TOP > The Great Ace Attorney 2 Resolve(英語版「大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-」)解説

■ヴィルヘルム・ゴッツライヒ・ジギスモンド・オルムシュタイン:Wilhelm Gottsreich Sigismond Ormstein
ホームズ原作より。
「A Scandal in Bohemia(ボヘミアの醜聞)」は、ボヘミア王が身分を隠してホームズに依頼をする。
このボヘミア王のフルネームが「Wilhelm Gottsreich Sigismond von Ormstein」で、ドイツ語読みを日本語で表記すると「ヴィルヘルム・ゴッツライヒ・ジギスモンド・フォン・オルムシュタイン」である。
日本版も英語版も「フォン」が抜けているが、それはセリフ欄の文字数の関係。

■ルンバ・マルマッチ:Balthazar Lune
バルーン、つまり風船の綴りが「balloon」。
bal(thazar)loon。

Harebrayne
He's a disaster! Not just as a prosecutor...but as a human
being!
Oh! But no! Wait! He's the Reaper, isn't he?
Perhaps he's not classified as Homo sapiens any more...?
ドビンボー
“検事”以前に‥‥
イキモノとして、どうかと思います!
あ! でも! 《死神》は
イキモノに含まれないから、いいのか。

Harebrayne「まったくひどいやつです! 検事としてだけでなく、人間としても。
あ! でも! 彼は《死神》でしたね。
彼はホモ・サピエンスに分類されないのでは‥‥?」
科学者らしく、学名のHomo sapiens(ホモ・サピエンス)と言っている。
なお、「ホモ・サピエンス」の学名は、1758年にカール・フォン・リンネが考案したので、19世紀末には既に存在していた。

Lune
My name is Balthazar Lune.
I am...the impresario of all the hot-air balloons in vicinity
of the esperimento stage.
マルマッチ
ええと。ワシは
ルンバ・マルマッチと申します。
実験会場に浮かんでいた、すべての
遊覧気球の“興行主”をやっとります。

ルンバ・マルマッチことBalthazar Luneは、イタリア語を混ぜて話す。
impresarioは興行主、esperimentoは実験のことなので「the esperimento stage」は実験会場のこと。

Gotts
Mein name ist Wilhelm Gottsreich Sigismond Ormstein.
I have come to see ze Great Exhibition all ze vay from
my home in Bohemia.
...I'm very rich.
ゴッツ
ボク。ヴィルヘルム・ゴッツライヒ・
ジギスモンド・オルムシュタイン、デス。
はるばる倫敦(ロンドン)万博、見るタメ‥‥
おめおめボヘミアから、やって来マシタ。
‥‥おカネ、そこそこ持ってマス。

Wilhelm Gottsreich Sigismond OrmsteinことGottsはかなりドイツ語が混ざった喋り方をする。

Gina
I'm tellin' ya, 'Oddo, bein' a lawyer's a mug's game.
You should join the force an' we can go flyin' together!
ジーナ
ナルホドーも弁護士なんかやめて、
アタシと一緒に大空を飛んじゃおうよ!

a mug's gameはイギリス英語で、「馬鹿しかやらない、もうかる訳のない仕事」の意味。

Gotts
Of course I am sure! I am a proud Bohemian prince!
All zese qvestions are making me boring.
Ryunosuke
.........
I think you mean 'bored'.
ゴッツ
間違いありません。
‥‥ボヘミアにホコリをかけて。
ナルホド
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
『ボヘミアのホコリにかけて』ですね。

英語版だと、Gottsが「making me boring」と言ったのに対して、Ryunosukeが「making me bored(私を退屈にさせる)」が正しいですよ、と教えている。
日本語版では前置詞を間違えて、「ボヘミアホコリかけて」が「ボヘミアホコリかけて」になるミスだったため、英語版でも文法ミスのネタにしたのだろう。
私はboringなのかboredなのか? - エビンズワーズ
boringとbored・・・ | 実践英会話教室 | 荻窪の英会話教室 アレキサンダイングリッシュスクール

Van Zieks
There's no need to get 'fired up', Mr Lune. The victim was the sole fatality that day.
バンジークス
‥‥安心するがいい。あの日 亡くなったのは、被害者ただ1人だ。

マルマッチことLuneは頭の気球みたいな帽子の中で火が燃えているため、
Van Zieks「『fired up』する必要はない、ミスター・Lune。あの日亡くなったのは、被害者ただ1人だ。」
fired upに「怒る」と「火をつける」の両方の意味があることから。

Lune
Si. And my balloons are filled with the magic gas, I
believe.
Van Zieks
Hydrogen.
Lighter than air, but highly explosive.
マルマッチ
あ。ウチは、魔法の瓦斯(ガス)
飛んでいるみたいですわ。
バンジークス
それは“水素瓦斯(ガス)”だ。
火がつくと、大爆発を起こす。

Luneは自己紹介で「hot-air balloons」の興行主だと言っていた。
「hot-air balloons」は「熱気球」のこと。
だが、上のセリフを読む限り、Luneが飛ばしていた気球は熱気球ではなくガス気球。
水素ガスを入れて飛ばすガス気球は、英語だと「gas balloon」。
以上から英語版ではムジュンがうまれている。
日本語版ではマルマッチは「遊覧気球の“興行主”」だと名乗っているため、ムジュンはしない。

Gotts
Wäääääääääh!
Wäääääääääh!
Ryunosuke
(That is one very Bohemian-sounding cry...)
ゴッツ
Béééééééééééééééé!
Béééééééééééééééé!
ナルホド
(‥‥おそらく、ボヘミアの言葉で
 泣きはじめた‥‥)

日本語版と英語版で泣き声が違うが、どちらが何の言語の泣き声なのかはよくわからない。

Juror No.4
The man is both an engineer and a magician. Yes, we're
dealing with an unparalleled confidence trickster here!
That's Enoch Drebber for you!
4ゴウ
“科学者”と“手品師”‥‥
2つのカオを持つ、優秀な詐欺師。
‥‥それが、
イーノック・ドレッバーなのです!

■イーノック・ドレッバー:Enoch Drebber
ホームズ原作「A Study in Scarlet (緋色の研究)」の登場人物そのまま。
trickster:詐欺師

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