オーディオ日記 第26章 さらなる高みへ(その9) 2011年3月19日


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次なるチャレンジ、ステップについていろいろと考えている。マルチアンプによるSONYのユニットをメインとしたスピーカーシステムはある程度の完成に至っており、今後は微調整による熟成へのアプローチとなって行く。サブスピーカーであるVEGAも性格付けが明確であり、聴く音楽とシチュエーションに合わせてそののびやかな特徴を大いに発揮してくれている。また、アナログにおいては、カートリッジ選びの楽しみが今後も待っていてくれるとは思うが、現時点では日々堪能している状況にある。このように環境が整ってきた中なので、次のターゲットは「禁断」の領域にいよいよ踏み込むべきか、と思案している。これは、敢えて言えばアナログの良さにデジタルが勝てていないのでは、とまだまだ思われることがあること。デジタル再生において、アナログのような気持ち良さを引き出すための奥の手の手段は、「ワードクロック」ではなかろうかと、あれこれ情報を集めている次第。特に我が家のデジタル系のシステムはCDトランスポートからDDC、デジタルEQ、DACという多段構成になっていることもあり、これらに統一的なクロックのディストリビューションをしてみたいというもの。「禁断」と書いたのは、一つのアプローチ方法ではある、とは判っているのであるが、必ずしもコストに見合う音質の改善には繋がらないのではないか、という危惧も拭えないこと。もちろん、劇的に改善された、という話も聞くが。趣味にはコストパーフォーマンスという言葉はなく、「金に糸目を付けず」に突っ走るということが正しいアプローチであることは従来からの経験で重々理解していることであり、ワードクロック導入に対する準備は「ためらい」の思いも残しながらも着々と進めてしまっている自分がいる。

現在の手持ちの機器で問題となるのは、肝心のDACにワードクロックの入力が無いことである。EM-DAC 4399Q2を導入した時点では、ワードクロックへのチャレンジは検討の範囲ではなかったが、このDACの音が非常に良いだけに、さらに欲が出てきてしまった。DDCとデジタルEQにはワードクロック入力があるので、もう一歩頑張れば、という背景事情もある。そこで、思いが至ったのは、AK4399を8個使用する構成のEM-DAC 4399 Octの存在である。当方の日記でも先に紹介したが、EM-DAC 4399Q2の製作者であるEMISUKEさんが新たにこの基盤を領布している。元より、当方にはその基盤をベースにDACを製作する技量などはないし、EM-DAC 4399Q2を導入したばかりだし、と悶々とする想いの中、結局EM-DAC 4399 Octの製作をEMISUKEさんにお願いしてしまった。単純に物量がオーディオの音の良さを決める訳ではないと認識しているが、ESOTERIC K-03やK-01の試聴を経て、AK4399 ×8の構成に大いなる可能性を見いだしていることと、「ワードクロック供給」という言葉に魅力に負けてしまった、というのが本当のところであろう。EM-DAC 4399 Octワードクロックは192Kまで入力可能である。

さて、そうなると、次はクロックジェネレータの選択である。山のような選択肢がある、という機器ではないし、そもそもあまり店頭では見かけないので、現物を見て、聴いて判断できる環境にはない。ままよ、と清水の舞台から転落した先が Antelope Isochrone OCX である。このクロックジェネレータは2系統のクロックを供給できる機能を持っているので、192KのマスタークロックをEM-DAC 4399 Octに入力する。マスタークロックの2分の1となる96KのクロックをDDCとデジタルEQに入力する、という構成が取れるのである。現有機のBehringer SRC2496、DEQ2496はいずれも96Kまでのクロックでしか動作しないので、すべて192Kのクロック供給・動作とはできないが、ワードクロックの最初のチャレンジとしてはこれで良かろうと考えている。いずれ、DDCとデジタルEQの機器を変更する際にはすべて192Kのクロックで動作させることが理想とは思うが。OCXというクロックジェネレータは Amazon.com にてオーダーできることが判り、国内の価格よりは(円高の影響もあって)大分安いので、この方法で調達することとした。そうは云っても、両方の機器を合わせると、相当の出費となる。果てさて、この工面を一体どうしてすれば良いのか、途方に暮れているところでもある。

なお、DDC(Behringer SRC2496)はサンプリングレートコンバートとして使用する場合は、外部クロックを選択可能であり、全く問題が無いのであるが、デジタルEQ(Behringer DEQ2496)はデジタル入力の際は外部クロックを選択できず、デジタル入力信号に同期することとなってしまう。このため、この想定の構成ではCD再生においては、DDCとDACへのクロック供給となる。この点は将来的には何とか工夫したいところである。また、CDトランスポートのDP-90もワードクロック入力端子はなし。ワードクロックで一定の効果が得られれば、次はこの辺りの構成を見直すこととなるかもしれない。アナログ再生の場合はDDCを経由せず、デジタルEQへ直接アナログ入力して24bit/96KHzへAD変換を行うが、この場合は外部クロックの選択が可能で、デジタルEQとDACへのクロック供給を行うこととなる。

さてさて本日時点では、DACもクロックジェネレータもまだまだ構想段階で手元に無いが、何となく期待値にそわそわしている自分がいる。まあ、懲りもせず、ということかもしれない。


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