#367 家を買う(資金移動編)

2015/02/09

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 家を買う決心をして、近隣の戸建物件をあれこれ物色した結果、結局第一候補となったのは、家探しを始めた最初の頃にインターネットで見つけた物件であった。現在の家から歩いて5分そこそこのところにあるので、駅や学校までの距離もほとんど変わることなく、車通りも多くなく、水害リスクのある低い土地でもなく、長期優良住宅の認定を受けているということなので、ある程度建物の耐震性や耐久性もあると思われる。広さも今の家の1.5倍以上あり、家族3人で住むには十分そうである。

 見つけた当時はまだ未完成物件で、とりあえず不動産屋から資料だけ取り寄せたものの、その後こちらもなかなか時間が取れずぐずぐずしているうちに完成し、内見できる状態になったので、時間を作って家族で見に行くことにした。幸いにして、完成した段階でもまだ4軒が売れ残っており、こちらが交渉する前に価格改定(平たく言えば値下げ)してくれたのも幸いであった。

 内見する前は、単純に広さや間取りなどから、4軒のうちから選ぶとしたらこれかな、などと思っていたが、実際に家族とともに4軒まとめて内見させてもらうと、隣家との位置関係とか見通しとかがそれぞれ微妙に異なり、机上で間取りを見て決めた優先順位とは全然異なる結果となったので、やはり現地で完成物件を見なければわからない部分もいろいろあるものである。

 ともあれ、実際に住むことになれば私よりもはるかに多くの時間を過ごすことになる妻も子供も、すっかり気に入った様子だったので、詳細な図面などをもらって細部の検討をした上で、内見後二日で購入を決心し、一週間後に改めて不動産屋に申し込みに行った。ここ2ヶ月ほど動きがなかった物件なのに、値下げ直後だったせいか、我々が内見した直後に1軒売約となり、申し込み・契約した後、1週間ほどで残りも完売してしまったようだったので、ギリギリセーフと言った感じであった。

 そんなわけで、仕事を始めてから二十年余り、こつこつと貯めてきたお金をどーんとマイホーム購入につぎ込むことにしたわけだが、これらのお金は複数の銀行に分散して預けてあるので、決済日までに決済口座に集めなければならない。最近は詐欺なども増えているせいか、たとえ自分の預金であっても一度に多額の預金を右から左にとは行かなくなっている

 私の持っている銀行口座の中には、所謂ネットバンクもある。これらは実際のお金の引き出しはゆうちょやコンビニなどの提携ATMを使うことになるが、一日や一回の引き出し限度額が決まっていたり、時間帯や利用回数によっては手数料がかかるものもある。振込みに関しても同様であるが、数件の振込みであれば、他行への振込みでも手数料がかからない銀行もある。

 口座を持っているそれぞれの銀行のATMや振込みの利用条件や手数料を睨みながら、ログインして適宜限度額の緩和を行い、あちらの口座からこちらの口座へと時間をかけて資金を移動していく。窓口での手続きは時間もかかるし、あれこれ聞かれるのも面倒だし、一瞬であっても大金を持って歩くのは恐いので、職場の近くのATMでお金を引き出しては別の口座に入れるということを繰り返し、そこから決済口座への振込みを何回かに分けて行う。あんまりたくさん引き出してしまって残額が減ると、翌月の振込手数料無料などの特典がなくなってしまうので、その辺も考慮しながら残額を調整しつつ資金を移動していく。

 そうして2週間くらいかけて、手数料を1円も使わずに、必要な金額を決済口座に移動し終えた。決済が終わるまでは、不正ログインなどでお金を抜かれやしないかとどきどきしながら、毎日ログインして残額を確認したりもしたが、幸いそんなこともなく決済日を迎え、無事に指定の口座に残額を払い込み、引渡しを終えることができた。

 そんな具合で、めでたくマイホームをゲットしたわけだが、実際の引越しまでにはまだやることがいっぱいある。


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