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「逆転裁判」シリーズでは、シリーズ第1作目において、「DL6号事件」の起きた年月日が明確にされているため、そこから他の出来事が(「逆転裁判」世界の中で)西暦何年に起きたかを逆算することが可能であった。
しかし、「大逆転裁判」の劇中では、「DL6号事件」のように正確に西暦何年の出来事と書かれてはいない。
舞台は明治時代と言われているものの、実際はいったいいつなのか?
ということを推測したのが当ページである。
ここではカプコン側の正式発表、ゲーム中での表現及び、実際の歴史から何かしら推測してみたものである。
くどいようだが、ゲーム中に正式な表記がない以上、以下は推測でしかないことをご了承いただきたい。
※以下には「大逆転裁判2」の内容を追記してあるので、未プレイの場合はご注意いただきたい。

明治時代とは

まず大前提として、現実世界における明治時代とは、西暦1868年1月25日から1912年7月30日までを指す。

開発スタッフインタビュー発言

2015年6月20日発売の雑誌「ニンテンドードリーム」8月号の「大逆転裁判」開発スタッフインタビューでは、「ゲームの時代設定は明治30年くらい」と語られた。明治30年=西暦1897年である。

2013年の社内プレゼンテーション映像

「ランドストマガジン」特別号収録の映像「試作コメンタリー」にて、2013年の社内プレゼンで作った試作段階の法廷の映像が見られるが、冒頭にて「1897年」「明治30年」と明記されていた。
なお、この映像はゲーム本編では使われていない。

領事裁判権

史実においては、1894年に「日英通商航海条約」が結ばれて領事裁判権が撤廃されている。
作中では、第1話の裁判後に、亜双義が「先に締結された《日英和親航海条約》で、英国の《領事裁判権》は、失効しました。」と言っており、「日英和親航海条約」自体が架空の条約であるから議論の対象にはならないかもしれないが、第1話が1894年以降であるという推察の材料になるかもしれない。

来るべき20世紀

第1話の裁判後、御琴羽教授が、「来るべき、20世紀へ向けて‥‥」と発言している。
20世紀は西暦1901年から始まるので、第1話は1900年以前と推測される。
(なお、第1話法廷【その3】で、とある選択をミスすると、亜内も「来るべき激動の20世紀」という発言をする)

19世紀の終わり

第3話冒頭のムービーで、「あれは19世紀の終わり」というナレーションが入るので、3話の時点ではまだ19世紀(1900年以前)である。
作中では、月と日は明らかになっており、第1話が11月22日、第3話が2月18日であるから、年をまたいでいる。
つまり、第1話は1899年以前でないと計算が合わない。

万國博覧会について

ヴォルテックスなどによると、ゲーム中では(2~3話の時点で)半年後に倫敦(ロンドン)万國博覧会が開催予定であり、ヴォルテックスは「かの巴里(パリ)万博をはるかに超える、過去最大の規模になるだろう」と語っている。
また、2話以降ではその象徴である「水晶塔(クリスタルタワー)」の話も登場する。

しかし史実では、1851年と1862年の2回しかロンドン万国博覧会は存在しない。
そして、この2つとも明治時代以前の出来事である(明治元年=西暦1868年)。
1851年の万博は、「水晶塔(クリスタルタワー)」を連想させる「水晶宮(クリスタル・パレス)」が象徴となったことから、「大逆転裁判」での倫敦(ロンドン)万国博覧会は、1851年の万博を元にした架空の万博と推測される。

なお、ヴォルテックスが言う「巴里(パリ)万博」だが、パリ万博は何度か開催されておりどの万博を指しているかは不明。
エッフェル塔が建設された1889年のパリ万博が有名だが、時期的にこれを指しているのだろうか。

ジョン・ガリデブの発言

彼は「数年前にマイワンドの戦いで膝に銃弾を受けた」と語っている。
「マイワンドの戦い」は、史実では1880年7月27日に起きている。

※余談になるが、ホームズ原作においては、この戦いでワトソンが負傷しイギリスに帰国してホームズと出会うことになっている。

窓税

第4話にて、ホームズが窓税について教えてくれるが、彼は「40年ほど前に窓税は廃止になった」と語る。
窓税はイギリスに実際に存在した税制度で、1851年に廃止された(Window tax - Wikipedia)。
40を足すと1891であるから、「40年ほど前」となると「1891年プラスマイナス数年」くらいということになる。

なお、ランドストマガジン第3話「主席判事執務室にて」では、紙税が話題になり、30年ほど前に廃止されたとグレグソンが語っている。以下によると、1855年に廃止となっている。
18世紀初期におけるイギリス新聞の研究 - 関西学院大学

夏目漱石について

夏目漱石は本作で唯一、実在した人物である。
ゲーム中にて年齢が判明している為、もしゲーム中での夏目漱石が、実在の夏目漱石と生年月日が同じであれば、「大逆転裁判」の時期が正確に解る。

夏目漱石の生年月日の仮定を元にすると、

1899年11月22日‥‥第1話
1900年1月9日‥‥第2話
1900年2月18日‥‥第3話
1900年2月19~20日‥‥第4話
1900年4月15~17日‥‥第5話

ということになる。
これは第1話での御琴羽教授発言や第3話冒頭のムービーと合致するが、夏目漱石の留学時期とは矛盾が生じる。
なお、2作目において、帰国した夏目漱石が「吾輩は猫である」を執筆中(新聞に連載中)ということになっているのだが、

ということで、大逆転裁判世界の夏目漱石とはこちらも矛盾が生じている。

また、1900年だとすれば、ジョン・ガリデブの発言「数年前にマイワンドの戦い(=1880年)があった」という言葉には少々無理がある。20年前を「数年前」とは言わないだろう。
「日英和親航海条約」は架空の条約であるし、「倫敦(ロンドン)万國博覧会」についても開催時期において史実とは大幅なズレがある。
言うまでもなく「逆転裁判」世界は架空の世界なので、これ以上議論することは難しいだろうが、以上から色々と推測していただければ幸いである。

余談その1

スマホアプリ版で第1話の証拠品「遺体検分記録」のアイコンを見ると、「明治三十四年」と書いてあるように見える。
(下画像は、iPad版のスクリーンショットから該当部分を切り出したもの。クリックで拡大)

遺体検分記録

「大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-」では解像度1080pだと、やはりスマホアプリ版と同じように見える。
(下画像はPS4版スクリーンショットから該当部分を切り出したもの。クリックで拡大)

遺体検分記録 大逆転裁判1&2

明治三十四年は西暦1901年、つまり20世紀となってしまい、根本的な設定が異なってしまう。
証拠品の画像を作った時点では、時代に関する設定が固まっていなかったのだろうか。

余談その2(※「大逆転裁判2」の内容に触れているので注意)

「大逆転裁判2」第1話で、万年筆について、「日本に伝来したのは今から15年ほど前」という話が出る。

万年筆の歴史 - 日本筆記具工業会
>1884年(明治17年)頃 横浜のバンスタイン商会が初めてアメリカ製の『カウス・スタイログラフィックペン』を輸入。丸善で販売された。

万年筆 - Wikipedia
>万年筆が日本に入ってきたのは、1884年。横浜のバンダイン商会が輸入し、東京・日本橋の丸善などで販売された。

とあるので、1884年の15年後=1899年となる。「15年ほど」という表現から、誤差をプラスマイナス1~2年ほど見て良いだろう。

余談その3

「大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-」公式サイトには、各話ごとの「当時の新聞画像」が掲載されている。

とあるので、曜日から西暦何年かを割り出すことができる。
曜日と「明治時代かつ19世紀末」の条件を満たす年は幾つかあるが、19世紀の終わり(1900年)にもっとも近いのは、

となる。

参照:
1895年(明治28年)カレンダー(祝日・六曜・月齢)|便利コム
1896年(明治29年)カレンダー(祝日・六曜・月齢)|便利コム

‥‥なのだが、2作目紹介ページにおいて、3話紹介が10月22日水曜日となっている。1896年(明治29年)カレンダーとは一致しない(1日ずれている)。
残念ながら「当時の新聞画像」からは年月日を割り出せないのだろうか。

余談その4(※「大逆転裁判2」の核心に関係があるので注意)

「ジョン・ガリデブの発言」の項目で述べた通り、マイワンドの戦いは、史実では1880年7月27日に起きており、ホームズ原作においては、この戦いでワトソンが負傷しイギリスに帰国してホームズと出会うことになっているので、ホームズ原作世界では1880年から十数年間のホームズ&ワトソンの物語が描かれている。
(原作ホームズの作中年表は幾つかの説があるが、「1880年から十数年間のホームズ&ワトソンの物語が描かれている」ことはほぼ間違いないようである。参照:ホームズ年表

「大逆転裁判」世界における、ホームズと「ワトソン」の物語は、アイリスが「ワトソン」の残した記録を元にして書いているが、「大逆転裁判2」で、御琴羽悠仁らが倫敦に留学していたのは大逆転裁判2の頃から16年前~10年前の6年間であったと述べられている。
「大逆転裁判」の舞台が1895~1900年あたりだとすると、「ワトソン」が記録を付け始めたのはそれから16年前(1879~1884年)のことということになる。
つまりホームズ原作世界と同じく、「大逆転裁判」でも1880年あたりからのホームズと「ワトソン」の活躍が描かれている、ということになったりもする。

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