#383 ネットで確定申告書を作成

2016/06/12

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 ふるさと納税で実際に税の控除を受けるためには、寄附金控除の申請を行わなければならない。具体的には、翌年の3月15日までの間に確定申告をして、寄附した金額についての税控除を申請する必要がある。この辺の手続きが煩雑でよくわからないので、ふるさと納税の利用に二の足を踏む場合もあるのかも知れない。

 サラリーマンの場合、給与所得控除の額は収入に応じてあらかじめ決められており、基本的に所得税は毎月の給与から天引きされる。各種保険料に関する控除についても、勤め先を通じて年末調整しておけば、所得税が年末に調整されるといった具合なので、わざわざ税務署に確定申告に行くケースは少ない。

 サラリーマンが確定申告をする場合としては、医療費や住宅ローンなどにより控除を申請し還付を求めるケースが多いと思われる。ふるさと納税による寄附金の控除の場合もこれに相当する。

 確定申告に必要なのは、サラリーマンの場合は1月末くらいに職場から渡される源泉徴収票である。ここには、あなたの一年間の収入と、それに対する基礎控除や扶養控除や社会保険料控除、年末調整で申請した保険料控除と、その結果としての(すでに支払った)前年度の所得税の額が記載されている。

 確定申告を行う場合は、確定申告書にこれらの金額を記載した上で、更に控除の対象となる医療費や寄附金などの情報を記載し、納めるべき所得税の額を計算しなおして、その差額を還付してもらうことになる。(給与所得以外の所得がある場合は、申告し新たに税金を納める必要がある場合もある。)

 と言っても最近は、Webフォームに情報を入力すれば、面倒な所得税の計算も自動でやってくれるページを国税庁が用意してくれている。これを使えば税務署に提出できる形の確定申告書ができあがる上に、必要な書類のチェックシートなども用意してくれる。あとはこのできあがった確定申告書を、必要な添付書類一式とともに、最寄の税務署に提出もしくは郵送するだけである。

 確定申告は基本的に、翌年の2月15日から3月15日の間に行うことになっており、その間は税務署も混雑していて大変だったりするのだが、還付申告(税金が戻ってくる確定申告)の場合は、2月15日以前から受付してくれているので、源泉徴収票さえ手に入ればすぐに申告が可能である。早めに行った方が税務署も空いているし、早く手続きしてくれるので所得税の還付も早い。

 住民税については、こうやって確定申告を行ったあと、5月ごろに住民税の特別徴収(天引き)の決定通知書というのが届く。住民税は前年の収入や所得税額に応じて当年度に徴収されるものなので、ふるさと納税を行った場合は、申告により6月以降の住民税が軽減されるという形になる。

 なお、ふるさと納税については、2015年4月1日の税制改正により、年間に5自治体までの寄附であれば、確定申告が不要となる「ワンストップ特例制度」というものがスタートしている。ただし条件がいろいろあるし、確定申告に代わる申請書を身分証明書の写しなどとともに、その都度寄附先自治体に郵送しなければならないので、申告書を一度作って出せばいいだけの確定申告の方が楽にできる場合もある。

 所得税というのは、年間の所得に対してかかるものであるが、扶養家族が多いとか保険金や医療費が多くかかったとか、株で損が出たとか、住宅を買ってお金が出て行って大変だとか、災害に遭って損害が出たとか、そういったものに対して「税金を安くしてあげましょう」という仕組みがあれこれ用意されているものである。確定申告を一度自分でやってみると、所得税や各種控除の仕組みが大変よくわかるので、ふるさと納税などを利用する際は、是非一度自分で確定申告に挑戦することをお勧めしたい。


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