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逆転裁判シリーズディレクターの巧舟氏は、ミステリー作家泡坂妻夫のファンであり、逆転裁判には泡坂妻夫作品のネタが所々にある。
「DL6号事件」の名前の元ネタは、泡坂妻夫のミステリー処女作のタイトル「DL2号機事件」である。
「DL2号機事件」の作中の舞台は、「一年前に大地震があった」という設定。
どことなく「DL6号事件」を思わせる設定である。
なお、『DL2号機』という名称は、作中における飛行機の型番である。

また、逆転裁判3に登場する五十嵐将兵は紋章上絵師だが、泡坂妻夫の職業も紋章上絵師。
興味があれば、「DL2号機事件」も収録されている亜愛一郎シリーズをおすすめする。短編集なので普段小説に馴染みのない方にも読みやすい。
「DL2号機事件」は、「亜愛一郎の狼狽」に収録されている。

亜愛一郎の狼狽 (創元推理文庫) 亜愛一郎の転倒 (創元推理文庫) 亜愛一郎の逃亡 (創元推理文庫)


元ネタとは特に関係がないが、DL6号事件について小ネタをひとつ。
DL6号事件では「エレベータが地震で停止し閉じ込められ、酸欠になった」という表現がある。
しかし、後にゲーム「逆転裁判」を元にした実写映画版が作られた際、「酸欠になった」という件がカットされている。

ブルーレイでのコメンタリーでは、巧舟氏がこの変更について「エレベーターで窒息はないと皆に言われて‥‥」と発言している。
だが、映画版の後に作られたアニメ版『逆転裁判 ~その「真実」、異議あり!』では、エレベータでの酸欠ネタが復活している。

また、地震が起こらなかったことにした理由については、巧舟氏が以下のようにコメントしている。

アニメ版の御剣検事…実は“地震がニガテ”という設定が、さりげなく消えているという。。
これは2年前、第1シーズンの放映時期に大きな地震が起こったため、それを受けとめての対応だったりします。

— 巧 舟 (@takumi_gt) March 15, 2019

更に余談であるが、DL6号事件について、ディレクターの巧舟氏はツイッターにて以下のように述べている。

そういえば、かの有名な《DL6号事件》が、あんな“息苦しい”感じの事件になったのも、さかのぼってみれば、BJの“とあるエピソード”がどこか念頭にあったような…
いやいや、何度立ち戻っても、本当に豊かな『物語の宝庫』。ひさしぶりに読み返してみようかしらん。

— 巧 舟 (@takumi_gt) March 1, 2019

「BJ」は手塚治虫氏の漫画「ブラックジャック」のこと。巧舟氏のツイート参照
ブラック・ジャック第32話「閉ざされた三人」というエピソードにて、「地下水の汲み上げの影響でデパートの地下が陥没し、乗客が乗っていたエレベータが地底に落下、エレベータが完全に密室となってしまう」という設定が登場する。DL6号事件の設定は「閉ざされた三人」が念頭にあった、ということなのであろうか。

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