TOP > The Great Ace Attorney 2 Resolve(英語版「大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-」)解説

■モーリス・デ・キルコ:Fabien de Rousseau
■マルコ・ド・ジッコ:Peppino de Rossi
デ・キルコはフランス人、ド・ジッコはイタリア人。
ラテン語の「russus(赤)」からいろんな言語に派生して、フランス語ならRouxやRousseau、イタリア語ならRossiという名字になったといわれている。つまりどちらも、赤毛であることから「赤」に因んだ名字。
fabianは「持久策の」で、「Fabian policy」で持久戦とか持久戦略の意味合い。

De Rousseau
I am Fabien de Rousseau.
A descendant of ze great de Rousseau family from Nice,
en France.
De Rossi
And my-a name is Peppino de Rossi!
I am the third son of the great familia de Rossi — the
landowners from Napoli!
デ・キルコ
‥‥ワタクシの名は、
モーリス・デ・キルコ。
仏蘭西(フランス)はニースの大貴族、
あのキルコ家の末裔にございます。
ド・ジッコ
あ。あ。オレっちはね。
マルコ・ド・ジッコって言うんだぜ!
伊太利亜(イタリア)の、あのナポリの大地主
ジッコ家の、なんと三男なのさ!

赤毛二人組の、ニースの大貴族やナポリの大地主の設定は英語版でも同じ。
De Rousseauは「フランス語訛りの英語」、De Rossiは「イタリア語訛りの英語」で話す。
フランス語訛りの英語は、「ð」の発音が「z」になる(theがzeなど)、単語の頭のhが抜ける(haveが'aveなど)
イタリア語訛りの英語は、語末に母音を付け足して発音する(上だと「my」に「my-a」とaが足されている)。

De Rousseau
Zose who graduate from Temsik are ze future leaders of
Europe.
デ・キルコ
名門、アシタール寄宿学校の卒業生は、
欧州(ヨーロッパ)の未来を背負う、優秀な者たちです。

「アシタール」は巧舟氏が手掛けた「ゴーストトリック」からのネタ。
英語版「ゴーストトリック」では、アシタール隕石は「Temsik Meteorite」とローカライズされている。
「Temsik」は、トルコ語で「宿命、運命」を意味する「Kismet」を逆から綴った語。

De Rossi
This strange combination is-a the charm of the
Hairlarious Brothers!
Si, capo?
ド・ジッコ
その絶妙な《落差(ギャップ)》こそが、オレたち
《ズッコケ二人組(コンビ)》の魅力なのさ!
ねー? アニキ!

「Hairlarious」は、「Hilarious(陽気な、こっけいな)」と「Hair(髪)」を混ぜたダジャレと思われる。
ド・ジッコの「アニキ」呼びは「(the) capo」。イタリア語で「ボス」「親分」のこと。
呼びかける時には「Ay, capo?」と言ったりもする。

Susato
The park was described by one witness as 'choked with
red-headed fork, like a coster's orange barrow'.
スサト
会場となった公園は、まっ赤な
アタマで埋めつくされたそうです。

Susato「目撃者によれば、会場となった公園は『赤毛の人々であふれかえり、まるで、呼び売り商人のオレンジを積んだ手押し車のようだった』とのことでした。」
costerは「costermonger」の省略形で「呼び売り商人」のこと。19世紀のロンドンにはたくさん居たという。
Costermonger - Wikipedia
ここはホームズ原作「The Red-Headed League(赤毛連盟)」の文章から取られている。

“I never hope to see such a sight as that again, Mr. Holmes. From north, south, east, and west every man who had a shade of red in his hair had tramped into the city to answer the advertisement. Fleet Street was choked with red-headed folk, and Pope’s Court looked like a coster’s orange barrow.(後略)

「あんな光景は二度と見たくはありませんよ、ホームズさん。北から南から東から西から、髪に赤みがある者は皆、広告に応募すべく街へと繰り出していました。フリート街は赤毛の人々であふれかえり、ポープス・コートはまるで、オレンジを山盛り積んだ、呼び売り商人の手押し車みたいでした。(後略)

Ryunosuke
In for a penny, in for a pound.
ナルホド
それは、なんというか‥‥
もう、リッパな“監禁”ですね。

捕まえて閉じ込めるだけのつもりがしっかり監禁してしまった、という赤毛二人組の話を聞いて龍ノ介のツッコミ。
「in for a penny, in for a pound.」は、「ペニーを手に入れるため仕事を始めたなら、ポンドまで手に入れろ」という意味合いで、つまり「やりかけたらやり通せ」ということ。
ペニーやポンドというイギリスの通貨単位が使われていることからもわかるとおり、イギリスで主に使われる慣用句。

'Visit Orczy's tomorrow and take a statement from the
proprietress.'
『明日‥‥“バロネス亭”の
 店主に聞き込みをしてくれ‥‥』

公式開発ブログの最終回にあった、1920年~1930年代の探偵ミステリーのオマージュネタのひとつ。
小説家バロネス・オルツィの名前から、日本語版では「バロネス亭」となっているが、英語版では名字のオルツィ(Orczy)から取っている。
バロネス・オルツィ - Wikipedia

Ryunosuke
Kazu—...Prosecutor Asogi.
ナルホド
亜双義‥‥検事。

英語版だとお互い名前で呼び合うRyunosukeとKazumaなので、「Prosecutor Asogi」の前に「Kazuma」と言いかけている。

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