オーディオ日記 第3章 マルチアンプの罠(その3)1998年 9月日付不詳


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音としては一応落ち着いた構成になった。 構成は妥協の産物であるが、音としてはやっと一段落して、「音楽」を聴けるようになった。

今回の一連の作業で分かったことは「音は難しい」である。
「悪いと判断する感覚にはほとんど誤りはない」
「音が悪いのは必ずどこかに原因がある」
「一番悪い部分がすべてを支配し、問題判別を難しくする」
「良い音が分からなければ改善はできない」
「論理的な試行錯誤はやはり必要」 などなど。

現状の構成は以下の通り。
# C260 + SH-8065 Graphic Equalizer(Rec Out, Monitor経由接続)
# DOD Channel Devider ; Cross Over 600Hz(程度)
# P-360 低域 -7dB (Channel Devider経由) ATT -0dB
# P-102 中高域 -20dB (Channel Devider通さず) ATT -0dB

実施した改善策など。
・DOD Channel Deviderは音の透明度の観点から中高域には使用できないことが明確となった。 ただし、低域についてはCross Over Network使用では高域のカットがシャープ(インピーダンス補正が充分ではない?)ではないこともあり、マルチアンプのダイレクト感の方が勝っているように感じられる。ただし、Channel Deviderが原因と想定されるごく低いノイズが出る。(通常の聴取位置では特に問題にならないが)
・中高域についてはCross Over Networkのハイパスフィルターに6.8μFのコンデンサを追加し、-18dB/Octのスロープ特性とし,従来は8Ω仕様であったため、低域のカットが不充分であったと思われる点を改善した。このコンデンサーの追加による改善効果が実のところ、結構大きくて驚いている。
・中域、高域ともアッテネーションは行っておらず、-0dBにて使用している。アンプ側のレベル設定で充分バランスがとれているため、あえてATTを使う必要性が発生していない。(使用しなければ、それだけベターなので)
・Graphic Equalizerの使用については機器が古いこともあり、当初問題があるのでは?と想定していたが、下記のいずれも今のところ顕著な問題はない。
- 左右のレベル差、定位
- S/Nの悪化
- 不透明感、付帯音

これはRec-out、Tape Monitor端子を使用することによるS/Nの改善効果が効いていると推定される。 また、現状ではGraphic Equalizerによる低域の改善効果(80Hz以下のブーストと125Hz近辺のピーク押え込み、200~250Hzの補強)が認められる。なお、高域については現状それほど補正する必要性を感じていないが、1.25KHz、1.6KHzをほんのわずか下げ、2KHzを2dB程度上げている。 現状のバランスでは3KHz以上の補正の必要はないと思われる。


今後について
・DODによるマルチチャネルの実現はやはり困難なため、将来的にはF20などを導入する必要がある。 この時問題となるのは、2wayでいくか3 wayにするか、ということであるが、アンプの設置場所を含むトータルコストバランスでは2wayに軍配があがる。やはり、ある程度以上のアンプが必要となるし、F-25の3way構成は非常に高価になる。F-20の導入が次のターゲットになるが、Cross Overの設定が結構難しい。 中低域では音の差が大きい。650Hz程度と想定しているが、これはやってみるしかない。また、このHybrid構成であれば、高域のCross Overは比較的安価に変更できるので、6.5KHzから8KHz、10KHzと試してみることができる。 ただし、この辺りのCrossOver ポイントの変更は今までの経験上、あまり大きな音の差にはならないと推定。中古(F-15L)などの検討も考えられるが、出物が少なく、価格も高い。
・Cross Over Networkを何度も組み返したため、Monitor PC のケーブルが繋ぎ合わせになってしまっている。 折りを見て対応が必要であろう。ただし、音質的に絶対不可欠の状態ではない。
- 低域をストレートにする
- Cross Over Network Box内の一部配線
- 中域、高域のユニットへの配線

・P-102が古いため、若干の問題が発生し始めている。9月18日メーカーに問い合わせたところ、リレーその他の不都合と考えられるため現行の症状であれば修理可能との判断であった。 直接メーカーに送る手もあるが、これはやはりオーディオユニオン経由対応してもらうよう手配する予定。電源オン後、しばらくして動作安定するのであれば、パワートランジスターの問題ではないとのことで、一安心。 今のところ暖まった後の音質の問題はないので、当面この構成で使い続けたいし。

症状は以下の通り。
(1)電源投入後、出力回路が接続されても、左チャネルの音がすぐには出ない。信号を送っていると、しばらくして音が出始めるが右チャネルに比較して音量が明らかに小さい。おそよ20分から30分程度経ち、アンプが充分に暖まってくるとこの音量差はなくなり、通常に聴けるようになる。
(2)電源投入後の出力回路接続時にポップノイズが発生することがある。 (これも左チャネルのみ)アンプが冷えた状態の時は結構頻度が高い。 暖まっていると発生は少ない。

・Graphic Equalizerのグレードアップ
低域の改善にはGraphic Equalizerがやはり不可欠と再認識した次第。現状の構成においては「古い」、「デザイン的に統一されていない」ということ以外に大きな問題はないが、将来的にはグレードアップが必要であろう。 ただし、Graphic Equalizerは「音質改善」には効果がないことを再度認識すべきである。 音が練りあがった上での「補正」には役立つが。 候補としてはG-18の中古となるが、DG-28も高価であるが、捨て難い。ただし、DG-28についてはアナログ接続はやはり A/D、D/Aコンバータとも問題ありそう。 おそらく、デジタル専用と考えるべきであろう。 また、現状の経験から何もフラットにする必要がないので、テストCDによる音圧測定とヒアリングにて十分とも考えられる。 また、補正したいのが低域のみであれば、G-18の中古を探すのがコストの観点からはベストではないだろうか。ただし、マルチアンプシステムの低域だけ補正する場合はRec Out接続はできないので、現状と同様に全域で使用するか、Pre-Outを受けて低域だけにいれる方式にするか思案のしどころでもある。 バランス接続可能で、S/Nの問題が発生しなければ、低域にのみいれることも可能であろう。


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