TOP > The Great Ace Attorney 2 Resolve(英語版「大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-」)解説
Soseki
ARGH!
HERR LOCK SHOLMES!
May you drink my tepid tea and fall forever silent!
ソーセキ
うおおおおおおおおッ!
アノシャーロック・ホームズ!
貴様‥‥我が紅茶を飲んで、
永遠に黙りこくるがいいッ!

相変わらずの「Herr Lock Sholmes」呼ばわり。
英語版だと「吾輩の生ぬるい紅茶を飲んで、永遠に黙りこくるがいいッ!(May you drink my tepid tea and fall forever silent!)」となっていて、「茶は熱いうちに飲め」と対照的になっている。

Shamspeare
Verily, I know not thy prickly, pea-pigmented personage.
ペテンシー
このペテンシー。ミドリでふくよかな
淑女(レディ)に、知り合いはございません‥‥

prickly:怒りっぽい、やっかいな
pea-pigmented:pea(豆)っぽい色の
personage:登場人物
「prickly, pea-pigmented personage」で韻を踏んでいる。

Shamspeare
'To be, or not to be, that is the question...'
...Ah, pray, forgive me. The great bard's words springeth
from within me with ne'er a thought.
Ryunosuke
(Don't tell me... It because you're possessed by
Shakespeare's spirit, right?)
ペテンシー
“生きるべきか、死ぬべきか。
 それが問題なのだ‥‥”‥‥
ああ‥‥失礼。思わず
シェークスピアが出てしまいました。
ナルホド
(‥‥“思わず”で
 それが出てくるか‥‥)

Shamspeare「“生きるべきか、死ぬべきか。それが問題なのだ‥‥”おお、許してください。偉大なる詩人の言葉は、ワタシの中から自然と湧き出てくるものなのです。」
Ryunosuke(まさか、シェークスピアの魂がとりついている、なんて言うつもりじゃ‥‥?)

Shamspeare
You did wha—Sorry— Thou hast WHAT?!
You broke—I mean— Thou were in MY ROOM?!
ペテンシー
おい、オマ‥‥いや、そなた!
オレ‥‥いや、このワタシの部屋に!

一人称や二人称の種類が豊富な日本語に対して、現代英語は基本的に一人称単数が「I」、二人称単数が「you」しかないため、一人称や二人称を変えて個性を出したり雰囲気を出したりということがやりにくい。
この場面では、古い英語での「汝(Thou)」がうまく使われていて、「You」といいかけて「Thou」と言い直すことでShamspeareの動揺を示している。

Shamspeare
In the name of Beelzebub, what were they?!
Fairies, perchance, from a Midsummer Night's Dream,
come to taunt me?
Ryunosuke
I think they were just flies...
ペテンシー
‥‥嗚呼。あれこそは、もしやッ!
‥‥『真夏の夜の夢』にて飛び回りし
いたずら坊主の《妖精(パック)》の化身なのか。
ナルホド
‥‥《妖精(パック)》さんに失礼だと思います。

ペテンシーがペパー亭に行ったらハエにたかられた、の話。
Shamspeare「かのベルゼブブの名において、彼奴らは何だったのか?
『真夏の夜の夢』にて飛び回りし妖精たちが、ワタシを愚弄するためにやってきたのか?」
Ryunosuke「ただのハエだと思いますよ‥‥」
ベルゼブブ(Beelzebub)はキリスト教における悪魔、ヘブライ語で「ハエの王」の意味。
ベルゼブブ - Wikipedia

Shamspeare
A great detective?
Is that some kind of joke?
Do you really think I'm going to be daunted by a man
with such a ridiculous title?
Sholmes
 I should think the 'great bard' ought to recognise such a
    title when he hears one, Mr 'Sham'-speare!
Perhaps we should compete for the honour of most
ridiculous title?
ペテンシー
《メータンテー》‥‥?
笑わせないでもらえますか?
そんな、冗談みたいな“肩書き”に
屈するペテンシーではございませんよ。
ホームズ
   ‥‥そりゃ、そうだろうねえ
   ミスター・ハーレキン‥‥
モチロン‥‥そんな肩書き。
“冗談”に決まってるじゃないか!

日本語版の「ハーレキン」は「道化役」のこと。
綴りは「harlequin」(英語表記)、フランス語ではアルルカン(Arlequin)、イタリア語だとアルレッキーノ(Arlecchino)。
欧米では道化役者の代名詞。
アルレッキーノ - Wikipedia

これに対して英語版では、「Mr 'Sham(ぺてん師)'-speare」と、Shamspeareの名前の中に「ぺてん師」の意味が含まれていることをからかったSholmesが、
Sholmes「ボクたちは、最も馬鹿げた肩書きの名誉を賭けて競い合ってもいいんじゃないかな?」(Perhaps we should compete for the honour of most ridiculous title?)
と皮肉るという、英国ジョークになっている。

Susato
Then of course there's this emblem here...
A large letter 'B' and a small crown...
スサト
あと‥‥こちらは《紋章》でしょうか。
‥‥大きな『B』の文字と、
小さな『(クラウン)』の意匠(デザイン)でございます。

英語版でもバスカビルは「Baskervilles」でイニシャルは「B」。

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