オーディオ日記 第22章 新たなる旅立ち(その8)2009年1月11日


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DG-48による自動補正を行ってみた。測定と自動補正自体は驚くほど簡単。昔のDG-28と操作性もそれほど大きくは変わっていないが、ペンタッチの小型ディスプレーがあるところが味噌か。なお、今までのセッティングにて補正状況を確認すると、明らかにSUP-T11の帯域が出過ぎで低域が足りず、PRT-9のところは全く不足。これはP-102にて一緒にあってアッテネーションをかけて10dB以上減衰させてしまっているので、仕方ないと思うが、これでは補正が掛かりすぎの状況になってしまう。このため、トランスアッテネッターを復活させ、SUP-T11は単独にて-14dBの設定とした。また、PRT-9については、測定状況を参考として12KHzのクロスオーバー周波数とした。この設定で、中~高域に大幅な補正をかけなくてもすむ状況となった。さて、これに自動補正した音であるが、感覚的には低域が出すぎで(これは従来の設定との差の影響かもしれないが)ある。ただし、それ以外は結構いける。フラット状態、-1dBのエンベロープでの補正なども行ったが、低域の膨らみが大きいせいか、いまひとつの感あり。最低域をなだらかに落とし、超高域も同様にして、200から800Hz辺りをほんのわずか持ち上げるという味付けを行ってみた。

つぎに、DG-48での測定状況をメモして、DEQ2496に設定を移し変えた。といっても、測定状況をベースに単純にプラス、マイナスでイコライザ設定としたもの。(例えば+3dBの周波数は設定で-3dBというように)ただし、DG-48では64ポイントあるが、DEQ2496は31ポイントしかないので、中間点の周波数はDEQ2496では無視している。さて、この設定の音であるが、厳密にはともかく、DG-48とほぼ同様な音で、こちらも当然低域が出過ぎ。特に50Hz以下をかなり大きく(10~11dB程度)補正しているため、これはやりすぎと考えて、最大の補正を6dBとなるように制限した。さて、この全体設定と補正の音であるが、最初は多少の違和感もあったが、聴き込むに従って、「非常に良い」ということが分かってきた。特に低域がしっかりと充実している感あり、また最低域の補正を制限したためか、膨らみすぎの感じもない。このため、多少ボーカルの帯域などおとなしいようには思えるが、リボンの帯域もしっかりと出ていることもあり、バランスが非常に良くなっている。同様な最低域の制限をDG-48上でも行ってみた。これは最初はどうやればよいのか、やり方が今一わからなかったのであるが、バンド毎に所定の周波数の補正レベル設定を変更し、これを左右のチャネルで対応すればOKであることが分かった。こちらも非常に安定感のあるよい音になった。

さて、肝心のDG-48とDEQ2496の音の差であるが、多少DG-48の音のほうに落ち着きがある感じがするが、思ったより差は大きくない。DEQ2496から直接アナログ出力(96KHzあるいは88.2KHzにて)した場合はすこうしクリアーな感じが伴う。DC-91にて44.1KHzで聴くと微妙ではあるが、DG-48とさらに似通う。少なくとも圧倒的にDG-48の勝ち、という状況ではない。さてさて、少し聴き込んだ状態での音であるが、従来やや高域勝ちな傾向にしていたことが分かるような安定感のある、ある意味音楽として非常に楽しめる、という音になった。やはり全体のバランスが高域よりになるとどうしてもやや棘のある部分も出てしまうのであるが、今回の補正の状況ではそのような感じは全くといって良いくらいにない。これは特にボーカルの帯域で感じる。弦についてはやはり録音の状態に左右される点もあるようだが。となると、DG-48を敢えて購入するか、DEQ2496を使い続けるか、となると非常に悩ましく、微妙なところ。当然購入の金額にも依存する訳であるが、それなりの価格なので。となると、今回のセッティングをベースにDEQ2496にまだまだ活躍してもらう余地があると考えられる。少し残念なのはやはりDEQ2496の自動補正はやはり適切とは言えない。この点は明らかにDG-48が勝っており、この機能は環境が変わればその測定と補正のために、絶対不可欠かもしれない。ところが、一度測定し、環境設定できてしまえば、DEQ2496で事足りるとも言える。ここが一番悩ましいところ。逆に言えば、今回試聴用に借用したことが大正解!この自動補正については、あれこれと試してみる事も考えられるのであるが、最終的には出てきた音がベストに近ければ、もうそれ以上の測定、補正は不要であるし、現状何回も測定し直そう、という必要性も感じない。

今回認識できたことはやはり低域を中心とした全体バランスが如何に重要かということ。この、云わば「音楽の土台」がしっかりしていないと、その他の帯域の安定感、聴き易さが得られない、ということが分かった。また、超高域(10 KHz以上)についても、変に控えめにするのではなく、出すべき設定をちゃんと行うことが透明感や臨場感にもつながる。また、何よりも重要なのは2KHz前後にうるささや棘を本当に感じないこと。従来はどうしてもこの部分に悩みが残り、あれこれと設定をいじってしまうのであるが、低域の土台がしっかりしていれば、そのあたりに破綻がでることはあまり無いようである。DG-48自体は明日には返却しなければならないのであるが、もし時間的な余裕があれば2階のS-955の測定も行っておきたいと考える。ソフトウエアでのイコライズではもちろんカバーしきれないとは思うが、傾向値を把握しておくことは意味があるだろうと考える。また、いずれDG-48の購入に至った際は、DEQ2496を使用した補正も可能となるので、それを実験しておく価値はあると目論んでいる。


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