#352 スマホと遊ぶ(通話編)

2013/11/25

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 中古で購入したAndroidスマホをMVNOで運用する場合、通話機能だけは標準でサービスされていないので工夫が必要になる。

 最近では若い人たちを中心にLINEなどが幅をきかせており、加入者どうしであれば音声通話も無料でできるようであるが、これらのサービスは相手も加入していることが前提であり、誰とでも通話ができるわけではない。

 これとは別に、インターネットを経由した接続方式(Voice over Internet Protocol:VoIP)により、通話できる環境を提供するサービスもある。契約すると050から始まる番号を付与してくれ、固定費や通話料を比較的安価に提供してくれる。NTTコミュニケーションズが提供している050plusというサービスでは、基本料月額315円で、固定電話への通話料は8.4円/3分、携帯電話への通話料は16.8円/分。ケイ・オプティが提供しているLaLa Callというサービスでは、基本料月額100円で、固定電話への通話料は8.4円/3分、携帯電話への通話料は18.9円/分。また、フュージョン・コミュニケーションズが提供しているFUSION IP-Phoneというサービスの場合は、基本料はかからず、通話料は一律8.4円/30秒である。いずれも、携帯電話キャリアによる通話料に比べると通話料は安い。

 私の場合は、これまでWillcomを利用してきたものの、実際の通話は妻とたまに連絡するくらいでほとんどないため、電話としてのサービスは、いざという時に使えればいいという程度の利用頻度である。ということで、月額基本料も不要なFUSION IP-Phoneのサービスで契約することにした。引き落としのためのクレジットカードなどを用意すれば、Webで簡単に契約できる。

 実際にサービスを利用するためには、SIP(Session Initiation Protocol)を利用するためのアプリを導入する必要がある。これらについては、各サービスが提供しているもののほか、無料の汎用アプリがいくつかある。導入して必要な設定をし、起動してダイヤルすると、若干遅延がかかったりする場合もあるようだが、200kbpsの通信速度でも特に問題なく通話できてしまう。電話帳なども、Googleに登録した連絡先から引いてきてくれるので、携帯電話とほとんど遜色ない使い勝手である。

 ところで、スマホをMVNOで運用する場合、機種にもよるのだが、電話は使えないにもかかわらず、MVNOが接続している電話網に接続しようとするため、電池の消費が早くなるという問題がしばしば起こるらしい。これをセルスタンバイ問題というようで、折角安上がりにスマホを運用しようと思っても、バッテリーの持ち時間が犠牲となってしまう。

 しかし、FUSION IP-Phoneのサービスは、万一スマホが電池切れや圏外などで通話できなくても、通話があったことをメール通知してくれたり、別の電話に転送してくれたりするサービスが無料で提供されている。このため、使っていない時はスマホを機内モードにするなどして通信によるバッテリ消耗を抑え、使う時だけ接続するというような形にすれば、バッテリーを節約しつつ運用することも可能である。また、SMSのサービスを付加しているMVNOを利用すれば、セルスタンバイ問題はほとんど発生しないという報告もある。

 私の場合は、(さびしいことではあるが)電話の利用頻度が少ないので、このくらいでも十分であるが、たとえば固定電話にかける用事が多い人なら固定電話向けの料金が安い050plusを選択するとか、特定のキャリアに契約している人との通話が多い人は、そのキャリアの加入者同士の無料通話サービスを使えばいい。ともかく、携帯電話キャリア以外の選択肢も含めて、自分の利用形態に合った割安なネットや通話サービスが提供されるようになってきていることは、認識しておいて損はないだろう。


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