#443 機内エンタメの楽しみ方

2021/05/22

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 最近はCOVID-19の流行のせいで、その機会もめっきり減ってしまっているところだが、以前はそこそこ海外出張の機会をいただいたり、プライベートで海外旅行に行ったりもしたところである。見知らぬ国へ行く体験は、緊張しつつもいつも心躍るものであるが、毎度うんざりするのが往復の航空機による移動である。近いところでも数時間、場合によっては十数時間も狭い座席に閉じ込められ、体を横にして休むこともままならないのは、何度やってもあまり楽しい経験ではない。

 そういう私を含めた、機内で退屈を囲っている乗客向けに、最近はどの航空会社であっても、各座席にオンデマンドのエンターテインメントを提供してくれていることが一般的になってきている。コンテンツの内容は航空会社によって様々であるが、映画や音楽やゲームなどを前席シートなどに埋め込まれた画面とコントローラ、イヤホンで楽しめるようになっている。

 一般的に人気があるのは映画であろう。画面は小さいとは言え、何しろ時間はたっぷりあるので、一回のフライトで2本3本楽しむことも十分できる。ラインナップとしては、ハリウッドのものが多いが、場合によっては米国以外の国の映画もそこそこ見ることができる。運が良ければ日本の最新の映画も見ることができる場合はあるが、外国の航空会社の場合はあまり期待はできない。

 ちなみに映画を見る場合は、離陸前や離陸直後から見始めるのはやめておいた方がいい。最初のうちは機長やCAからのアナウンスが頻繁に割り込むことが多いからである。できれば、機内食のサービスが一通り終わるまでは、映画のような時間のかかるコンテンツを見始めるのは待った方がいいと思う。

 海外の作品の場合、日本語の吹き替えがついていることはほとんど期待できないが、ものによっては日本語の字幕が入っていることもある。が、折角なので私は英語に慣れるために、英語の映画の場合は字幕なしで、それ以外(日本映画を含む)の場合は英語の字幕を入れて見るようにしている。

 離着陸前後など、映画一本を見る時間がない場合は、ちょっとしたゲームをやることが多い。反応速度が要求されるアクションゲームの類は少ないものの、リバーシとかチェスなどのボードゲームの類は比較的どのサービスでも揃っている。中には乗客どうしで対戦できるものもあるが、残念ながらこれまで対戦が成立したことはない。ということでソリティア(一人遊びゲーム)をやることが多いのだが、その中でも私がよく使っていたお気に入りのコンテンツを2つ紹介する。

 一つは「2048」というゲームである。4×4のマス目に、2とか4とかの数字が表れ、上下左右の方向キーでそれらのタイルを一方の壁に寄せるというのが基本動作である。寄せた時にその方向に隣り合う同じ数字の2枚のタイルがあれば、合算された数字の1枚のタイルに変わる。2と2が隣り合えば4であり、4と4が隣り合えば8になる。一度タイルを寄せるたびに、ランダムな位置に新しいタイルができるので、なるべく同じ数字のタイルを組み合わせてタイルの枚数を減らさないといけない。マス目がタイルで全部埋め尽くされればゲームオーバーであるが、うまく組み合わせて「2048」のタイルを作ればクリアーである。単純なルールのゲームだがやってみるとなかなか難しくて面白い。ブラウザスマホなどでも楽しめるので、やったことのない方はお試しあれ。ちなみに、闇雲にいろんな方向に動かすのではなく、例えば「下」と「左」ばかりを使って、大きい数字のタイルを一つの角に寄せるようにするのがコツである。

 もう一つは「Berlitz Word Traveler」というゲームである。ゲームというよりも、母語以外の言語の数字や月・曜日、基本単語やフレーズを覚えるためのものである。単語やフレーズが紹介されたあと、それらをちゃんと覚えているかどうか確認するためのミニゲームが用意されている。ゲーム自体は簡単なものであるが、楽しみながら母語以外の言語の基本的な単語が覚えられるので、これから行こうとしている国の言葉について学んでおくと、いざという時に役に立つかも知れない。これらのゲームは自分のタイミングでいつでも中断できるので、ちょっとした時間を使った暇つぶしにはもってこいである。

 目的地が近づいたら、目的地の簡単な紹介や観光案内、到着する空港の案内や手続きについて紹介しているショートプログラムなどを見ておくのもいいだろう。機内エンタメとは関係ないが、空港で提出するべき各種書類も、到着前に間違いなく記入を済ませておきたいところである、映画やゲームに興じるのもいいが、こうしたプログラムなどで多少の予習と準備をしておくと、渡航先での手続きをスムーズに済ませ無用なトラブルを避けることができて、幸先よく旅をスタートさせることができると思う。


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