オーディオ日記 第14章 音の彼方(その1)2000年10月10日


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DG-28による補正を次の方法で実施した。 スピーカーの軸上1.2mの適切な高さにマイクを設置し、そのポジションで全くのフラット特性を作る。更にその状態から、ユニットの限界以上と思われる18KHz以上と31.5Hz以下の補正量を若干減らしてみた。なお、このマイク設定では左右の自動補正はできないので、左チャネルのみ自動補正、さらに手動補正を行い、左チャネルの補正量をそのまま、右チャネルに適用した。従って、左右別々の補正にはなっていない。 軸上の補正はリスニングポイントの補正に比較すると多少大き目となるが、綺麗にフラットになる。 これを上記のようにわずかに是正し、手動にて微調整。 これで、スピーカ自体の周波数特性はフラット(ただし、16KHz以上は2402Hの限界であまり綺麗にはならないが)で、あとは部屋の問題だけ、というのが理論上である。

さて、この音であるが、「!!!」なのである。 良いのである。極上なのである。非常にバランスが取れて聴き易く、刺激はほとんどない。 ボーカルのシャリ付きはもう全く無いといっても良いくらい、無い。それでいて声のプレゼンスと柔らかさを失わない。ピアノの輝き、ベースの押してくるような迫力。すべて丸。 レベル設定はアンプ側で中域、高域とも-15deBとした。これは高域については従来よりも多少絞っている。また、補正量から類推した2402Hの高域は、特に12~14KHzに大きくピークあり、16KHz以上はもうほとんど出ないないという状況である。ボーカルのシャリ付きはどうもこのユニットの特性の影響が大きかったのではないかという気がしている。このセッティングで聴く音楽はどれもリアリティあり、聴き易さあり(多少音量を上げたくらいでは全くうるささが出ない)、それていて音楽のプレゼンスやホール感、エコー感を失わない。

昔のブラフォーのフォークソングがものすごく楽しめる。S&Gもクリアーでいける! Agnes Chanもゴキゲン。また、ピアノは本当にきらきらと美しく輝く。特筆すべきは低域の力強さである。最初はやや出過ぎではないかと思ったが、いろいろなジャンルを聴くと、案外バランスが取れている。また、マッシブな感じや量感もあって、これはこれで心地よい。ただし、400Hz辺りに深いディップがあるらしく、ここを大きく補正しているので、この辺りに起因するような若干の気がかりが音楽によっては出るが。 このセッティングでは大きめな音が気持ち良く、どんなジャンルでも過不足、不満が少ない。今回は他の要素をほとんど触っていないので、この補正が効いていると考えて良いと思う。苦節ん十年のマルチからDG-28の導入に至り、やっと音の桃源郷にたどり着いたか、という感慨である。このレベルにくると次はもう本当にスピーカーユニットの能力勝負ではないかと思えてもくる。確かに2402Hはホームユースとして7KHz以上で使うには問題のあるユニットなのかもしれない(能率、エネルギー感、そして高域特性などの観点から)そうなるとまずは良質の高域ドライバーとボーカル領域をカバーするウーファーが欲しくなる。現状でもこれで結構満足できる音が出るにも係わらず、である。もっと良い音がするのでは、という期待で。低域は当面SONYで決まりとしても、高域を2405Hにすべきか、リボンにすべきか、それともエール音響のような超高級品にすべきか悩むところである。10KHz以上の超高域よりもエコー成分や空気感では重要であろうし、声の帯域のユニットにはもっと贅沢をしたいし。 良くなったら、良くなったで、悩みが尽きないのがこの趣味か。まあ、とにかく、秋の夜長はオーディオ三昧といこうと思う。


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