#475 太陽光発電のメリットとリスク(後編)

2024/01/09

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 前回のお話。我が家に太陽光発電システムのセールスが来て、現地調査もすることになり、その結果によるプランと見積もりをZoomで聞いて、あとは私がゴーサインを出すかどうかというところまで来た。

 設置費用の半額以上は自治体の補助金で戻ってくる計算だし、災害時等の停電対策にもなるし、電気代の節約にもなるし、もちろんエコでもあるわけなので、提案のプランで契約しようかなとも思ったところだが、たまたま家にやってきた1社の言い値で契約するのも軽率な気がするし、また、費用の一括支払いの場合は工事前に全額振込が必要と言われたのも何となく不安があったので、その他の会社にも相見積もりを取ってもらうことにした。

 相見積もりの手続きは簡単で、価格.comに一括見積もり依頼のバナーがあったので、それを押して、必要事項をWebで入力すると、早速5社を紹介してくれ、ほどなくしてそれぞれの会社からメールや電話で問い合わせがやってきた。

 まずはどの会社でも、プランを作るために我が家の見取り図が必要ということだったので、PDFで保存してある自宅の見取り図をメールで送る。我が家の住所は同じ住所表示で示される家がほかに2軒ほどあるので、どの建物が該当するのかはGoogle Mapの航空写真で指し示す。なんでもインターネットで済んでしまうので便利ではある。

 そうやって複数社見積りを取ると、補助金還元後の実質負担額ベースで、当初提案してきた会社よりも、同様のプランで比較して60〜80万円近く安く提案してきた会社が続々出てきた。やはり比較検討は重要である。

 また、慎重な会社からは、北側の屋根にパネルを置くことによる隣家への太陽光の反射の懸念も指摘してきた。確かに南側に面した屋根の場合は、一年を通じて太陽高度によらず反射光が隣家に行くことはなさそうであるが、北側に傾斜した屋根に設置すると、季節によっては太陽光が屋根に平行に近い角度で入ってくる結果、北側に隣家がある場合には反射光が入る可能性がある。現に私の自宅のすぐ北隣には3階建てのアパートがあり、3階からだと私の家の北側の屋根が見える高さになるので、その懸念は拭えない。

 また同時に、自宅を施工してくれた会社の系列で定期点検をお願いしている会社に、太陽光パネルの設置について相談したところ、屋根の耐荷重の上限が230kgとのことなので、あまり多くのパネルを載せることについてはお勧めでできないとも言われる。

 そして、相見積もりを取った別の会社にも、実現可能性を調査するために家屋調査に来てもらったのだが、屋根の下地材の野地板の種類が、その会社の太陽光発電パネルの設置に適さず、設置すると将来的に雨漏りの可能性が出てくるとまで言われてしまった。災害で停電するリスクを解消するために、雨漏りするリスクを背負ってしまっては、何のための対策なのかわからない。

 そういう様々な難点や懸念点が明らかになると、いくら補助金が多くつくとは言え、高い買い物をしてまで設置するべきものではないような気がしてきたため、結局、太陽光発電システムの設置は見送る決断をしたのであった。

 もしかしたら、設置をしても心配したようなトラブルもなく、電気代が安くなり初期投資を回収してさらにお得になり、停電でも困らずに済んだという未来図もあったのかも知れないが、今のままで困っているわけでもないのであれば、リスクを取ってまでやるべきことでもないというのが出した結論である。

 これはもちろん我が家の決断であり、もし南側の屋根に十分なスペースがあり、それにより日々の電気代を充分に賄え、もちろん屋根もしっかりしていて雨漏りの心配もないという家にお住まいの方であれば、太陽光発電システムは良い選択になる場合もあるだろう。ただその場合でも、複数社のプランを十分に比較検討した上で、より現実的でリーズナブルな提案をしてくれる会社を選ばれることを切に望むものである。


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