#366 家を買う(情報収集編)

2015/01/10

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 現在の住まいは、会社からあてがわれた社宅である。今はわけあって、私だけ別居単身赴任している状況であるが、結婚して1年半後に移り住んで12年以上、地方への転勤などもなくずっとこの社宅で暮らしてきた。駅や学校からも近く、比較的新しい集合住宅で住みやすく、小学生の息子はそれこそ生まれてからずっとここで暮らしてきたわけである。しかし転勤族のサラリーマンである身の上、これからもこの社宅に住んでいられる保障はない。

 また、集合住宅というのはなかなかに隣近所に気を配らなければならない部分もあり、先日も息子が弾くピアノの音でお隣から苦言をもらったりしたそうで、より本格的にピアノをやるのであれば、その辺のことをもう少し気にしなくても済むような住環境にしてあげたいところでもある。またこれから先、息子も中学生くらいにもなれば、個室も欲しいということになるだろう。そんなわけで、今後のよりよい家族の生活のためにも、もう少し広い家を思い切って購入することにした次第である。

 今住んでいる町に妻も息子もすっかり馴染んでおり、それなりに人間関係もできていることから、なるべくその環境を変えたくないので、検討する物件は今の住まいの近く、できれば今の学校の学区内の戸建住宅というのが家族の希望である。そうなるとかなり選択肢は限られる。

 現在は物件探しにおいても、インターネットでかなりの情報が得られる。「suumo」とか「HOME'S」とか「at home」とか、そういったサイトで、まず地域を限定し、そこでヒットした物件をいろいろと比較してみる。インターネットの情報では、正確な住所を表示していることはほとんどないが、地元の物件であれば、近隣の店舗や施設までの距離から類推し、物件周辺の写真とGoogleMapのストリートビューなどを見比べることで、かなり高い精度で場所を特定することができる。生活の便や周辺環境についても、12年も住んでいる町なので、場所さえ特定できればおおよそ想像することができる。

 最近は、固定資産税や相続税の算定のために土地の価格を評価した「路線価図」の情報もインターネットで参照できる。物件の近くの路線価や公示地価を調べることで、土地や建物の広さと価格を比較して、どこが高いのか安いのか、物件の価格が割高か割安かということもなんとなくわかってくる。

 周辺の災害リスクなどもおさえておきたい。自治体のホームページには、管轄区域における水害や地震に関する危険度調査の結果が公表されている。自然現象は避けられないものではあるけれど、それに伴う既知の災害のリスクは、なるべくなら低いところを選んでおきたい。災害はなくとも、例えば水害リスクの高いところは、もともと川筋だったりして、地盤が軟弱な場合も多いことから、忌避すべきところではある。

 建物についても、特に耐震性については気を配りたいところである。そういう意味では、リフォームされて安く売られていたとしても、あまりに築年数がたっている中古物件は避けたいところである。過去の地震被害などを踏まえ、建築基準法における耐震基準はどんどん厳しいものになっていることから、これらの基準が甘かった時代に建てられた住宅は、現在の基準に照らすと耐震性に劣る可能性はままある。その他、防音性能や保温性能、省エネ性能や劣化対策、換気性能など、気にすべきことはいろいろある。

 家探しというのは、こうした立地や建物に関する様々な条件を考え合わせなければならないわけだが、結局のところそれぞれの物件は一つ一つ違うものであり、長所もあれば短所もあるので、何を譲って何を優先するかという「割り切り」も必要なのだと思う。とことん理想を追い求めるのであれば、条件にあった土地を見つけ、そこに注文住宅を建てるというというのも選択肢だし、実際に住宅展示場でハウスメーカーの話を聞いたりもしたが、時間と費用と根気のいる作業になることが予想される上に、完成し居住して初めて、想定していなかった不自由や不具合が露呈する可能性もある。

 いずれにせよ人生最大の買い物、マイホームゲットまでの道のりはまだ長い。


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