#442 200kbpsでどこまでできる

2021/04/16

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 現在の内閣の方針を反映してか、ここへきて大手の携帯電話事業者が軒並みスマホの廉価な通信料金プランを発表してきている。NTTドコモはahamo、ソフトバンクはLINEMO、auはpovoという名前で紹介している新料金プランは、細かい差はあるものの、どれも税込み3000円を切る料金で、データ転送量が20Gbyteまで可能ということである。これまで同様のサービスであれば5000円は下らなかったことを考えれば、実質的には大幅な値下げではある。

 20Gbyteというのは高速通信でのデータ転送量の制限のことであり、所謂第5世代通信(5G)の普及はまだまだではあるものの、各社とも4Gでの通信速度はほぼ保証されていると思われる。理屈の上では4Gの規格は75〜100Mbps、もしくはそれ以上の速度での通信ができるわけなので、動画鑑賞やゲームなども問題なく楽しめる速度である。

 また、20Gbyteの転送量を超えたあとも、各社とも最大1Mbpsでのデータ通信は可能にしてくれるとのことである。1Mbpsにしても、それだけの速度があれば、画像や動画の多いサイトを見たり、大容量のファイルをやりとりしたり、動画通信をしない限りは充分に使える速度である。

 と、知ったようなことを書いている私のモバイル通信環境はどうかというと、MVNOであるexciteモバイルのSIMを3枚使って運用している。一つはスマホ用、一つはタブレット用、一つはSIMを内蔵したノートパソコン用として使っているもので、通信料金は3枚のSIMの合計で計算し、その月の高速通信の利用料の多寡で料金が決まるというプランである。

 MVNOということで、大手の携帯電話事業者の回線の間借りであるから、通信速度は期待できないが、動画やファイルのダウンロードなど、もともとそんなに通信速度が必要なサービスは使っていない。exciteモバイルのいいところは、高速通信を利用するか否かをコントロールできるところである。で、私の場合は、デフォルトでは高速通信を一切使わない設定にしてある。

 高速通信を使わない場合は、速度は200kbpsに抑えられている様子であるが、接続直後はバースト機能が働いて、瞬間的にはそれ以上の通信速度は出してくれているらしい。それでどの程度のことができるかと言うと、メールやLINEはまずほとんど問題がないし、IP電話などによる音声通信も比較的ちゃんとできる。ノートパソコンの方は、OneDriveでファイルの同期を行っているが、大きいファイルであっても時間をかければ確実に同期はしてくれるので、問題はあまり発生していない。そもそも同期させているファイルは頻繁に更新するテキストファイル群なので、サイズもあまり大きくないということもある。

 実際、自宅のテレワーク環境などでオンライン会議なども時々やるのであるが、パソコン上のパフォーマンスモニタで見る限り、音声だけなら200kbpsでもあまり問題なく通信できてしまったりする。映像を送るとさすがに上り下りそれぞれ1.5Mbpsは使っているようなので、モバイル環境では厳しい部分はある。ただ、プレゼン資料のように、静止状態が長いプレゼン資料の画面共有ファイルであればぎりぎりどうにかなるくらいのものだったりする。

 そういうつましい環境でどうにかしているおかげで、SIM3枚を使っていても月額の通信料はあっぱれ1300円程度である。更に、冒頭で述べた大手の新料金プランに対抗してか、最近になってexciteモバイルも新たな料金プランを設定したようであり、私もこの機に新しい料金プランに変更した。引き続きデータ転送量に応じた料金設定であるが、うまく運用すればSIM3枚を1000円以下で運用できるようである。

 私のような吝嗇な運用は極端だとしても、通信料は意外と家計を圧迫する「月々いくら」の出費であるので、自分のモバイル利用状況を分析して、それに見合った更に廉価なサービスを選択するというのは、家計防衛の基本であると思う。


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