オーディオ日記 第18章 彷徨 (その1) 2002年 8月 7日


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ここまでたどり着いたと思いながらも、完璧とは云えない我が家のシステムである。やはり高域が落ち着いてきたことによって、低域についてさらに改善したいという欲が出てきた。ひとつには最低域の補強であり、もうひとつは音楽としてのバランスを保ちながらも軽やかさが欲しいという相反する要求である。クロスオオーバー周波数については結局650Hzの-12dB/OCTに戻している。これはやはり音楽としての充実感、安定感を考えるとあまり線を細くしすぎない方が良いかという判断による。

さて、そんな時に秋葉原のプロ用機器のショップを覗いてみると、DG-28相当の機能を持つデジタルイコライザーが何と随分安い価格で売られているではないか。DG-28は売却してしまったが、低域のみの補正ということも頭の隅には残っているため、非常に興味をそそられた。価格は5万円台である。早速カタログをもらって調べてみると、機能的にはDG-28とそれ程変わりはない。価格を考えると「買っておいても良いかな?」と思わせる内容である。さて、そのカタログの中に、面白い種類の機器が掲載されていた。BEHRINGER製のDUALFEX PRO EX2200という機器である。どうも「エンハンザー」といわれる機器のようであるが、機能は、

1.低域のサブハーモニクスによる増強
2.エンハンザーあるいはエキサイターという機能による音の存在感、透明感の改善
3.サラウンド処理

の3種類を持っている。これだけであれば、興味の範囲で終わるのであるが、何と価格は定価でも一万円強である。安い! 実際のところ動作原理は良く判らないし、音質改善効果が本当に期待できるのか半信半疑、また使用することによって却ってS/Nが損なわれるという心配もある。しかし、安い!サウンドハウスにて価格を調べてみると何と8,000円しかしない。送料、税金をいれても1万円しないのである。多少迷いはあったが、如何せん安いので、まあ、DVDを見るときの低域増強、サラウンドに使えれば充分、という気持ちでオーダーしてみた。さて、到着した機器は確かにプロ用でラックマウントするタイプの機器であるのでそれほど高級感はないが、チョット面白さを予感させる面構え。早速、聴いてみることに。なお、接続はIN/OUTを制御できるようにRECOUT/TAPE1のテープモニター端子に行った。 さて、調整はどのようにすれば良いのか良くわからないので適当な位置にて聴き始めた。うむ、うむ、何やらプレゼンスが少し上がったような気がする。これはエンハンサー/エキサイター部分の機能かな? どうもこの機能は高域を元の信号に加えているようで、その原理でプレゼンスが上がるのか? あまり量を増やすと何やらシャカシャカした感じになり、音が硬質になるのはそのせいかな?量の加減とブレンドを開始する周波数で制御する訳だな。さて、低域はどうかな? ソフトとタイトが選択できる。でもその差は微妙。いや、量が少ないからか?量を増やすと? おおっ、結構モリモリ来るね。映画のDVD(StarWars)でこの辺りの低域の増強効果を確認しようと思ったが、どうも長男が持っていってしまっているようで、確認できず。レーザーディスクで多少サラウンドを入れて確認したところ、結構良い感じ。映画を見る場合にはやはりグッドであった。

さて、肝心の音楽では実際のところ、どうであろうか? ボーカルに関しては「抜けのよさ」や「存在感」は確かに改善効果もあるような気がする。ただし、本当意味でのS/Nやノイズ感については多少気になる点が無い訳ではない。余り大きくいじっていない状況ではIN/OUTを切り替えた状態でもどちらが「音質」が良いとははっきりしない。もともとポピュラーのボーカル系はこの手の機器で相当音をいじっているはずなので、まあ程度問題なのかもしれないが。サラウンドは音楽の場合は余り入れすぎては駄目。まあ、元の録音が相当ドライなものについては多少聴きやすくなるかもしれないが。エンハンサー/エキサイターの使い訳は説明書には効果が書いてあるだけで原理説明もないので、今ひとつ良くわからない。まあ、エキサイターの方は高域をミックス(単純な増強ではないような気もするが)する感じであるが、エンハンサーは一体どういう加工をしているのか良くわからんし、効果もイマイチはっきりしない部分もある。バスプロセッサーについては文句無くわかるし、多分映画等であれば、サラウンドとの組合せで効果は大。これが、この価格であれば安いことこの上なし。

なお、ボーカル系の曲をいろいろ聴いてみたが、まあまあいい感じである。特に音楽のS/Nが悪くなるようなこともないし。ただ、低域はどの程度このバスプロセッサーを通せば良いのか、レベル設定が今ひとつ掴めていない。この辺りはこれからのトライとなるのであろうが。少し気になったのは、この機器をバイパスした状態で聴いてみても多少肥大した低域に聞こえるような気もしてきた。この辺りは背面の吸音材を多少減らしたこともあるし、しばらくスピーカー位置を前に出して聴いていたこととも関係あるかもしれない。この位置に関して云えば、前に出した方が明らかに良いような気がする。また、低域の量についても、前に出せば気になる点も減るし、増強効果も改善の方向に向かうようである。さてさて、何とも安くて面妖な機器であるが、積極的な「音作り」という意味では純粋なオーディオとは違うかも知れないが楽しめそうである。


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