TOP > The Great Ace Attorney Adventures(英語版「大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-」)解説
Susato
What doesn't kill us makes us stronger, Mr Naruhodo.
スサト
‥‥苦労されているのですね。
成歩堂さま‥‥

龍ノ介が「愛用の万年筆を泣く泣く質に入れた」という話をした後の寿沙都の一言。
英語版のSusatoのセリフ「What doesn't kill us makes us stronger」は、これはドイツの哲学者フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ(1844年10月15日 - 1900年8月25日)の言葉。
ニーチェの1889年出版の著書「Götzen-Dämmerung」(邦訳:偶像の黄昏)の中にある、ドイツ語の「Was mich nicht umbringt macht mich stärker」という言葉を英訳すると「What doesn't kill us makes us stronger.」となる。
直訳だと「私たちを殺さないものは、私たちをより強くする。」
意訳すると、
「私たちを殺しにかかるような厳しい試練こそが、私たちを成長させてくれる。」
という意味。Susatoは「辛い思いをしたから、成歩堂さまは成長なさいますよ。」と励ましてくれたのだろう。

Sholmes
I cannot think why the whole bed of the ocean is not one
solid mass of oysters, so prolific the creatures seem!
ホームズ
とにかく。こうしている間にも‥‥
海の底は、牡蠣まみれになるのだよ!

机で何かに没頭しているホームズに話しかけた時の、このホームズのセリフは、原作ホームズのネタ。
短編集第4作「His Last Bow(シャーロック・ホームズ最後の挨拶)」に収録された短編「The Adventure of the Dying Detective(瀕死の探偵)」にて、瀕死の状態(のフリ)のホームズがうわ言で言った、

I cannot think why the whole bed of the ocean is not one solid mass of oysters, so prolific the creatures seem.
牡蠣にはあんなに繁殖力があるのに、何故海の底は牡蠣の塊で埋め尽くされないのか、ぼくにはわからない。
が元ネタ。
比較すると、このホームズ原作の文章と、Sholmesのセリフは、完璧に一致している(最後の「.」と「!」以外)。

Sholmes
Indeed I am. As you know, it has long been an ambition of
mine to discover a new star and name it for myself.
Ryunosuke
Because your earthly stardom isn't enough.
ホームズ
新しいホシに、自分の名前をつける。
ご存じ、ボクのササヤカな夢だからね。
ナルホド
‥‥知りませんよ。

ホームズの部屋で、ホームズと会話できるようになった時に「腕章」をつきつけた時のセリフ。
英語版のRyunosukeは「地上のスターでは物足りないということですか。」と星にちなんだツッコミを入れてくれる。
実はホームズにちなんだ小惑星は本当に存在する。

Iris
Do you have any idea how long it took me to write that
Baskerville story, Hurley?
Susato
Oh, it sounds so exciting! 'The Hound of the Baskervilles'!
I should love to read it!
アイリス
あれ書くの、タイヘンだったんだよ?
あたしの『バスカビル』。
スサト
いったい、どんなお話なのでしょう。
その、『バスカビル家の犬』とは‥‥

英語版でも「バスカビル家の犬」は原作ホームズからそのまま「The hound of the Baskervilles」。
「The hound of the Baskervilles」は、原作ホームズでは長編第3作目にあたる。

Sholmes
What say you to some Mendelssohn?
I won't take 'no' for an answer!
Ryunosuke
...Meddlesome it is, then.
ホームズ
ボクの独奏(ソロ)を、イヤと言うまで
聞かせてあげるとしよう。
ナルホド
‥‥そこは“イヤと言うほど”で
カンベンしてもらえますか。

「Mendelssohn」はドイツ・ロマン派の作曲家ヤーコプ・ルートヴィヒ・フェーリクス・メンデルスゾーン・バルトルディ(Jakob Ludwig Felix Mendelssohn Bartholdy, 1809年2月3日 - 1847年11月4日)のこと。
英語版は、
Sholmes「ボクのメンデルスゾーン(Mendelssohn)の演奏を、イヤと言うまで聞かせてあげるとしよう。」
Ryunosuke「それはおせっかい(meddlesome)というものですね。」
というダジャレ。

Gina
That really gets my goat, that does!
'E's treatin' you like a child!
ジーナ
なーによ、それ!
アイリスをコドモ扱いしちゃって!

「That really gets my goat」は慣用句。
get someone's goat:俗語表現で「(人)をイライラさせる、怒らせる」

>昔、馬の持ち主は競馬の前日に、馬をヤギと一緒に馬小屋に入れておいた。そうすると馬は緊張せずに大変落ち着くと考えられていた。ところが、ライバルの馬の持ち主がこのヤギを盗んで(=getして)、レース前にこの馬の神経をいら立たせてレースに勝てないようにすることがあった。

Gina
And that's 'ow we all afford to eat.
I'm like Robin 'Ood, ain't I? That's 'ow I see it.
ジーナ
それで、みんなゴハンが食べられるし。
ホント、“いいことずくめ”ってヤツ?

「Robin 'Ood」はコックニーで「h」が省かれているので「Robin Hood」、つまりロビン・フッドのこと。
ロビン・フッド - Wikipedia
Ginaは「こうやってみんなでゴハンを食べていくの。ロビン・フッドみたいなものだよね。」と言っているので、義賊の意味合いで使っているのだと思われる。

◀前目次次▶