オーディオ日記 第15章 耳がよくなけりゃすべては (その2) 2001年 6月 4日


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結局繰り返し、繰り返しいろいろな試行錯誤を行っているが、その過程の途中でよい音、そうでない音をきちんと判断していかないと(判断できないと)、泥沼に落ち込むことになる。まさに耳がよくなけりゃ、オーディオはできない。

今回はいよいよ振り出しに戻れ状態にまで設定の変更を余儀なくされた。2台目のF-20による3WAYマルチの完成から大分時間がたったが、もしかしたら、壮大な遠回りだったのかもしれない。F-20を2台接続するにあたっては高域から分けるか、低域から分けるか悩みも有った訳であるが、どうも2台を直列に使用するとノイジーな感じがして透明感や高域の浮揚感が失われているような感覚があった。今回この点を確認すべく、まずは初心に戻れでF-20 1台による2WAYから再挑戦。この過程で従来効果を認めていたBTL接続を実施。P-360のブリッジ接続でもやはり充分な効果があると改めて認識した次第。なお、この過程で今までEVX-150Aの接続端子部分についている抵抗?をバイパスするような接続をわざわざ行っていたのであるが、テストCDによる低域チエックにより、このバイパスを行うと妙な低域共振(これはアンプなのか?スピーカなのか不明であるが)を起こしていることが確認された。この共振ノイズについては前に一度気が付いていた点ではあるが、CDの問題として無視していた。(反省!)理由はわからないが、インピーダンスが低くなりすぎることによる弊害であったかもしれない。通常の接続に戻すとこの問題は解消した。素人が変な色気を出すと道を誤ることになると反省。

さて、P-360 2台による低域(今回は650Hzのクロスオーバー、-24dB/OCTのスロープ特性)とP-102による2450Jのダイレクト駆動であるが、この構成にてDG-28のいわゆる最低域に少し力感を求めた設定で、チエック開始。一聴して、ホールトーンの自然さが2台のF-20接続時より優れていると感じられる。ただし、高域の浮揚感は多少物足りないが。ただし、音楽としての自然さやプレゼンスはこのF-20 1台構成、BTL接続に軍配がある。低域の自然さが特に良く、これがBTLの効果かと思わせる。さて、こうなると問題は高域である。やはり不足する高域を何とか透明感を損なわずに実現したい。 そこで、禁断のネットワークとヤマハアンプの再登場である。 (続く)

ヤマハアンプにC-290Vのアンバランス出力を直接入力し、1.0μFのコンデンサを搭載した10,000Hz以上、-12dB/OCTの自作ネットワークとトランス型アッテネッター(設定は-14dB)を接続して改めてチエックした。う~む、言葉が出ない。 完全な3WAYマルチより明らかに良い。特に全体のプレゼンスが高く、高域の爽やかさがはっきりと出る。これはやはりF-20を2台使用する構成に問題があるのだろうか。BTL接続によるファンダメンタルがしっかりしてくる効果も大きいのだろうか。3WAYマルチの状態より明らかに2402Hがおとなしく鳴っている。これはクロスオーバー周波数が高いところにある効果も 考えられるが。また、ボーカルを含む定位についてはこの状態がやはり上だと思う。とすると、2WAY+スーパーツィータ的な構成が我が家のシステムでは最適なのであろうか。これはもしかしたら、大きな遠回りであったのだろうか。 
さて、この構成にて一通り試聴を繰り返し、満足した翌日、良く見ると2402Hの接続がアッテネッター部分にてあろうことかプラス/マイナスが逆になっていた。(逆相接続)この状態では、高域に変な力感がなく、かといって小音量でも高域のプレゼンスが損なわれる感じがしていなかった。これを正相接続に変更して、高域成分の多いチェンバロ(バッハ、ゴールドベルグ変奏曲)にて確認。特に逆相との顕著な差は現時点では確認できていないが、音量を上げた状態では多少高域過多かもしれない。この辺りは10Khz以上のレベルをDG-28にて測定、チエックし補正することと、ボーカル等の子音の状態に合わせた追い込みが必要であろう。

このような状況を鑑みるに、現状のF-20 2台構成の3WAYマルチはおそらく失敗であろう。したがい、今後の方向としては2WAY+スーパーツィータの発展型を考えていく必要があるかもしれない。 この方向を煮詰めるにしてもヤマハアンプと2402Hについてはやはり遠からず変更したい。 特に2402Hはリボンツィータに変更する案も改めて脚光を浴びることになる。スーパーツィータ的な使用であればむしろ2405Hよりベターであろう。そうなると現在ヤマハアンプではいかにもみすぼらしく、厳密にチエックしてはいないが、どうも左チャネルから高域のノイズが出ているようである。この構成を当面続けるのであれば(及びBTL構成)、小出力のアンプの手配とネットワークの改善もやはり必要になるであろう。特にネットワークは音の透明度との関連が非常に高いので、思い切って全体を組み直す必要があるかもしれない。たとえば基盤をアクリルやアルミのものに変えるなど。現在は単なるベニヤ板なので。 いずれにせよ、全体として方向転換及び構成の見直しは必須となった。 これでさらにチャレンジのしがいがある?

さて、別件であるが5月16日にサウンドパークダイナにてクレルのLAT1を聴く機会があった。アンプはゴールドムンドのミレニアムアンプ(ペアーで1300万円!)何とも高価なシステムであるが、音は非常に自然で、こう鳴って欲しいと思うように、理想に近い鳴り方である。これはスピーカなのか、アンプなのか当然相乗効果なのかどちらがより支配的なのか不明であるが、エネルギーバランス、解像度、音楽として楽しさ、ホールエコー、高域の浮揚感、ボーカルのリアリティすべて満たしている。それでいて押し付けがましさというものが一切なく、ただひたすらに音楽が聴けてしまう。 LAT1自体は特別変わった要素やユニットであるとは思われない普通のトールボーイ、筐体はオールアルミ製でサイズの割には重いようであるが、これで470万円。何ともいやはやの価格である。しかしながら欲しくなるような音の良さ、今まで聴いたシステムの中ではベストと云える再生ではなかったろうか。これはGTサウンドのSONYのユニットを使用した大掛かりなシステムとは違い、(値段は高いが)コンパクトなシステムである。 それでいて、中低域の充実感と高域の透明感が抜群である。我が家の音もこういうシステムの音に近づけたいと日夜奮闘努力しているのではあるが、なかなか納得、満足が得られていないのもまた事実である。今後のアプローチについてはなお、いろいろな方法があるが、ひとつ理想とする音が見つかっただけでも今後の展開に向けての意義が大きいと思う。今後はこの音を頭の中のリファレンスとして我が家のシステムをさらに練り上げていくことになろう。


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