オーディオ日記 第25章 アナログ(その8)2010年5月16日


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アナログに負けないデジタル再生を何とか実現したいといくつかのトライを進めている。一つは先に記述したUBUNTU STUDIOによるリアルタイムカーネルでの再生である。しかしながら、いろいろな再生ソフトを試した結果、結局24bit96KHzの再生ができるのはLinux環境下ではAudacityのみのようである。Audacityによる再生音はかなり納得ができるものであるが、一曲づつファイルを取り込んでの再生となるため、リスニング用としては使い勝手はほぼ論外。やはりこれは録音と編集、そして新たに機能として加わったFLAC形式への変換、ということがメインとなろう。UBUNTUについては、外付けHDDからもUSB起動ができるようにして、HTPCからの再生もトライしてみたが、環境は出来ても、44.1KHzまでのFLACファイルしか再生できないのでは現状かなり不満が残ってしまう。インターネットをいろいろと検索したが、その機能を持つ再生用ソフトウエアはヒットせず、であった。新しい環境にLinuxでチャレンジしたいのではあるが、何とも残念な次第である。もうしばらくすれば、Linux環境でもハイサンプリングの再生ソフトが出てくるであろうと考えられるので、それまで気長に待てば良い。

なお、このインターネット検索の中で新たに見つけたのが「cPlay」というソフトウエアである。これはWAV、FLAC形式のファイルのみサポートであるが、24bit96KHzに対応しており、そのままスルーで再生することも44.1KHzからアップサンプリングしての再生も可能である。デバイスドライバはASIO4ALLが使用可能ということであり、ファイルは一旦メモリに展開されてから、再生される仕組みとのことで、ジッター低減により音質向上を図っているもの。もちろん、早速試してみたが、これが何とも仰天、驚愕するような再生音である。良く云えばアナログの再生音のような感触があり、音に芯があるというか生き生きしている。アップサンプリングしたいくつかの聴きなれた音楽を再生してみたが、いずれも現時点の評価は非常に素晴らしい。同じFLAC形式のデジタルファイルを再生していても、環境と設定により、このような差があるというのは、何とも不可思議というか、素直には信じられない、という部分もある。通常の16bit44.1KHzのファイルを試してみたが(これは指定のレートにアップサンプリングすることが可能。上限は192KHzであるが、SRC2496ならびにDEQ2496の装置環境の能力から96KHzとした)、これも同様にかなり納得できる音がする。もともとCDの44.1KHzをアップサンプリングしているものではあるが、FLACファイルの状態でアップサンプリングした場合と、再生時にアップサンプリングしたものの差があるはずであるが、現時点はトライを始めたばかりなので、まだ比較試聴による結論を出し切れていない。感覚的にはFLACファイルの状態で24bit96KHzになっていれば、アップサンプリングのためのCPUパワーを使わないので、ベターかも、と推測はしているが。アナログレコードを24bit96KHzで録音し、そのままFLACファイル化したものも少し試してみたが、こちらもかなり良さげである。ただし、この部分はまだまだ評価を出せるほどで試した訳ではないが。

さて、FLACファイル化の段階でアップサンプリングしたものの再生音であるが、音全体が何ともスムーズであり気持ちが良い。また、低域についてもしっかりとした実在感を感じることができる音であり、何よりも音の感触、手触り(?)が良く、しっかりと低域が出てきている割には、妙な圧迫感が無いというか、本当に心地良い音である。音楽再生のツールとしては、選曲を含めて多少使い勝手が悪い部分があるが、音で凌駕しており、これはちょっとはまりそうである。直接ファイル単位に再生することも可能であるが、これだと結局は一曲づつの再生となってしまうので、CUEファイルというものを作成、それをプレイリストよろしく選択する、というやり方である。データをメモリに展開するとかで、やはりファイルの大きさなど、多少の制限事項がある模様。CUEファイルを作成するには別のユーティリティがあり、これを使えば結構簡単にCUEファイルが出来る。なお、FLACファイルのフォルダーを作成するときのネーミングや階層構造などが、このCUEファイルの使い勝手を左右しそうな感じがするので、いろいろと試してみようと思う。

なお、この再生ソフトウエアはWAVも同様なやり方で選曲するので、FLACファイルのTAG情報は意識されておらず、その辺りをファイル名や階層構造でコントロールすることになりそう。ファイルをジャンル、アーティスト、アルバムという三階層で構成するのがどうも一番良さそうである。なお、TAG情報が意識されていないとすると、トラック番号が考慮されないことになり、再生上の順番はファイル名順になってしまうのでは、と想定している。FLAC形式でのCDの取込みはまだまだこれからなので、基本環境を整備した上でMP3からFLACへの移行を完了させたいと考えている。もし、CDアルバム内の曲の順番を守ろうとすると、ファイル名にそれなりのネーミングが必要となるかもしれない。

なお、その取込みの際に重要なポイントであるが、CDの場合は44.1KHzでのファイルとするか、アップサンプリング後のファイルとするか、の判断である。CDからの取込みの手間隙、ファイルのサイズを考えると基本は元データと同じである16bit44.1KHzが妥当と考えられる。これであれば、取込み用ソフトのExact Audio Copyで面倒を掛けずに実施可能である。ただし、将来的にまた、これを24bit96KHz化するとなると、二度手間となってしまうので、方針を確定する前に比較試聴をしっかりと行っておきたい。なお、アナログレコードの録音、取込みについては、これを24bit96KHzのFLAC形式ファイルとすることについては、現在のところ、確定であると考えている。HDDの容量と価格の観点からは、もうストレージ媒体のコストを気にしなくても大丈夫なので。ただし、あまりでかいサイズとなると、管理やメンテナンスがしんどくなるので、その点の注意は必要であろう。また、FLACにおける圧縮オプションをどこまで効かせるか、ということも今後は重要になるかもしれない。

今、この駄文を書きながら、cPlayにて44.1KHzのFLAC再生をVEGAにて楽しんでいるが、やや控えめの音量であっても、先に言及した音楽の実在感が確かにあり、アナログ的な再生音の印象がある。これは本当に、この先のいろいろな展開が楽しみな状況になってきた。なお、DEQ2496のDAC部分でこれだけの音が出てくるので、これをさらに196KHzまでアップサンプリングしたら、どうなるのであろうか。SE-200PCIは192KHzまでの再生が可能である。DEQ2496では96KHzが上限であるが、DG-48が192KHzまで対応可能となると、これは非常に面白くなる。GEQの部分とDAC部分の両方の対応が必要なのであるが。(早速Accuphaseのホームページで確かめてみたが、デジタル入力は96KHzまでであった、残念)

アナログに再度目覚めている今日この頃であったが、デジタルも捨てたものではない。今まで気になっていたデジタルの部分はやはり改善可能な課題であったことがはっきりしたため、今後はアナログ的な再生音を目指しつつ、ノイズの無いデジタルの良さを生かした音楽を楽しんで行きたいと思う。しかしながら、思うことは何とも早いデジタル環境の進化であり、それをちゃんとアンテナを張り、キャッチアップして行かないと、PCオーディオの成果は出せないな、と改めて思う次第である。アナログも良い、だが懐古趣味なだけでは前進がない。改めて思うのは、我が家のメインシステムがスピーカを含めて、良くここまでチューニングされて来たな、ということ。この再生のバランスがあって始めて、それぞれの音楽の良さが判ろうというもの。無駄な投資を抑えつつ、これからもオーディを楽しんで行きたいし、このオーディオとパソコンの趣味が連動、一致しつつある現状は何とも面白く、将来にわたり飽きることなく趣味として続けられそうである。


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