『同性愛に関するアンケート調査』
1998年3月に、AGPの分科会の一つゲイ・カウンセリング・ネットワーク(GCN)では、日本全国の精神科およびカウンセリング機関に対して、『同性愛に関するアンケート調査』を行ないました。200件あまり送ったアンケートのうち、51件が回送されてきました。機関を特定できるような情報は公開しない約束で回答してもらったので、ここでは、オンライン上に載せてもかまわない、そのごく一部だけをご紹介します。このアンケート調査を行なった一義的な目的は、統計的な資料を得ることではなく、GCN電話相談の紹介先になってもらえる機関を確保することであったため、アンケートの送付先は、「ここなら紹介先になってもらってもいいんじゃないか」という、GCN会員の主観的判断に基づかれて選択されたものです。
AGP
ゲイ・カウンセリング・ネットワーク(GCN)
アンケート集計結果
■記入者の性別
男性(38)、女性(11)、不明(2)
■記入者の職種
1. 精神科医(35)
2. 臨床心理士・心理カウンセラー(15)
3. その他(1)
I. まず、あなたの同性愛に関する見解等についてお聞きします。
I-1. あなたは、精神科医や臨床心理士になるための専門教育の中で、同性愛について教わる機会がありましたか。
1. なかった(36)
2. あった(15)
I-2. あなたの同性愛に関する情報・知識は、主にどのような情報源によって得られていますか。
(自由記入)
マスコミ (25)
一般書 (23)
医学書/文献 (12)
同性愛者の友人 (8)
同性愛者の患者 (7)
一般人の反応 (4)
HIV関連団体 (3)
講演会/学会 (3)
映画/芸術 (2)
その他(7)
I-4. 同性愛の性的指向を異性愛の性的指向へと変えることは可能だと思いますか。
1. 多くの場合可能ではない(21)
2. 多くの場合可能である(1)
3. 個々の患者・クライエントによって全く異なる(24)
4. わからない(9)
I-5. あなたの同性愛に関する見方・考え方で、以下にあてはまるものがありますか。あてはまるものにいくつでも○をつけて下さい。
1. 心理学的・精神医学的にみて、同性愛は、正常であるとは言い難い。(3)
2. 心理学や精神医学の分野において、同性愛は、異常であるとはみなされるべきではない。(32)
3. 同性間の性行為は、生殖・子孫を残す事に結びつかないので、どこか不自然な性の形態である。(7)
4. 同性愛は、人間の多様なセクシュアリティの表現形態の一つである。(42)
5. 生物界では、常に少数ながら一定の割合で、
同性同士の性行動を取る傾向を持つ個体が生み出される様な仕組みになっている。(11)
6. 「同性愛をどうしても治したい」と訴える患者・クライエントについては、
本人の訴える通りに、最終的に異性愛者としての生活を
送れるようになることが、本人の幸せにつながる。そのようなケースが多いと思う。(6)
7. 「同性愛をどうしても治したい」と訴える患者・クライエントについては、
最終的に自らの同性愛を肯定的に受容できることが、
本人の幸せにつながる。そのようなケースが多いと思う。(26)
8. 医師やカウンセラーの専門教育の中で、
同性愛について教わる機会をもっと設けるべきである。(32)
9. 心理学者や精神科医は、専門家として同性愛についての正確な知識や情報を有するべきである。(36)
10. 心理学者や精神科医は、専門家として、必要に応じて、同性愛に対する
一般の誤解や偏見を解くための教育や啓蒙の活動にも関わるべきである。(16)
11. 自分は、専門家として、同性愛についての知識を充分に持っているとは言えない。(37)
12. 同性愛に対する否定的イメージのために、同性愛者や同性愛者の
肉親がストレスを感じてしまう社会の 現状は改善されるべきである。(29)
III-1. これまでに、あなたは、同性愛の患者・クライエントの診療・カウンセリングを行ったことがありますか。もしくは、同性愛の患者・クライエントの診療・カウンセリングが行われたケースを身近に見聞きしたことがありますか。
1. ない(8)
2. ある(43)
内訳:
(1)自分自身が、同性愛者の患者・クライエントを受け持っていたことがある(40)
(2)同じ職場の医師・カウンセラーが、受け持っていたのを見聞きしたことがある(11)
(3)自分が参加した症例検討会で、そのようなケースを見聞きしたことがある(9)
(4)その他(5)