本日の御題:与野党、逆転の力学 in '99 |
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本コラムは、【逆転の力学】の後編です。 前編では過去の予測について書いたが、ここで書き終えてしまってはいかにも眉唾ものなので、 これからの未来について、ある予測を立てたい。
また、その前に一言断っておかなければならないことがある。前編にて私は民主党の菅氏のホームページに自民党から
政権を追い出す方法と題してメールを送ったことを書いたが、私自身は必ずしも民主党シンパではない。それは過去のコ
ラムを見ても明らかだ。
◆1999年冬の陣の陣形 こんな情勢の中、自民党内でも主流派と反主流派の多数派工作が始まっている。「与党の中の与党」と「与党の中の野党」 の権力争いだ。どうも自民党というのは、政権が少しでも安定すると(支持率が回復すると)内輪もめを始めるらしい。 一方、民主党でも代表選挙への動きが活性化している。すでに鳩山氏が名乗りをあげている点が真新しい。 これまでは菅氏一点張りだった同党にとって大きな方向転換になる可能性は極めて高い。
また自由党も小沢氏の連立離脱も辞さない態度に、一部の若手議員からは疑問の声があがっている。
1999年冬は、与野党共に、党内に問題を抱えそうな様相である。 影の内閣構想、失敗の兆候 昨年の参議院選挙後、私が影の内閣構想を提案したのは、前編に書いた通りだ。一方、現状は当時とは大きく異なっている。 まず最大の違いは【1】民主党と連立しようと言う政党が事実上存在しないこと。次に【2】民主党・菅氏の支持 率が低下していること、【3】民主党内に、菅氏の党運営を疑問視する人が増えていることが挙げられる。
状況が変われば手法も変わる。これは当然である。今、もし影の内閣構想を実行しようとしても、【1】に示した理由のために
なんてことはない、影の内閣は民主党が勝手に作った内閣に過ぎないわけだ。この独善的とも思える行動が大きな潮流になるとは
考えにくい。また【2】の理由から、反自民勢力の受け皿として民主党が選ばれる状況にはない。 以上が、私が影の内閣構想に反対する理由だ。 【逆転の力学】in '99 では、与野党逆転の秘策はないのか? 「ある」と私は断言したい。 理由は明白だ。公明党以外、与党中枢は求心力を失いつつあり、無党派層も若干減ったとはいえ健在だ。しかも連立与党は 「通信傍受法(盗聴法)」と「住民基本台帳法(国民番号制法案)改正」という アキレス腱を持っている。 その一方で、公明党の反対によって国民から支持されている衆議院定数削減がうやむやになれば、 どうしてこの政権に支持が集まるだろうか。 現在、野党はこれをうまく世間に訴える術を持っていないために、支持を集められずにいるに過ぎない。 逆を言えば、訴える術さえ持ったならば、連立与党の屋台骨をへし折るぐらいのことはできるのである。 そのためには、まず、次の言葉を明確に訴えるべきだ。 「国民に嫌われる法案が通り、国民が望む法案が通らない。もし現政権が生き残れたならば、 日本には民主主義など初めからなかったと言える」
その一方で、自由党に対しては懐柔策を取るべきだ。少なくとも本気で与党になりたいと考えるならば、無意味な(決して
可決されることのない)内閣不信任案を出して国民をしらけさせるより遥かに有効である。
また、事実上唯一の野党、民主党の党首に誰も早い段階に決めておくべきだろう。 するとおそらく菅氏と鳩山氏の戦いになる。党内には反菅氏の勢力が増えつつあるので鳩山氏に軍配が上がるだろうが、 政治に無関心な国民(無党派層の一部)でも知っている分かりやすいリーダーと言えば、やはり菅氏に軍配が上がる。菅氏の陣営 から言えば、ここは規模が小さくてもいいから世論調査を行い、二者択一形式で次の党代表にはどちらがよいか調べるべきであ る。国民は誰を望んでいるか明らかにすることで、強制力はないが、党内選挙に影響はあるだろう。 最後に、短期的ではあるが、自由党は少なくとも今回は連立政権から離脱することはないと予測したい。確かに同党と公明党 の政策には距離感はあるが、これまで与党に協力し多くの法案を可決してきた経緯がある。 たとえば、連立離脱をちらつかせている現在でさえ、オウム真理教対策として、自民党と自由党(公明党が含まれていないことに 注目。創価学会を後ろ盾にしている同党と、破防法改正案を協議することは難しい)は密接に協議を重ねているのだから。
今回の「連立離脱を辞さない」と拘る小沢氏の姿勢は、「数合わせの連立」という批判をかわすためのジェスチャーなのでは
ないだろうか? 本日中にも、進退について一任された小沢氏が結論を出すと言うが……。 (1999.8/11 Am7:16)
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