オーディオ日記 第7章 愕然(その1)1999年3月日付不詳


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F20導入後の我が家のシステムは一時は平和を迎えていた。 中低域のクロスは500Hzに落ち着き、正相接続(高域も)、アッテネーションはデバイダーで行い、アンプゲインは中高域側も0dBとした。高域用のトランス式アッテネッターは試行錯誤の末、はずすこととした。 更に低域の膨らみを解消するため、ボックス背面に対して加工を行い、2重構造化と砂の充填を行った。これは結構効果があり、より低域の解像度が上がって、音に落ち着きが増してきた。弦についても最早うるさい感じはほとんどなくなった。 なお、定位についても一度極端な内振りから開始し、徐々に戻すことによって定位もかなり満足できる状態になってきた。やはり、多少内振りが良いようである。
低域にのみイコライザーをいれ、125Hz~160Hzを押さえ、60Hz~70Hzを増強してきたが前述の背面補強により調整しなくても問題ないと思われるようなバランスの状況にもなってきている。

さあ、これでモーツアルトも極上で聴ける、、と思いきや!?確かにこれで出てくる音にはそれなりに納得でき満足もしていたが、それも2月28日に千葉のGTサウンドにて、改めてSONYのSUP-L11とSUP-T11のイタヤカエデ合板の箱にいれたバーチカルツインの音を聴くまでであった。クロスオーバーポイントは750Hz(辺りとのこと)と12,500Hzのネットワークによる3wayである。何という豊かさと静けさ、良く歌う音楽! 信じられないように音のしみわたる透明感、そしてホールエコー、しっかりとした低域の膨らみと実在感、そして音の温かさ、全くうるささの感じられない中で奏でられる満ち足りた音楽。カメラータベルンのロッシーニの弦楽ソナタは飛び切り録音も良くて、音楽自体も気持ち良いものであるが、ここで聴けたのは飛び切り極上の音楽そのものではなかったか?

かすかにBGM的にピアノが奏でられていた時からただならぬ気配があったのだが。なお、装置はAccuphase C290VとM2000の組み合わせ。 CD Playerは確認し損なったがおそらくAccuphaseのものと思われる。 もちろんスピーカ以外の装置も良いのであろうが全く別次元とも言える音であった。最近はよそで聴く音にそれほど感激はしなくなっているのであるが、これには脱帽せざるを得なかった。
さて、そうなると我が家の音との比較である。やはり低域の出方の自然さが全く違う。そして全体にややうるさい感じはどうしてもぬぐえない。この影響によるのか高域方向の透明感も今一歩のような気がする(あくまでも感じで実際上高域はそれほど差はないかもしれないが)。
とくかく、中低域が違う。 ちなみにクロスオーバーを650Hzに変更してみたが、かえってだめ。 むしろ500Hzでスロープ特性を-18dB/Octから-24dB/Octした方が多少良くなる感じもする。しかし、全体としての低域の自然さやくっきりと聞こえる低音弦の輪郭の良さ、過不足のなさ、トランジェントの良さなどは比較にならない。 多少誉め過ぎかもしれぬが、ある意味で理想の音に近い。 ただし、高価である。 同じセットを揃えようとするとスピーカのみで400万円、その他の装置を合計すると定価ベースでは800万円となってしまう。 何とか、限られたお金でこの音に近づける方法はないだろうか?
とりあえず効果的だと思われるのが、低域ユニットをSONYのSUP-L11に交換する手である。ユニット2個で多分27万円くらい(サウンドハウス、25%引きとして)。おそらくElectro Voiceとの比較においてはかなり効果を期待できるのではないだろうか?ただし、箱の影響も非常に大きいとおもわれるので、100%の効果は難しいであろうが。
この辺りはユニット自体と部屋、箱、その他の装置の影響がどの程度割合であるかということが非常に重要である。 ただ、非常に少音量であっても先のバーチカルツインの音は魅力的であったため、やはりユニットの影響が一番大きいと推測はしているのだが。
次は高域ユニットの交換、箱の交換という手順に一般的にはなるものと思われる。ただし、箱は非常に高い。(ツインでは1個、90万円と!) それに比較すると低域のユニット交換が一番支配的であろうし、経済的でもある。ただし、現在の箱で充分生かし切れるかどうかは容積と強度の観点から疑問が大きいことも事実である。何にせよ、ボーナス時期までは全く手の打ちようがないので、情報収集と試聴に努めるしか当分はないが。 それにしても何とも手に入れたくなる音である。

また、ユニット自体は大変重く、工作精度の高いものであり、それ自体の魅力もタップリである。SUP-T11は2450Jで使用しているホーンにマウントできるとの説明もあった。何とも食指の動く話ではないか。やはり、ほどなくまずユニットを入れ替えるということになろうか。 低域、中高域のユニットを各2個ずつ購入するとなると定価ベースでは86万円にもなり、おいそれとは手は出ないが。 やはり年齢的も限界があるので、理想の音はそろそろ手に入れておきたい時期でもある。 そして後は、音楽三昧といきたいのだが、まあ、現実は次々と良い音がでてきてしまう可能性があるわけだが。
ただし、昨今本当に感動できる音が少ないのもまた事実である。ダイナミックオーディオで聴いたノーチラス801も評判はえらく良いが、自分の好みとして考えた時には「ノー」である。音の静けさやトランジェントという観点からはむしろ現行スピーカの方が好みにあっていると考えられる。 いやはや、オーディオは大変な趣味だな。

今後の当該ユニットを使用したシステムの試聴におけるポイントは以下の通り。
(1)シングルウーファーシステムであるもの
(2)箱はあまりヘビーデューティでないもの
(3)超高級のアンプ、CDプレーヤではないもの
お茶の水のオーディオユニオンあたりに該当のシステムがあるのではと推察されるので、是非一度聴いて見ようと思う。上記の(1)~(3)の構成でそれなりの音が出ているの であれば、我が家でのユニット交換も俄然意味のあるもになると考えられるからである。 また、同時に現行ユニットの売却価格調査も開始した方か良いだろうか?


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