オーディオ日記 第27章 この先にあるものは (その5) 2011年5月13日


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当方の常用しているLinuxディストリビューション(Ubuntu Studio)が10.10から11.04にバージョンアップされたので、デスクトップ機(Linux専用)とノートブック(XPとデュアルブート)についてそれぞれ更新を行った。この作業後、全く同じ構成のPCでOSの違い(Linux、VISTA、XP)による音の差があるのか確かめてみたくなった。現状リスニングルームにある音楽再生専用PCはXPベースであるが、この環境は大分チューニングしているので実験用にはあまりいじりたくない。メインマシンとして普通に使用しているPCはうまい具合にXPとVISTAのデュアルブート環境である。このメインマシンをLinux(Ubuntu Studio 11.04)も稼動できるようなトリプルブートの環境にし、この聴き比べをしようと思いついたもの。トリプルブート環境であれば、ハードウエア構成はオーディオインターフェースも含めて当然ながら全く一緒なので、純粋にOSやドライバー等のソフトウエアの差を確認できると考えた。再生ソフトウエアについては、すべてのOSで稼動するソフトウエアは、常用しているものの中には残念ながら該当するものがないので、この部分は仕方なし、と諦めた。(敢えて同一ソフトウエア、ということであればAudacityが該当するが、これは再生目的にはちょっと合致しないので除外した。まあ、どっちにせよ、少し馬鹿げた実験かもしれないし)

①WindowsXP Winamp + ASIO4ALL
②WindowsVista Winamp + WASAPI
③Ubuntu Studio Rhythmbox+Pulse Audio(HPETは為念onとする)
(注記)MacOSが対象に無いのはAPPLEがFLACをサポートしないため。

比較に際しては、条件を合わせる必要があるので、以下のように考えてみた。
1. 同じNAS上にある同一楽曲ファイルを有線LAN経由で使用。
(比較は16bit/44.1KHz、24bit/96KHzのFLACとWAVのそれぞれで実施。なお、UbuntuのPulse Audioはデフォルトのままだと、24bit/96KHzの楽曲ファイルも16bit/44.1KHzとしてしまうので、ビットレート、サンプルレートの設定を変更してある。変更内容は /etc/pulse/daemon.confの設定をそれぞれformat=s24le 、sample rate=96000とする。逆にこの設定だと16bit/44.1KHzの音源も、24bit/96KHzに変換されてしまうため、サンプルレートが混在した楽曲ソースをオリジナルのレートで再生する方法については、まだ把握できていない。この設定をいじるというやり方は多分に実用的ではないと思う。)
2. ソフトウエアによるアップサンプリング等は実施せず。DSPプラグインも使用しない。  (なお、Windows環境の①、②ともプロセスの停止など特別なことは実施していない)
3. オーディオインターフェース(ONKYO SE-150PCI、これでDA変換する)から先のオーディオ部分はサブシステム環境(Accuphase E302とPioneer S955)とし、アンプのボリュームも全くいじらずにおく。


比較試聴に用いた楽曲は以下の通り。
16bit/44.1KHz音源: 手嶋葵 The Rose (extra version)
24bit/96KHz音源 : Mozart Violin concert No.5 (LINN 24/96 FLAC Down Load版)


Windows環境での音楽再生はかなり聴きなれているものの、①XP+AISO4ALLと②VISTA+WASAPI の差は実はこれまでもほとんど判別できていない、という駄耳の持ち主なので、Linuxとの比較が本当にできるであろうか。ちょっと心配ではある。ということで、まずは③Linux (Ubuntu Studio)から試聴開始。ぱっと聴きではボーカルが自然で柔らかく、とても良い。おお~っ、やっぱLinux頑張るじゃん。音楽がすっと広がって固まらないところはアナログにも通じるか。24bit/96KHzの音源でも誇張感はほとんど感じない。実は、24bit/96KHzの音源は②VISTA+WASAPIが相当行けると考えていたが、比較するとややVISTAの方が高域に張りがあるようにも感じる。敢えて云えばハイファイ的誇張感かもしれぬ。①XP+ASIO4ALLは16bit/44.1KHzに於いてはある意味中庸であり、24bit/96KHzでは②VISTA+WASAPIと同様に「いい音ですよ~」的な傾向がする。ただし、高域の浸透力を誇示せずVISTAと較べれば多少控え目と云えるか。

現時点の好みの順番は(敢えて順番を付けるとすると、であるが)以下の通り。
一位 自然さが何より Ubuntu Studio Rhythmbox+Pulse Audio
二位 こなれた感じ  WindowsXP Winamp + ASIO4ALL
三位 オーディオ的? WindowsVista Winamp + WASAPI

Linuxに軍配が上がったのは、微妙ではあるが音の自然さ、であろうか。ただし、率直に云えば、いずれもまあまあの音がしており、明確に優劣が付く、という程ではない。また、好みを優先した「感覚レベル」であって、比較は厳密性を欠いているとは思う。 なお、WindowsはXP、VISTAとも不要なプロセスを落とすなどの音質改善対応を全くしていない状況であるため、その点若干の不利があったのかもしれない。

さて、それでは再生専用のXP環境をLinuxに移行するか? と、自問すれば現在のところは躊躇している。まずは再生PCの環境を自由自在に操れなくては、と思うのであるが、Linuxに関してはそこまで現在スキルが無く、さらに勉強が必要である。また、モニターやキーボード、マウス等を接続することなく、iPod Touch等でリモコン的に再生をコントロール(プレイリストの選択、楽曲ファイルの選択)出来ることが望ましいが、その辺りがまだどうやれば良いか知識不足のため、Linuxでどうやれば良いか、当たりがついていない。なお、ノートPCのLinux からであればリモート接続(リモートデスクトップビューワにて)し、コントロールできるところまでは確認済みであるが、やはりコントローラーとしてはiPodの手軽さが真に重宝であり、一度このスタイルが出来てしまうと容易には手放せなくなってしまう。


(追記)
実のところ、音の比較の前に、トリプルブートの環境を作ることで試行錯誤もあり、結構疲れてしまったのも影響しているかも? 結論を出すまでにはもう少し、Linux系も聴き込んで行こうと思う次第である。また、最終的にはやはりメインシステムで決着を付けねば、と考えているので、まずは簡便な方法として、USBメモリにUbuntu Studio環境を作成し、差込一発でメインシステム駆動用の再生専用PCをLinux化(XP環境は全くいじらずに)し、比較試聴しようと考えている。はてさて、環境構築がすんなりと行くであろうか。


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