オーディオ日記 第15章 耳がよくなけりゃすべては (その3) 2001年 6月11日


TOP Audio Topics DIARY PROFILE LINK

2WAYマルチアンプシステム+スーパーツィータ方式をさらに煮詰めるべく、DG-28でのボイシングを実施した。(リファレンスカーブは再低域重視と1KHzまでを充実させたもの)

まず、基本的な周波数特性を1.5m~2mくらいの位置で測定してみたが、2450Jのレスポンスが8KHz辺りから落ち込み始めており、1.0μF設定での-12dBハイパスフィルターとの組み合わせでは8KHz~10KHzあたりにかけて大きく落ち込んでしまい、このままではこの部分の補正量が大きくなりすぎてしまうことがわかった。また、そうでなくてもアンプの基本的なクオリティが不十分な状態でさらにネットワークを通すとこれらに起因する弊害が考えられるため、思い切った作戦を取ってみた。すなわち、C-290Vからもう一組バランスアウトの出力を出し、もう一台のF-20に並列に接続。 7KHz、-24dB/OCTのハイパス信号のみをヤマハのアンプで増幅し、ネットワークなし、アッテネッター(何と-6dB)経由にて2042Hをドライブ。この構成では2台のF-20を使用するものの、直列接続による弊害がなく、前述の2450Jの8KHz以上の落ち込みをカバーでき、さらにネットワークを使用しないと云う、いわゆる?理想的な構成とすることができる。
最初は10KHz以上をなだらかに減衰させる設定としてみたが、これでは高域の浮遊感が損なわれ、あんまり面白くない。そこで、10~16KHzあたりをあまり落とさずにむしろ2m位置でフラットに近い周波数特性設定にてチャレンジしてみた。BTL接続に支えられた力強く、量感のある低域は失われずに、非常に良く高域の浮遊感が出て、弦楽器に中にチェンバロが浮き上がる。ハイハットも凛としている。ボーカルについては現在の調整やアンプでは万全とは云えないが、サシスセソの強調感を出さずに、澄んだ高域が再現できる。
こりゃ、なかなかええんでないかい。そういえば前にお茶の水のオーディオユニオンに置いてあったタテマツの箱+SONYのユニットの組み合わせに使用していたリニアテクノロジーの3WAYネットワークがこの中域ドライバーの高域側がいじらずに高域をパイパスフィルターのみでアッドオンする構成であったことを思い出す。なるほど、そうなのかと。オーディオは一筋縄ではうまくいかないものだ。なおこの設定に変更後、多様なソースの充分な聴きこみはできていないが、ジャズ系は非常に良い。Four Playなども良い。特にマッシブな低域に支えられた状態でさらに高域の浮遊感やプレゼンス、細かい高域の楽器の音の再現性が出るのか良い。中域も薄くならない。従って、ボーカルも味が変わらない。ただし、女性ボーカルの場合は、もう一息の透明感が欲しくなる。わずかであるがやはり最高域の音に音色的な違和感が出る。これはアンプのせいか、ユニットのせいかは判らない。
もうひとつさらに細かいことを云えば、2450Jと2402Hの音の重なっている辺りなのか、音のタイミングに微妙なずれのあるような錯覚を覚える。何か位相が揃っていない影響があるのだろうか。またまたさらに細かく?云えばハイハットが従来聴き慣れた音色よりは軽く感じてしまう。これは決して悪い意味ではないのだが、あまりにも素直に高域が色づけなく?再現されるので、このような錯覚を起こすのであろうか。

特筆すべきは音の安定感、静かさと高域の良さのマッチングが取れてきたことで、これがこの構成、設定が良い結果を出していると考えられる。ただし、冒頭に述べたようにあまり8KHz以上を落とした設定とするとこの良さが失われる。ボーカルと絡めた設定と使いこなしの部分についてはさらに徹底した聴きこみと調整が必要と考えているが、全体としては従来の段階をやっとひとつ越えたといえる状況になってきた。 機器の問題点としてはやはりまずはヤマハのアンプを今後もこの構成で使っていくかどうかということ。この構成だと3台のAccuphaseのアンプでは足りなくなるため、どうしても現状ヤマハを使わざるを得なくなる。やはりBTL接続の良さは手放したくない。現状のヤマハアンプはどうも左チャネルに問題がある(-6dB設定であるが、残留ノイズが片側だけ大きい、という現象)ようで、またそもそものアンプの力量としてもこの構成全体の中に位置付けるにはクオリティ不足の感が否めない。従い、この構成を続けるのであれば、小出力で良いから品位の高いアンプが欲しくなる。また、次に悩むのは高域のユニット(リボン?)とハイパスの周波数である。現状は普通の3WAYマルチを前提としているため、7KHzのクロスオーバーボードしかないが、これを8KHz、10KHzと試してみたい気もする。リボンツィータの場合の狙い目は8KHzと考えているが、どうだろうか。このような構成変更によりさらに音の純度を上げることが期待できるはずで、何とも虫のうずく話である。(幸いボーナス時期も近づいており、、、)

先にクレルLAT-1の音の感想を書いたが、上記の対応にてクオリティ的には近づけるのではないかと今は考え始めている。何とも調子の良い話であるが、それだけ期待が高い。また、確かにLAT-1は良いが、非常に高価。これを今の路線をすっぱりあきらめて購入することは残念ながら現状は(経済的にも)ほとんど考えられない。ならば、別のアプローチにて少しでも近づけ、あわよくばこれを越えたい、などと考えている。いずれにせよ、潜在的な良さが確認できたので、現構成をさらに聴きこみ(ボーカル、クラシック、ピアノなど)練り上げていきたいと思う。


next back