北海道・東北ツーリングU


2001.08.07.Tue.
 日の出と共に起床。健康的。これだよ、旅生活。
 今朝は気分も清々しい。手早く撤収準備を済ませ、6:00前には走りだしていた。男鹿半島西側の県道59号を船越方面へ向かう。この道がまたイイんだ。崖っぷちの高いところを走る道で、上下もあり海と断崖のダイナミック景色が楽しめる。快適な速度でコーナーを楽しむ事も出来るのだが、ここはスピードを抑えて是非素晴らしい景色を楽しみたい。去年も走った訳だが、何度来てもイイ。ここはオイラのイチオシの道だ!
 7:00頃には船越を通過し、県道56号を走っていた。7:30頃には秋田市に着いていた。しかし、平日の朝は通勤ラッシュで幹線道は混んでいる。よって、秋田市街はどこにも寄らず通過。R7をそのまま南下し、本荘まで行った。
 JR羽後本荘駅前でバイクを停め、これからどうしようか思案する。とりあえずYSPのバイク屋を探したいのだが、昨日みたいに適当に大きな街に行って電話帳で探すというような行き当たりばったりでは見つからない可能性が高い。そこで思いついたのが、ネット検索。こんな時のために、モバイル端末を持ってきているのではないか。早速シグマリオンと携帯を取り出し、インターネットに接続してYSP店に関する情報を探してみた。Googleで検索をかけたら、一発で出てきた。流石Google。
 YSPのHPにて店舗のリストを見て、最寄りのYSP店を探す。やっぱり東北は店舗数が少なく、今まで通ってきたところでは青森と八戸にしかなく、秋田県には一軒もない。むぅ、そうなると山形に入ってからか。ここから一番近いところでは、山形市のYSP山形西と、一関のYSP一関になる。しかし、どちらもここからではまだ距離がある。今日中に行って看てもらう、って訳にはいかないカモ。まぁ、EXUPが動かさない回転域でも、峠を攻めなければ十分に走れるので焦る事はないか。とりあえず明日以降にしよう。
 という訳で、今日はこの後どうするのか。振り出しに戻った。事前に情報を収集していた訳ではないので、秋田というとどこが見所なのかよく判らない。そこで、タンクバッグから一冊の本を取りだした。「日本一周バイク旅4万キロ 下巻 東日本編」(賀曽利隆著、昭文社刊)である。これで敬愛する賀曽利さんは日本一周の際にどこを走ったのか調べ、同じ所を走ろうというのである。賀曽利さんはオフ社の DJEBEL250で走り、林道も沢山走っているのでオンロードバイクのサンダーエースでは全く同じルートは辿れないが、大体同じ辺りを走れればと思ったのである。
 で、賀曽利さんは秋田市からR7で本荘まで下り、そこから内陸に入って再び本荘に戻ってきている。その際に、大湯温泉というところに寄っている。そこは湯量が豊富で、吹き出した温泉が川に流れ込んで川風呂になっているとの事。決めた! ここに行って川風呂に入ろう!
 飯を食うのと行動が早いのが自慢のオイラは、さっそく本荘を後にし内陸に入っていった。まずはR107で横手へ向かう。ここもトラックが数台走っており、ペースは遅めだったが10:30頃には横手に着いた。朝食抜きでいい加減腹が減ってきたので、駅前通りで見つけたコンビニ寄り、パンを買って遅めの朝食にする。その後、横手城跡へ行き天守閣作りの展望台に登った。展望台自体は大したことなかったが、横手の街を一望する事が出来た。
 横手を後にして、R13で南下。しばらく行ってR398に入り、南下して行く。この道は国道とは言えちょっと細目(それでも片側一車線)だが信号が少なく、車も少ないので快適に走れる。田園地帯を走るので、のんびりした景色で良い。
 途中、稲庭まで来たところで国道沿いの「七代養助本店」という、うどん屋に入り昼食にする事にした。時間も丁度12:00前で、この地方の名物である稲庭うどんを食べたかったのだ。この店で「二味」(一人前 \780)という物を注文する。これは、うどん自体は唯のせいろ(ザルうどん)なのだが、つけ汁が二種類あって一つは普通の醤油とダシで薬味にネギとわさびを入れたもの。もう一つは、胡麻ダレのような汁にネギとミョウガを摺った物を薬味として入れている。肝心の味だが、これはかなり気に入った。麺は細目で、関東のそばと同じぐらい。しかし腰があってシコシコしており、歯触り喉越し共に良い。そして細目の麺にはつけ汁がよく絡み、あっさり味の麺と相まって非常に美味くなるのである。胡麻ダレも思いのほか麺と良く合い、一つの蒸籠で二つの汁を交互に付けて食べた。腹一杯になっていなければ、もう一人前頼みたかった。朝飯を抜いておけば良かったと後悔。
 とにかく、ここの稲庭うどんはオススメです。うどんを食べてこんなに衝撃を受けたのは、3年前に四国の高松で讃岐うどんを食べて以来である。稲庭を訪れる事があったら、是非一度ご賞味あれ。
 美味いうどんを食って満足し出発したのだが、ここで失敗をしてしまう。なんと、財布他の全財産を入れたウェストポーチを落としてしまったのだ!
 「七代養助本店」を出て300メートルほど行ったところでガソリンスタンドに入り、お金を払おうとしてウェストポーチが無い事に気づいたのだ。「七代養助本店」を出たときには手に持っていたのは確かで、ジャケットを羽織る為にウェストポーチを荷物の上に置いてそのまま忘れてしまった為、走り出したときに落としてしまったのだ。すぐに気付いたオイラは、慌てて「七代養助本店」まで走って戻り探した。しかし見つからない。途方に暮れて店に入ってレジで訪ねたところ、お客さんが拾って店のレジに届けてくれたとの事。中身も全部無事だった。お礼を言いたいのでどなたが届けてくれた教えて下さいと言ったが、そのお客さんはもう行ってしまったとの事。ああ、どなたか存じませんが、ありがとう御座います。アレが出てこなかったら、旅はここで終わりだと諦めなければならない所でした。直接お礼に伺えないのが非常に心苦しいのですが、本当に感謝いたします。
 実は、2年前にも九州に行った際に財布を落としてしまって焦った事があった。あの時も落とした場所が思い当たり、すぐそこに行って見つけることが出来たのだが、そこに向かうまでの間「見つからなかったらどうしよう」と気が気でなかった。皆さん、貴重品は無くさないように気を付けましょうね。
 炎天下の中、全力疾走で走った為に汗だくになり、財布が戻ってきた事による安堵感でガソリンスタンドに戻ってきたときには完全に身体から力が抜けていた。スタンドのおばちゃんに笑われてしまったが、「ゆっくり休んでいきなさい」と声をかけてもらえた事が嬉しかった。やっぱり東北の人は親切だ。お金を払ってからお礼を言って出発した。
 R398を行き、大湯温泉には14:00頃着いた。小安峡温泉から少し離れたところにある一軒宿だが、国道沿いにあるのですぐに見つかった。入湯料\400を払って入る。一騒動あって汗をかいた後なので気持ちイイ。ここは内風呂と露天風呂、それから川風呂があり、どれでも入れる。オイラは、折角だから全部入った。楽しみにしていた川風呂も、結構良かった。川の水が流れているところへお湯が流れ込んでいるので、暑いのが良い人はお湯の流れ込むところで入り、ぬるいのが良い人は湯口から離れればいい。川の水も綺麗なので、熱い風呂に入った後、そのまま冷たい水に入っても気持ちイイ。ここもオススメですよ。
 風呂から上がってしばらく涼んでから、大湯温泉を後にする。この後は、また本荘方面に戻るつもりだが、同じ道を戻るのはつまらない。ツーリングマップルを見て、一旦、湯浜峠を越えてから県道でR108に出て北上すると決めた。出発してR398を花山峠に向かって登っていく。しかし、峠に近づくにつれ雲行きが怪しくなってきた。峠付近でガスってきて視界が悪くなり、花山峠を越えたら10メートル先が見えないような状態に。路面も濡れてるし、殆ど霧雨状態。コイツはたまらん。花山峠越えの後、湯浜峠を越えたらすぐに県道248号で西に向かい山越えするつもりだったんだけど、この霧の中、細い山道を行くのは危険と判断しR398でそのまま峠を降りた。もっとも、霧で県道の分岐が見つけられなかったので結局は国道を使う事になったのだが。
 R398で麓まで降り、花山湖まで来ると霧は晴れていた。ガスってたのは峠の方だけらしい。それでも曇り空だったので、これ以上内陸に行くのは止めよう。どうも太平洋側は天気が良くないようだ。日本海側に出るために本荘方面に戻ろうと考えたが、峠の天気も怪しいので出来るだけ山を避けたルートを選択する。R457で西へ行き、新荘に出てからR13で北上しようと決めた。このルートでは、山の近くでメットのシールドにポツポツと小さな水滴が着く程度の小雨が時々降っていた程度だが、なんとか雨具を着なければならないような状態は避けられた。新荘に近づくにつれ、雲は少なくなっていった。
 新荘を通過してR13で北上する。雄勝トンネルを抜けた後、R108で更に北上。途中で早く日本海側に出たくなって、県道58号に入って鳥海山越えを敢行。しかしこれがまた失敗だったか。車のは少ないし、小さな農村をいくつか通過するような田舎道で途中までは快適に走れたのだが、山を登ってからが凄かった。舗装されているとは言え、軽自動車一台がギリギリ通れるくらいの細い道で、おまけに丈の高い草が伸び放題で左右から迫り非常に見通しの悪いヘアピンが連続する。当然の如くカーブにはミラーなど無いし、所々に「熊出没注意」の看板があるだけ。EXUPが動かなくてエンジンの回転も上げられず、この時ばかりは流石に崖っ縁や山道が好きなオイラも不安になった。ペースも上がらないしクネクネ曲がった道で方向感覚も狂い、決して高くはないがデカイ鳥海山を何時まで経っても越えられないような気がしてくる。その内、道を間違えてるんじゃないかと思うようになり、残り燃料も気になって果てしなく不安に陥っていくのであった。そして極めつけは突然のダート。道の脇は木々で覆われ、日も傾いてきて薄暗い中で、アスファルトの路面が前方で途切れたときは「ヤバイ、道を間違えた!」と思わず叫び、絶望的になってしまった。それでも、今回のツーリングではダートに出くわす事が多くて多少は慣れたのか、後戻りせずに少しだけ前進したところ工事現場らしい所に出くわし、人影を見つけて安堵のため息をついた。こんな誰も通らないような所でも一応、交通整理をしているおばちゃんに、「この先は舗装されてますか?」と聞いたらもう訝しげな顔をされてしまった。それもその筈、数十メートル先で元通りのアスファルトの道になっていたのだから。この時は、ちょっと恥ずかしかった。でも、不安が積み重なってダートを見たときはパニック起こしかけたのだから、仕方のない事。やっぱりオフ車が欲しいなぁ、と思わせられるシチュエーションでもありました。
 さて、気を取り直して走り出すと、道は下りで徐々に広くなり、カーブも半径が大きく見通しのよいものになっていった。空には雲も殆ど無く、やはり日本海沿いは天気が良いようだ。
 道は水田用の用水路の横を走るようになり、その時は延々下りの直線が続くようになっていた。鳥海山から海まで一気に下る道なので、ここの坂はスゴイ。先程の山道とは一転して爽快な気分になり、アクセルを閉じてるのにどんどんスピードが上がっていった。そして遂に、田んぼの向こうに日本海が見えた。傾きかけた日が海面を照らしてキラキラと輝き、とても眩しく美しく見えた。思わず「ヤッター、日本海だァー! 愛してるゥゥゥぅ!」と叫んでスタンディングでガッツポーズなどとっていた。
 県道58号からR7に出たところはちょうど象潟の辺りで、R7を少し本荘方面に戻って蚶満寺へ行った。ここは「奥の細道」の中で千満珠寺として登場した所で、松尾芭蕉がたどり着いた最北地である。象潟には、「奥の細道」にまつわる場所が沢山ある。蚶満寺に着いたのは17:00近かったので拝観は出来なかったが、周りの九十九島名残の松の丘を歩いた。
 その後は、今夜の寝床を探す事に。象潟から10km程南に行ったところに三崎公園というところがあり、ここにキャンプ場があるとツーリングマップルに書いてあったのでそこへ向かう事に。三崎公園は夕日も綺麗らしいので期待しよう。途中で給油して三崎公園に行ったが、なんとキャンプ場の受付は17:00まで。それ以降は受け付けず、ご丁寧に無断使用も禁止と看板が出ていた。せっかく場所的にも良さ気な所なのに、残念。仕方なく三崎公園を後にし、R7を更に南下した。遂に県境を越えた所で西浜キャンプ場という所を見つけ、そこでビバークする事にした。しかし、家族連れも結構来ていて設備も整っている代わりに高かった。キャンプ場使用料がテント一張りが \600で、駐車場代が一晩 \250だった。併せて \850。しかし、これ以上走る気力もなかったのでここで泊まる事にした。
 日が沈んでしまう前に、手早くテントを張って荷物を運び込む。それから腹ごしらえできる場所を探す為に、再びバイクに跨る。幸い、キャンプ場の近くに十六羅漢岩という所があり、このすぐ近くに羅漢という食堂があったのでそこに入る。ここは宿も兼ねているようで、食堂からの夕日がばっちり見られて最高のロケーションだ。飯は牡蛎フライ定食を頼む。牡蛎はここで採れた岩牡蛎で、厚岸の牡蛎に比べて身は小ぶりだが味は良い。かぶり着いた途端、中から牡蛎の汁が出てきてとてもジューシー。これは美味い。水平線に沈み行く夕日を見ながら美味い牡蛎が食えて、とても満足。
 夕日も見られたし腹一杯になった後はキャンプ場に戻り、洗面用具を持って風呂へ。キャンプ場のすぐ近くに西浜温泉があり、歩いて行った。ここはクアハウスのような所で、入浴は大人一人\500。ここのところ、一日二湯のペースで温泉入ってますな。イイカンジ。
 温泉入ってサッパリした後はキャンプ場に戻って床に就いた。
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