#388 Kindle Unlimitedはイマイチ

2016/10/14

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 前回、dマガジンを契約して、いろんな雑誌をザッピングしているという話をしたが、同じころ、Amazonが定額で書籍読み放題というサービスを開始した。Kindle Unlimitedというこのサービスは、税込月980円で雑誌のほか和書洋書コミックなどが読み放題になるというもので、こちらも1か月ほどは無料で利用できるというので、早速使ってみることにした。

 結論から言うと、こっちのサービスの方は金額に見合うサービスという感じではなかったので、無料利用期間のみで退会した次第である。dマガジンと比べ、どの辺がそういった違いになったのか、自分なりに考えてみる。

 まずもって、dマガジンに比べると月額980円というのがちょっと高い。月々いくらというものに対してシビアに考える私としては、年1万円を超えてきたら費用対効果を厳しく見たくなる気持ちがある。

 もちろん、こちらのサービスは雑誌のみではなく、和書や洋書、コミックも含めて120万冊が読み放題という触れ込みであり、その数たるやdマガジンの160誌1000冊(バックナンバー含む)に比べるとかなり多い。しかし当然ながら、どんな雑誌や本でも読み放題というわけではなく、必ずしもベストセラーとかメジャーな雑誌などが含まれているわけではない。洋書に関しては和書に比べてかなりの数がラインナップされているのだが、それでもベストセラーとされている本はことごとく対象外であるようだ。

 ややこしいのは、Kindle Unlimitedに含まれていない本であっても、Amazonでは電子書籍として普通に売られているわけで、購読しようとするときのアクションもほとんど変わらない。Amazonはアカウントにログインしていると、クリック一つで購入できてしまうので、タダだと思ってボタンを押したら実はKindle Unlimitedの対象外で有料でしたということがあるので、購読するときにちょっと気を付けなくてはならない。またそもそもの話として、数が多すぎるが故に、自分が読みたいと思う本を探し出すのも容易なことではない

 購読する際は、Amazonのストアで購読のボタンを押して、Kindle Readerなどの端末に登録するなりダウンロードするなりして読まなければならない。この辺は、その他の有料の電子書籍を購読する場合と同じなのであるが、ブラウザで一旦購読というアクションを取ってから、別のソフトを使って読むということになるのが手間である。dマガジンの場合は、ラインナップの雑誌はすべて別途の費用が発生するわけではなく、アプリなりブラウザなりで読みたい雑誌を選択すればすぐ読める。ほぼワンアクションで読むことができることの便利さはかなり大きい。

 Readerの使い勝手もイマイチに感じる。dマガジンの場合はダブルクリックで拡大・縮小ができるのに対し、Kindle Readerの場合はメニューから選ぶか「+」「−」のシンボルをクリックする必要がある。ちょっとしたことであるが、雑誌のような固定レイアウトで細かい文字の資料の場合は、拡大縮小の頻度が多いので、dマガジンの方式の方が優れていると言える。

 Kindle Readerに登録できるKindle Unlimitedの書籍も上限が10冊と決まっており、それ以上になると、登録済みの書籍を削除しなければならない。一度に10冊も同時に読むということはないと思われるが、読むためにいちいち登録して、読み終わったら削除しなければならないというのは結構面倒である。

 Kindleの場合でも、ブラウザ上で利用できるKindle Cloud Readerというサービスがあるのだが、困ったことに、Kindle Unlimitedの書籍はこのCloud Readerで読むことができないようである。これも自分の場合は大きなデメリットである。

 要するに、Kindle Unlimitedのサービスは、もともとが個別の電子書籍サービス由来であるところに「定額読み放題」というサービスを接ぎ木している形なので、後発の読み放題サービスの使い勝手がイマイチである上に、ラインナップも期待外れなので、倍以上高い金額を払って続ける意味が見いだせなかったというところである。

 更に、Kindle Unlimitedのサービスは、開始早々、当初の見通し以上に閲覧数が多く、それに応じた出版社への支払いが過大となって予算が不足した結果、人気本を中心に配信を突如一方的にやめたりした結果、契約した出版社から抗議を受けるという問題も発生しているとのことである。ビジネスとしても先行きが不透明でlimitedな状況になっているような現状では、とても継続的に契約しようという気にならなかったという次第である。


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