#385 サウナ万歳

2016/08/11

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 1年ほど前から、突如サウナに嵌ってしまっている。

 サウナと聞くと、あまり興味のない人にとっては、小さくてやたらと熱い部屋の中で汗をだらだら流すばかりで何が気持ちよいのか、というイメージではないだろうか。サウナの隣には水風呂があったりするが、こちらも単なる拷問か何かの罰ゲームのためのものだと思っていたりするのではないだろうか。私も少し前までその程度のイメージしか持っていなかった。

 しかしある時、サウナ室に限界まで入ったあと、意を決して水風呂に入ってみると、火照った体が急速に冷やされる感覚が大変に気持ちよく感じられたのである。更にしばらく入ってじっとしていると、心が穏やかになる瞑想状態のようなものが感じられるようになったのである。

 そうやってサウナ室と水風呂を適当に往復してから、椅子に腰掛けて休んでいると、今度は手足がしびれるような感覚とともに、意識が薄れるような恍惚とした感覚がやってきたのである。このあたり、文字にしてみてもちっとも伝わらず逆に書いてて恥ずかしいような感じではあるが、要するに大変気分が良くなるのである。

 サウナには自律神経の整調とか、血行促進とか、暑さ寒さへの耐性増進とか、医学的にもいろいろと良い効果があると言われていたりもする。ちなみに体重も一時的には減るのでダイエット方面の効果もあるように見えるが、これは単に水分を汗として排出するだけであるから、長期的なダイエット効果は期待しない方がいい。ただし、飲み会などで食べすぎ飲み過ぎにより短期的に増えてしまった体重を一気に元に戻すには効果がある。もちろん、体から急速に水分が失われるので、水分補給も忘れないようにしなければいけない。

 ともかくそんなわけで、最近では週末になるたびに、近くの銭湯に通っては、湯船もそこそこに、サウナ室と水風呂を往復するというようなことをやっている。数百円の入浴料で2時間くらいはそうやって過ごしていられるので、ストレス解消を兼ねたお手軽なレジャーとして楽しんでいる。

 ただし、サウナ室というのは極端な高温多湿であるため、携帯電話などの電子機器には最も過酷な環境である。もちろん私としても、瞑想や恍惚の空間にそんなものを持ち込みたいとは思っていないのだが、何かあった時の連絡用の携帯電話を持たされている立場としては、緊急の連絡がなかったかどうか、サウナと水風呂を往復するたびに、ロッカー室に戻っては置いてきた携帯電話を確認するというようなことをやっている。因果なことではあるが仕方がない。とは言え面倒なので、携帯の着信だけをBluetoothか何かで信号を飛ばして通知してくれるような、防水かつ耐熱性を備えたリストバンドか何かがないだろうかとも思う。

 日本のサウナ室にはテレビがしつらえてある場合が多い。ただ単に熱い部屋で篭っているのは退屈だからという配慮かも知れないが、雑念を捨てて瞑想に耽りたいと思っている人にとっては邪魔なものかも知れない。もちろん、そのテレビ自体は、熱で壊れないように、耐熱ケースの奥に鎮座していたりするのであるが。

 私は普段からあまりテレビは見ないので、サウナ室にテレビがあったとしてもまあBGMくらいにとらえている。と言いつつ点いていればやはりついつい見てしまうから、テレビというのは恐ろしい。実際のところサウナの醍醐味は、サウナ室で熱せられている時よりも、そのあとの水風呂や休憩時に得られる瞑想状態や恍惚感であるから、退屈しのぎにテレビがついているのはそれはそれでアリである。

 そういった様々な御託はともかくとして、サウナや水風呂を敬遠してきた方には、是非一度自分の体で試していただいて、他では体験できない恍惚感を味わっていただきたいものである。


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