北海道・東北ツーリングU


2001.08.06.Mon.
 起床は7:00。昨日、徹夜だったから今日は朝が遅かったです。それでもチェックアウトは早くて、8:00ちょい過ぎには出発していた。
 盛岡市内は去年観て回ったので今年はどこにも寄らず、すぐに市街へ出る。今日は早めに秋田に行って、YSP店のバイク屋を探そう。
 R4で北上し、滝沢村に入ってからR282、津軽街道で更に北上する。東北自動車道、西根ICを過ぎたところで県道23号に入って八幡平へ向かった。天気は、朝の内はちょい曇り気味だったけど山へ向かう内にどんどん晴れてゆき、八幡平アスピーテラインを登る頃には快晴となった。コーナーの連続する急な坂道を一気に登り高度を稼ぐと、樹林帯を抜けて突然視界が開ける。高山独特の景色が目の前に広がった。雄大な八幡平を背景に、北上山地と岩手山がよく見える。コレはイイや。山に来てこんなにウキウキしたのは久しぶりだ。バイクの不調による憂鬱も一気に吹き飛んだ。
 今日は平日なのでバスも比較的少なく、快適に走れる。あまりにも気持ちイイので、途中の展望台で止まってヘルメットを脱ぎ深呼吸。エンジンを止めると、一瞬静寂が辺りを包み込む。どこからか鳥の鳴き声が聞こえてきて、山の雰囲気が蘇る。空気が美味い。
 展望台では車が一台止まっていて、地元の人だろうか。家族連れがお弁当を食べている。清々しい空気と相まって、穏やかで平和な光景をつくり出している。ここは来て良かった!
 しかし、よく見たら車のナンバーが横浜ナンバーだったりして。ああ、世間でも今は夏休みなのかな。相模原を出発してから一週間以上が経ち、既に曜日感覚が失われている。お陰で時間の流れも気にせずに、この穏やかな時間に浸っていられる。うーん、心のセンタク。
 しばしの休息の後、岩手山の写真を数枚撮ってから再び走り出した。程なくして、八幡平頂上手前の見返峠の駐車場に着く。ここは県境に近く、ちょっと行けばもう秋田県側だ。
 ここでも休憩をとろうと思ったのだが、駐車場が有料だったりする。バイクで駐車にお金出すなんてバカバカしいので、レストハウス横の歩道に停めた。ここでも展望台に登って写真を撮る。実にイイ眺めだ。この駐車場からちょっと歩けば、八幡平の頂上に行ける。頂上まで登ればもっと景色も良さそうだが、ライディングシューズだし日差しも強くなって暑くなってきたので頂上に登るのは諦めた。
 朝飯を食べていなかったので、何か食う物はないかとレストハウスの売店に行く。しかしおみやげ物ばかりで、まともな物はなかった。地下には食堂もあったが、午前中にもう少し走りたいので時間が掛かる物は避けた。あんまり腹も減ってなかったし。それにしても糖分補給ぐらいはしておいた方が良いと思い、土産物をちょっと眺める。ここでは南部名物の「ゆべし」が売っていた。そう言えば去年も松島でおみやげに買っていったのだが、実家の家族には評判が良かった。特に姉貴が気に入っていたようなので、一箱(5個入り \520)買ってゆく事にした。他にバラの「ゆべし」と「みそゆべし」を一個ずつ買ってその場で食べた。ゆべしは餅のような食感と、適度な甘さでオイラも気に入っている。「みそゆべし」の方は甘味噌をゆべしで包んだ物で、こちらも美味いが人によっては甘過ぎるかもしれない。オイラは普通の「ゆべし」の方がオススメ。
 糖分補給完了の後、再び走り出した。秋田県側に入りちょっと下ったところにある、蒸ノ湯温泉による。ここで昼真っから温泉に入る(入湯料 \500)。ここは主に登山客が利用する山荘のような一軒宿で、内風呂と川の近くの露天風呂があり、両方に入れる。オイラは暑い中川縁まで降りていくのが大変なので、内風呂だけにした(^^;
 しかし、内風呂の方もかなり良いカンジ。宿の泊まり客は、もうとっくに山登りに出かけているのだろう。温泉に入っているのはオイラだけで、快晴の八幡平を観ながら貸し切り状態で入る温泉は最高にイイ気分だった。湯から上がって宿の主人に聞くと、この辺りではこんなに暑くなって本当に夏らしくなる日はそうないとの事。標高が高いので夏でも涼しい日の方が多いのだ。そう考えると、今日は絶好の登山日和。なんだか久しぶりに山登りもしたくなってきたなぁ。
 しかし、登山装備もないので山登りはまたの機会だ。とりあえず入浴後でマッタリしているのですぐには出発せず、ロビーで休憩しながらHPの更新をする。ツーリング日誌の更新をする為にシグマリオンをタンクバッグから取り出した。しかし、ここで驚愕の事実に直面する。なんとシグマリオンのバッテリが上がってる! な、なんでぇぇぇええぇぇぇぇ!? そりゃ、八戸と盛岡でビジネスホテルに泊まったときに充電しなかったけれど、その分バイクから電源取ってインバーター通して走ってる間に充電してた筈なのに。おかしいと思ってバイクの所へ行きインバーターを調べてみたら……壊れてる。シグマリオンのACアダプタを挿しても、通電ランプが灯らない。ガーン! つまり、今まで全然充電されてなかったのね。それでバッテリが上がってしまったのか。仕方ないのう、次に充電する機会が来るまでシグマリオン使えないのか(よって、この日以降のツーリング日誌は帰宅後に書いてるものであります)。トホホ。
 とりあえず休憩の後、バイクに跨って蒸ノ湯温泉を後にした。県道39号で八幡平を下っていき、R341に合流。今度は田沢湖方面に向かった。
 11:30頃には田沢湖の辰子像の前に着いていた。田沢湖は去年も来たので寄るつもりはなかったのだが、八幡平から最短距離で秋田方面に行くとなると田沢湖を通過する事になるのだ。折角だから寄る事にした。
 時間も丁度良いので、近くの食堂で昼飯にする。水色の空と深い蒼色をした湖面を観ながら、ざるそばを一気にすする。ここでも貸し切り状態で、食後にクーラーの利いた食堂で涼みながらゆっくりと田沢湖を眺める事が出来た。やっぱり、こういう所は人が少ない時に来るべきだよねェ。人や大型観光バスが沢山来ると、それだけでイヤになっちゃうもんね。
 腹も落ち着いたところで再び走り出し、田沢湖を後にする。田沢湖から県道60号でR105に出て南下し、角館でR46を西に。共和町からR13、秋田街道で一路、秋田市へ。R13は途中トラックに引っかかった上、殆ど追い越し禁止なのでノロノロ運転を強要されてちょっとイライラした。しかし、14:00前には秋田市に到着した。
 まずはそろそろ底をついてきた軍資金を調達する為に、駅前で銀行を探す。しかし、秋田銀行ばかりで大手都市銀の支店は一行もなかった。仕方なく、「あきぎん」のキャッシュディスペンサーで手数料 \105を払ってお金をおろす。しかし、この手数料 \105ていうのが本当に納得いかないんだよなぁ。自分のお金を一部返してもらうだけなのに、なんで金取られなきゃならんのだ。今時はろくに利子なんか付けないくせに、取るときだけしっかり取るのだからずうずうしい。こんなんだったら銀行なんかに金預けたくないよな。まったくブツブツ……。
 と文句を並べつつ、次は近くの電話ボックスでタウンページを見てバイク屋を探す。不調の原因が EXUPならば、YSP店でないと早急な対応は出来ないかもしれないと思いYSP店を探したのだが……無い。秋田市周辺にはYSP店が一軒もない。なんてこった! これでは予定を変更して秋田市まで来た意味が無いじゃないの。しかし、そんな事を言っても仕方がないので、バイク屋は次の大きな街で探す事にしよう。
 さて、そうなると今日はこの後どうしようか。ここまで来たのだから、折角だから男鹿半島に行こう。去年は観光らしい観光が出来なかったから、その辺り攻めてみますか。
 そうと決まったら、速攻で秋田市を離れて男鹿へ向かった。R7で北上して秋田市街を出て、フェリー埠頭手前で県道56号に入る。ここは結構車の流れが速いし、片道二車線なのでカッ飛ばして行ける。男鹿に近づいて脇本で県道54号に入り、寒風山に向かった。まずは、日の高い内に景色の良いところへ行こうと思ったのだ。で、寒風山の頂上にある回転展望台まで来たら、これが本当に良い景色。周りに高い山もなく、広い干拓地と日本海がどこまでも広がって見える。ここはオススメだ。しかし、頂上の回転展望台は入場料 \1,000も取られる。その割には、展望台の外で見ても大して変わらないので、中には入らずに展望台の外で景色を楽しんだ方が良いだろう。
 寒風山の後は、男鹿半島内陸部を走る県道55号、別名「なまはげライン」を走る。男鹿半島には、街灯も標識もない道が結構あり、本当に田舎らしさが感じられる。お陰で日が暮れると辺りは真っ暗になってしまうので、地元の人にとっては不便かもしれない。しかし、その分夜は星が綺麗に見える。去年は天の川が見られた事を思い出す。山の上でなく、海に近いこんなに標高の低いところで天の川を見られるという事に驚いたものだ。
 なまはげラインで入道崎へ行く前に、真山のなまはげを祀ってい真山神社を訪れた。そこで参拝した後、神社の近くにあるなまはげ伝承館にいく。ここでは観光客向けに、なまはげ行事の実演を行ってくれる。毎日数回実演を行っており、時間が決まっているので見て見たいという方は時間を調べてから行くと良いだろう。なまはげの実演を見た後は、隣接するなまはげ館を見学。ここには、なまはげに関する資料が展示されている。展示されているボードには、なまはげの由来に関する説がいくつか書かれているが、いまだハッキリしていない部分でもある。民間伝承故に、その模式は時代と共に多彩に変化してしまうからだ。しかし、そういった失われた真実というものを、現代に残る伝承から推測するという行為は非常に興味深く、そして面白いものだ。
 ついつい夢中になって時間が過ぎてしまい、なまはげ館を出たのは16:00を過ぎていた。急いで入道崎に行く。しかし入道崎に着いた頃は、まだ日も高かった。夏は昼が長い。
 入道崎で日本海を眺めている内に、去年ここで見た夕日を思いだし、また見たくなってきた。今年は男鹿半島で一泊するつもりはなかったのだが、やっぱり泊まっていく事に決める。そうと決まれば善は急げ。去年もビバークした、国民宿舎桜島荘の脇のキャンプ場に向かった。まだ明るい内に到着し、桜島荘の方で受付を済ませてテントを張った。しかし、ここの使用料は高い。テント一張り \1,000だ。一応、キャンプ場内に温泉があって入れるのだが、桜島荘の方の余った温泉みたいなものなので、入湯料を含んでいても高いと思う。しかしこの辺りには他にキャンプ場がないし、国定公園だからそこら辺でテント張るという訳にもいかない。まぁ、悪いところばかりじゃなくて、断崖の近くにあるので非常に景色が良い。それから、今日は家族連れも比較的少ないので、そこのところをもって良しとしよう。
 テントを張って荷物を降ろしたら、入道崎に引き返す。が、その前に夕飯を済ませておこう。時間は17:00ちょい過ぎでちょっと早いが、この辺りは日が暮れると全ての店が閉まってしまうのである。去年はそれで失敗し、夕日を見てから食事が出来るところを探したら、真っ暗な中そこら中を走り回った挙げ句、男鹿温泉まで行ってラーメンしか食べられなかった。今年はその経験を生かし、日が沈む前に夕飯を済ませてしまおうという訳だ。
 桜島荘から入道崎へ向かう途中で食堂の看板を見つけ、そこに入った。が、そこはちょうど店仕舞いするところだった。しかし「食事できますか?」と聞くと、快く店を開けてくれた。そこでウニ丼(\1,700)を頼んだ。丼一杯に盛られたウニと、殻付きのウニに目の前の海で取れた海草を具に使った味噌汁を食す。すべて地元で採れた物だ。美味い。やっぱり海の幸は新鮮なのが一番だね。
 食堂のおばちゃんにお礼を言って、入道崎に向かった。入道崎に着いたのは18:00前。まだ少し日は高い。桜島荘のフロントで見たが、今日の日の入りは18:40頃だそうだ。それまで海を眺めながら待つ。ああ、夕暮れ前の日を受け、キラキラ輝く海が綺麗だ。やっぱイイなぁ。男鹿半島はオイラのお気に入りの場所で、五本の指に入るところだ。海が好きな人は是非訪れてみて欲しい。
 ただ海を見つめながら待っていると、やがて日は傾き空を緋に染めながら水平線に差し掛かる。ここから水平線の向こうに隠れてしまうまでがアッと言う間だ。だがそれもハッキリと見られる。普通に晴れている日でも、水平線に雲がかかっていると日没の瞬間は全然見られないのだが、今日は水平線の彼方まで晴れ渡っていた。沈み行く夕日の、束の間の美しさを目に焼き付ける。
 夕日が水平線の向こうに隠れてしまうと、周りの人達は一斉に引き上げてしまう。うーん、やっぱり普通は太陽しか見ないのかなぁ。日が沈んだ直後の柔らかい光で照らされる夕空と、その緋と夜空の間の深い紫のような紺色のような何とも言えない色彩の織りなす天空のヴェールが、オイラは大好きだし一番綺麗だと思うんだけどなぁ。
 暫しの間、空の色彩を楽しんだ後、キャンプ場へ戻った。キャンプ場内の露天風呂に入った後、星を見ようとそこらを散歩してみる。しかし今日は満月の日で、月明かりがとても明るい。そのせいで星は殆ど見えなかった。だが、ここで月に怒っては風趣がない。月は月で綺麗じゃないの。波の音、虫の声、淡い風の音を聞きながら月見を楽しみ、それから寝床に就いた。やっぱり男鹿半島はイイなぁ。
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