. | 2001.08.29 ■自由業者と失業者の狭間をウロウロとしている身分でありながらキッチリ10日間もの夏休みを取り終えて3日目、ようやく頭も身体も仕事モードというか、仕事待機モードに入ったにもかかわらず仕事は無し。いや、本当は夏休み終了の当日からあるはずだった校正が、クライアントから戻らないままで、これで本当にクライアントが死守したいとする納期に間に合うのか、当方に非はない(?)ものの、いささか不安がつのる、そんな蒸し暑い午後、思い立って雑文をしたためんとす。■10日間というのは、長いようで短い。終わってみれば、もはやうたかたである。登山に温泉、ドライブ、地ビール、蛾や蟻や小っこいカブトムシ(メス)や竈馬や紙魚や羽虫との戯れナドナド、思い出のネタは盛り沢山だったはずなのに。■年に1回、信州で夏を過ごすようになってから数年。今年は、緊縮財政とすべきところを無謀にもレンタカー(トヨタ・Vitsだけど)を借り、まずは田舎暮らしにおけるクルマの便利さを改めて痛感し、かつ、ハンドルを握ることの快楽(ってほどドライビング・テクがあるわけではないが)に浸り、数回ヒヤヒヤもあって、これまた年1回のドライブを満喫した。クルマは、単に便利だから利用されているだけではないってことぐらい、99%のペーパードライバーにも分かる。■それにしても、帰途は早朝3時45分発で、まずは霧が立ち篭める中の運転には閉口した。20メートルほど先がまるっきり見えない。霧が薄くなるまでは、センターラインと側溝頼みの運転だった。しかし、上信越道、関越道、東京外環、首都高川口線と、思いのほかスムーズに流れており、上信越道の対面通行部分でトラックにあおられた以外はまずまず快調だった。それにしても、年に1回の暗闇の中の高速道路はやはり緊張を強いられ、それだけで夏休みの印象が決まってしまったというか、良き思い出が吹っ飛んだというか、いずれにせよ、神経が疲れたってことが前面に出てしまったのは残念だった。■今夏の収穫をランダムに記す。今年はヤママユガがやってきた。蛍光灯をめがけてガラス戸や網戸に特攻をかける元気な蛾の大部分は体長3〜4cmほどの焦茶色の地味な蛾である。そいつと体長そのものはそれほど変わらないのに、あのヘビの頭のような独特の形の羽が大きく、触角も長細いウチワ型の蛾である。それにしても、蛾というヤツは、大小もさることながら、形のうえでもさまざまである。枯れ葉型、木の幹の保護色、折り畳み傘のように羽を畳む白いヤツ……こんど、図書館で蛾の図鑑をめくってみよう。■毎夏恒例の浅間山登山は、ガスのせいで山頂目前で引き返したが、台風11号が過ぎ去った晴れの日に、根子岳〜四阿山に登った。そうそう、台風11号は、あれほど警戒が必要とされていたけど、信州ではそんなに影響を受けなかったように思う。さて、ダボス牧場にクルマを止め、まずは根子岳を目指す。牧場のバラ線沿いの道から白樺(?)林の道を経て山頂へ。やや単調な道だったが、マツムシソウが咲き乱れていた。根子岳から岩場を通ってクマザサの道を下る。やがて急な登りになり、ここはキツかった。尾根に出て、木製の階段を登るとほどなく四阿山の山頂。根子岳には登山客は3組しかいなかったが、こちらは平日にもかかわらず盛況で、10組以上はいただろう。どうやら、ケーブルを利用すれば2時間ほどで登れるルートもあるらしい。愛犬連れの女性、軽装の子ども連れ、いい匂いで炒めものをするグループなどの他、大声でウンチクや私事をのたまわる高齢の男性(やたら大声の人、どうでもよさそうな自分のことを喋る人ってのは浅間山にもいたなあ)もいて、この人なんて、やれ神経痛だの、神経痛が出てから山登りをするようになっただの、聞かれもしないことをベラベラやっていて、連れの人(やはり高齢の男性)もいたたまれないんじゃなかろうかと、余計な心配をしてしまった。さて、四阿山から中四阿〜小四阿ルートを下る。ここは長〜いダラダラ道で、さすがにヒザに来た。最後の最後で台風による影響か、増水した川を渡る丸太橋が流されかかっていて、それでもジワジワと渡りきり、牧場でおいしい牛乳を飲んだ。共同浴場の「ふれあい真田館」で汗を流した(ここはイマイチ)。■どこか、良さげな温泉に浸かろうと、いろいろなガイドで評価が高い半出来温泉を目指すも、たまたま休業日。仕方ないので、鳥居峠を下ったところにある渋沢温泉へ。あまり期待せずに行ったのだが、ここは良かった。鉄泉かなあ、あのサビ臭さ、ぬるめの湯をじっくり堪能し、おかみさん手打ちの蕎麦を啜る。そこで連れ合いが他の入浴客から「室賀温泉ささらの湯がいい」との情報を仕入れたので早速行ってみた。昔ながらの共同浴場ではなく、1億ふるさと創成資金やら補助金やらで掘り出したような、あの手の温泉施設だが、さすがに湯は青木村とか丸子町とかの温泉と似ていてほのかな硫黄臭があり、まあまあであった。個人的には、ふれあい真田館にはサウナが欲しいが、この室賀温泉ささらの湯にはサウナはなくてもよい、そんな感じだ。ともあれ、この日の温泉のハシゴは正解だった。■(この項、つづく) |