#414 大規模通信障害に思う

2018/12/07

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 まずお詫びを。SNSはやらないと宣言していたにもかかわらず、今年に入ってLINEは始めてしまった。自分がやりたかったというより、今やこれだけ自分の周囲でもLINEを使う人ばかりになってしまうと、自分もやらなければ、グループからの連絡が来なくなったりして不便だからという事情があったからである。人によってはほとんどメールのチェックをしなかったりして、結局LINEでないと連絡がまともにできないと言った事情もある。妻も同じような事情により、ガラホでLINEを始めたところである。

 12月6日の夕方ごろ、妻から「携帯が電話もメールもダメなんだけど」とLINEで連絡が来た。

 パソコンなりスマホなり携帯電話なり、何かそういう電子機器の調子が悪くなった時には、何はさておき再起動してみるというのが、まず思いつく対処方法である。私も連絡を受けて、まずはそれを勧めたところだったが、念のためキャリアのホームページを見たところ、お知らせのところに「全国でワイモバイルの携帯電話サービスがご利用できないまたはご利用しづらい状況が発生しています」とのそっけないお知らせが出ていた。じゃあしょうがない。事実を妻に知らせて様子見ということにする。ちなみにLINEは自宅のWifiを使っていたため、無事にやりとりできたようである。

 ソフトバンクとワイモバイルによれば、この障害は12月6日の13時39分ごろから18時04分まで、全国で続いたとのこと。あとでニュースを見ると、この4時間以上に及ぶ全国的な障害の影響はかなり大きかったようで、佐川急便ではドライバーとの連絡が取れず再配達ができなくなり、Jetstarでは搭乗券確認ができなくなり成田空港からの出発便3便に遅れが生じたり、モバイルSuicaでも入金や乗車予約ができなくなったり、コンサートでのチケット確認にも支障が出たり、公衆電話には行列ができたり、スマホで地図が出せずに交番で道を聞いたりという光景が繰り広げられたとのことである。

 私自身は、妻から連絡をもらわなければ障害があったことにも気づかないほどだったので、大した影響はなかったが、普段から当該のスマホを使用している人たちにとっては大変な一日であったことだろう。原因は、通信設備に使われているエリクソン製のソフトウェアの認証期限切れということだったようで、この障害は日本だけでなく、世界11か国で同時に発生したとのこと。だとすると、別にソフトバンクが悪かったという性質のものでもなく、別のキャリアであっても発生した可能性はあるのかも知れない。

 そうでなくても日本ではたびたび大きな地震が発生して、そのたびに一時的な停電や通信障害が発生することはこれまでにもしばしばあった。阪神大震災の時は、固定電話よりも携帯電話の方がつながりやすかったくらいだが、今では全く事情は逆転しているだろう。今回のような、いち携帯電話キャリアの一時的障害ですらこうなのだから、LINEにせよほかのSNSにせよ、ある一企業が管理しているネットワークが災害やその他の原因で機能不全に陥った時には、どんなことになってしまうのか、想像するだに恐ろしい

 政府は来年の消費税増税にあわせて、国として電子決済の普及に努めるために、電子決済によるポイント還元などを施策として検討しているところだと聞いている。しかし、先日の北海道胆振東部地震の後の全道停電でもそうだったように、電気や通信が使えなければ電子決済など全く役に立たなくなってしまう。今回の騒動でも、ヤフーとソフトバンクの共同決済サービスで、今まさに100億円還元キャンペーンをやっているというPayPayが決済できなくなったという報告が寄せられている。外国よりも電子決済の普及で遅れを取っているからと言って、災害リスクが低くはないこの国において、障害に弱い電子決済を国が無理に推進する必要はないと思うのだが。

 便利な技術を使いこなし、その恩恵を受けることは悪いことではないが、それにばかり依存してしまうようになるのも考えものであるなと、今回の顛末を見て改めて自省した次第である。


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