オーディオ日記 第26章 さらなる高みへ(その4) 2010年12月21日


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B&W 802 Diamondを試聴した。見た目はコンパクトであり、色はやはり黒の艶消しが断然良く、デザイン的には従来機と代わり映えしないが製品としての質感は最高である。納期に関しては、かなり人気がある様子で現在は半年待ち位になるとのこと。販売価格は定価200万に対して168万円であるが、海外での販売価格に比較してやはり国内価格は高価すぎるようにも感じる。

全体的に音が明晰で細かいところまで克明に描写。しかし、音が堅く感じられるせいか、音楽として楽しめない。モーツアルトがモーツアルトの音楽にならない。とても不思議である。スピーカとしてのポテンシャルは高いと思うのだが、試聴した個体のエージング状況と何らかの関連・繋がりもあるのかもしれないが。アンプ、CDPともAccuphaseなので、周辺機器はそれほどの違和感が無いはずなので、やはりスピーカの性格かとも思う。音の形やアタックはかなりはっきりと再現されるし、特に音の強さはしっかりと提示される。ただし、それに比して低域の厚み、ゆったり感などが少なく、音楽を聴いているという心地良い気分になれない。試聴した曲はモーツアルトのバイオリンソナタで、好きなジャンルであるだけにちょっとがっかりかな、と云うのが率直なところ。B&W 800 Diamondを試聴した記憶との差で云えば、低域の量感、再現性の部分の違いとなるのかもしれない。セッティングの違いもあるかとは思うが、802 Diamondの方が低域は明らかに薄い。この傾向・性格にピタリとはまる音楽であれば、かなり行けるのでは、と思わせるポテンシャルは秘めているが。
一方で、Nautilas801の頃から漠然と抱いている感覚なのであるが、B&Wの音からはある種の色気や柔らかさがうまく感じ取れず、その感触は今回も同様であった。これは当方のそもそもの感性の問題なのかもしれない。

ただし、トランスデューサーとしての秀逸さを感じさせる部分ははっきりしており、であるが故に頭をもたげてくるのは、もう少しバランスをとったらかなり良くなるのではないか、という想い。この音の克明な性格を活かしつつ、低域の充実を図るように、自分なりのセッティング、あるいはイコライズをしてみたら、どうなるだろうかと。傾向として、ツィータのエージングが未完の時のVEGAのような音にも感じてしまうし、自分の好みとしては、これを抑える方向にやはり向いてしまうだろうとは思う。測定を繰り返しつつ、実際の音のバランスと感覚的な部分とのマッチングを図るようなイコライズをしてみたら存外に面白いかもしれない。敢えて、サブスピーカーであるVEGAの置き換えとして購入を考えるまでには至らないが、そういう使い方してみなくなるような、ある種のオーラは充分に備えているスピーカであることは間違いないし、またそれが人気の秘密であるのかもしれない。


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