成歩堂法律相談所:Naruhodo's Legal Consultancy
日本語版では「スコップとショベルとシャベル」という勲章にまでなった、スコップとショベルとシャベル論争が英語版では、
Ryunosuke「この部屋を借りたときから置いてあるspadeだ。」
Susato「それは、spadeではございません、成歩堂さま。shovelでございます。」
Ryunosuke「いや、shovelは掘るためのものでしょう。ここにあるのは土などをすくい上げるためのものですから、spadeです。」
Susato「いいえ、spadeは掘るためのものです。土などをすくい上げるためのものがshovelです。」
Ryunosuke「‥‥墓穴を掘りたくないので、この問題はそっとしておきましょう。」
spade:通例幅広い刃のついたシャベル状の農具で、足で押して土を掘るのに用いる。先端の形状は四角い
shovel:石炭・砂などをすくって移動するのに用いる。先端の形状は尖っている
成歩堂法律相談所に置いてあるのは「尖っている」ので、shovelが正解らしい。
英語版だと最後のオチが、掘る道具にちなんで「墓穴を掘りたくない」になっている。
なお、勲章「スコップとショベルとシャベル」の英語版でのタイトルは「Ace of Spades」。
spadeにはトランプのスペードの意味もあるため、通常「Ace of Spades」は「スペードのエース」のこと。
「Spadeを全て探しだした名人」と、「スペードのエース」と、「Ace Attorney(逆転裁判/名弁護士)」あたりの意味を全部引っ掛けたタイトルとなっている。
猫のワガハイはそのまま「Wagahai」。
Susatoが「boy」と呼びかけているとおり、Wagahaiは雄猫。
Irisには「Waggy」という愛称で呼ばれる。
■ハッチの質屋:Windibank's Pawnbrokery
ハッチの名字が英語版で「Windibank」になったので、Ryunosukeが「windy bank(windyという名前の銀行)」かと聞き返している。
また、「万能解析鏡」が「Great Analytiscope」という名前になったが、「Analytiscope」は「analytic(分析的な/解析的な)」と「scope(見るための器械、~鏡)」からの造語と思われる。
■ネコトビラ製造機:Cat-Flapomat
「Flapomat」は「flap」と「format」からの造語と思われる。
英語版は、「そして今日まで、ボクの忠実な相棒として、パガニーニから発想を得たスバラシイ音楽を奏でてきたというのに!」
パガニーニはイタリアのヴァイオリニスト兼作曲家、ニコロ・パガニーニ(1782年10月27日—1840年5月27日)のこと。
ニコロ・パガニーニ - Wikipedia
原作ホームズでは、短編集第2作「The Memoirs of Sherlock Holmes(シャーロック・ホームズの思い出)」に収録された短編「The Cardboard Box(ボール箱)」で、バイオリンを「質屋で55シリングで買い叩いてやった」の話の後に、ホームズがパガニーニの素晴らしさを語る、というシーンがある。英語版のみの原作ホームズネタ。
■ハッチ・ウィンディバンク:Pop Windibank
popには俗語で「質入れする」の意味がある。また、「発砲する」の意味もあるので、彼がピストルを常備していることも指しているのかもしれない。
Windibankはホームズ原作短編「A Case Of Identity(花婿失踪事件)」の登場人物、「ジェームズ・ウィンディバンク(James Windibank)」からそのまま。
■自動犯行記録装置:Red-Handed Recorder
Red-Handed:現行犯の、犯行中の
■自鳴琴:music box
日本語の「オルゴール」は、オランダ語やドイツ語の「オルガン」を意味する「orgel」から来ている。
英語では「music box」。
「Gordon Bennett!」は、イギリス英語で「驚き、軽蔑、怒り、嫌悪感、または欲求不満」を表現するために使用される慣用句。
アメリカの新聞「ニューヨーク・ヘラルド」の社主であり、パリ在住の大富豪であった「James Gordon Bennett, Jr.(ジェイムズ・ゴードン・ベネット・ジュニア)」(1841—1918)という人物から取られている。
彼の破天荒な人生、物議を醸す行動のため、信じられない行動の表現として、彼自身の名前「Gordon Bennett!」が使われるそうになった。
合言葉:watchword
合言葉は英語版でも「Professor」のまま。
■エッグ・ベネディクト:Eggert Benedict
ほぼ日本版のまま。料理のエッグベネディクトの綴りは「Eggs Benedict」。Benedictは名字としてありふれているので問題ないが、Eggs(卵)は偽名だとしても明らかにおかしいということで変更されたのだろうか。
法廷パートで裁判長が「アキラカな《偽名》と考えられます」と指摘してくるシーンがあるため、『料理のエッグベネディクトから取られた偽名』くさいと感じられる程度の変更をしたと思われる。
Eggertはゲルマン系の名前または名字で、現代英語の「edge」(刃、鋭利さ)を意味するゲルマン祖語「agjō」から派生したもの。名前として使う場合はアイスランドに多いらしい。参照:Eggert - Wikipedia
■自鳴琴の円盤:Music Box Disk
裏側のラベルの文字は、
・日本語版:To Megundal
・英語版:For McGilded
キャラクター名と、前置詞が変更されている。
「to」と「for」の違いだが、「相手がいなくてもできる行為」の時が「for」。
つまり、McGildedのために円盤を作った(円盤を作るという行為だけなら相手はいらない)ということでの「for」である。
英語版ではEggert Benedictの本名が日本語版から変更になったので、杖に書いてあるイニシャルも変更。
なお、日本語版の「R.C」は、イニシャルの表記としては本来正しくない。
英語版の「A. G.」のように、終止符(ピリオド)は名字・名前どちらにも必要である。だが、この点については、日本語版において特に変更はされていない。