#396 StickPCを試す

2017/06/10

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 我が家にはあわせて4台のWindowsPCがある。私と妻の部屋にそれぞれ1台ずつのデスクトップ機があるほか、私用にはWindowsの走るタブレットがあり、これは薄型キーボードや小型マウスと組み合わせて、出張時などに活用している。このほかダイニングテーブルにノートPCが一台ある。それぞれのPCは有線もしくは無線でルータに接続し、常用ファイルはクラウドサービスを使って同期している。

 これらのPCのうち、最も使用頻度が高いのはダイニングにあるノートPCである。普段は蓋をするとスリープになる設定にしてあるため、蓋を開ければすぐに使えるという手軽さから、ちょっとしたWebでの調べものやネットショッピングをやるには一番手軽に使える存在になっている。

 というわけで、家族3人のだれかがこのノートPCを使っている率は高く、他の人が使用中の時にはそれぞれ2階にある自室のPCを使ったりするのだが、PCを電源ONから立ち上げるのが時間がかかって面倒だったり、また1階にルータがある関係から通信速度もやや遅かったりするということがある。もちろんディスプレイはノートPCに比べて大きく解像度も高いので、がっつり作業するにはデスクトップPCの方が向いているのだが、そこまでのものでもない、ちょっとした調べものや暇つぶしの用事だったりすると、まあいいか、などと思ってしまうこともある。

 ところで最近では、StickPCというジャンルのPCが出て来ている。StickPCとは、文字通りStick状のPCで、それ自体はキーボードやディスプレイなどの入出力装置を持たない。出力はHDMI端子で接続することで、これに対応するTVやモニタをディスプレイにすることができ、入力については、BluetoothやUSB接続のキーボードやマウスを繋ぐことができる。つまり別途入出力装置を用意すればPCとして機能するというものである。

 これを使えば、1階のリビングにあるTVをディスプレイにし、あとは適当なキーボードやマウスを用意すれば、スペースを取らずに1階に新たなPC環境を構築できるのではないかということで、一つゲットしてみた次第である。

 StickPCは、その形状を写真で見ると、USBメモリみたいな形状をしているが、実際にはUSB端子に見えるところはフルサイズのHDMI端子であるから、実物を見てみるとUSBメモリに比べ2まわり以上大きい印象である。が、それでも重さは50g以下であり、PCとしてみれば薄くて大変に小さい。HDMIでTVに接続する際に、機械的な干渉を防ぐために短い延長ケーブルもついている。電源は別途microUSB端子で2Aで供給する必要がある。

 使用する前にはWindowsのセットアップが必要であるが、セットアップの段階では、入力装置としてBluetoothのキーボードやマウスは使えない。というわけで、USB接続の有線マウスを繋いでセットアップを行う必要がある。ところどころ、クリックだけでなくキーボードを使って値を入力しなければならないところ(ルータのパスワードなど)もあるが、これについては画面上にヴァーチャルキーボードを表示して、マウスで文字をクリックすることで入力することが可能である。セットアップが終わってBluetoothを有効にしてやれば、Bluetoothキーボードも使えるようになる。

 ただし、使い始めて問題になったのは、Wifiでネットに接続して使っていると、時々通信速度が大幅に遅くなったり、無線接続しているキーボードやマウスの反応が悪くなったりすることである。調べてみたところ、WifiやBluetoothで使用している2.4GHzの電波が相互干渉することが原因らしい。Wifiの方を5GHz接続にすることで解決する場合もあるようだが、あいにくこのStickPCはチップセットがやや古く、5GHzには対応していないということであった。

 そこで、USBを有線LANに変換するアダプタを別途購入し、ルータに有線で直接接続することにした。その場合、1つしかないUSBがLAN接続でふさがってしまうのを防ぐため、USBハブ機能もついているものを選択した。

 そんなわけで、ルータに有線接続しているおかげで、今や我が家で最高の通信速度を誇るPCになってしまった。また、解像度はやや低いものの、TVをディスプレイにしているので画面サイズは大きく見やすい。TVやHDDレコーダとの切替は入力切替で変更できるので、必要な時だけPCとして画面表示しつつ、バックグラウンドでの長時間作業を走らせておくこともできる。

 ちなみにこのPCは我が家で初めてのWindows10搭載機である。スタートアップやセットアップまわりはWindows8.1以前のものからだいぶ違ってしまったものの、今まで使っていたフリーソフトの類も問題なく使えるようである。その辺もいろいろ検証しながら、いろんな使い方を試してみるのも面白そうである。


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