇奇怪怪な状況であると思う。

はてさて、肝心の音である。環境が整い聴き込もうと思っているのであるが、この暑さである。昼間からクーラーをかけて部屋にこもるのはちょっと気が引けるし。さりとて、汗をかきながら音楽を聴くのでは、素直に楽しめないし。夏はやはり音楽の季節というよりはスポーツの季節か。

ところで、mpdの音はやはりどこかXP+Fidelizerの音とは違う。差は僅かであるとは思うが。音楽の静けさ、艶やかさがより醸し出されるようで好ましい。しかし、これが完璧かと問われれば残念ながら決してそんなことは無い。CDトランスポートは衰退の一途なのかもしれないが、良いCDトランスポートで聴く音楽は決してPCオーデイオに負けてはいない。LINNの新しい超高額なDSはまだ耳にする機会がないが、これも試聴をチャレンジする必要があると思っている。mpd環境作成において、多少苦労したこともあるが、PCオーディオで至上を目指すのは、結構大変なことが多い。普通の人が、ここまでPC環境をあれこれ調べて対応できるだろうか。途中で引っかかってしまえば、挫折する可能性も高いと思う。その意味ではNASの音楽データを単純にデジタル出力してくれるネットワークオーディオ機器(+iPODやiPADでのリモコン操作の組み合わせ)が今後普及していくのではないだろうか。機能的には専用的なネットワークオーディオ機器であっても、中身はPCオーディオと原理的に異なる訳も無く、組み込み型のLinuxなどがはいっているものと思う。(LINNのDSはどうなっているのかは浅学にして不明であるが)
いつも思うことであるが、汎用的なPCがオーディオ機器になった時に、価格が信じられないほど高額になるのが、残念である。これはUSBインターフェース等にも当てはまり、USB DDCやUSB DACが機器の中身に比してこの価格なのかと、信じられない思いもある。良い音を出す環境を作るのは非常に難しい。また、それを的確に判断するのも難しい。しかし、価格が高ければ良い音がする、と言うのはデジタルオーディオの世界では当てはまらないのでは、と当方は考える。少量生産の趣味の機械だから高くなるのは止むを得ない、という理屈は充分理解しているのであるが。

さて、mpdベースのPCオーディオにおいて、一区切りまで来たが、もう少しチャレンジしたい点もある。ひとつは超軽量化Linuxでの対応、もうひとつはPC本体の無音化である。前者はVoyage MPDなど候補となるが、Linuxの知識の観点からは当方にとってはかなりハードルが高い。後者は機器としてのデザイン、形状にもこだわって、いろいろな候補を考えてみたい。


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