#332 岳父のPCを更新(後編)

2012/04/04

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 岳父のPCや光回線開通のために必要なものを準備して、回線工事を待つだけとなったのが前回までの話。

 光回線開通のための手続きと電話での調整は岳父にかわって私が担当し、回線工事は私も立ち会うことにした。予約していた日曜日の朝に工事担当の人が来て、近くの電柱から回線を引き込み、家の中の電話口に終端装置を取り付けるまで、二人がかりで1時間以上かけて作業する姿を黙々と眺める。工事費は通常価格だと28740円かかるらしいが、確かにそれだけの作業ではあるかも知れない。これだけの工事を、キャンペーン中ということで、2100円でやってくれたので、確かにお得感はある。

 終端装置から伸びているLANケーブルは、あらかじめ用意しておいた無線LANルータに接続し、購入したノートパソコンとは無線LANで接続することにした。最近は無線LANの接続も楽になっており、PC側でセットアップ用のプログラムを起動し、ルータ側のボタンを押すだけで、自動的に認識し接続してしまう。こうして無事にノートPCを引き渡し、光ファイバーの高速インターネット環境が完成した。

 さてあとは、古いPCからのデータの退避と新しいPCへの移行である。しかしながら、古いデスクトップPCの方は外部記憶装置と言えばフロッピーディスクと、拡張接続したSCSIボードに繋がった外付けHDDくらいしかなく、一方でいまどきのノートパソコンにはフロッピードライブなどついてはいないし、SCSIなどという規格も今や使われていない。

 仕方がないので、とりあえず古いPCからとりあえず必要なデータファイルをメールに添付して送り、新しいPCの側でメールとして受け取るという迂遠なことをやる。このときも、古いメールソフトが日本語のファイル名に対応していなくて、いちいち名前を変えて送らないとならないという面倒なことをしなくてはならなかった。

 なんとかして古いPCの全データを退避し新しいPCに送り込むことはできないだろうか。いろいろ考えた結果、使わなくなって久しいMOドライブが自宅に捨てずに置いてあったことを思い出す。このMOも基本的にSCSI接続なのだが、SCSIをUSBに変換する妙なコネクタもなぜか持っている。古いPCの中身をSCSI接続したMOに一端コピーし、しかるのちにSCSI-USB変換コネクタを介して新しいPCに接続すれば、どうにかデータを移すことができるはずだ。

 必要な装置とメディアを用意して、別の日に岳父の家を訪れて退避作業を行う。古いPCはHDDの容量も1Gbyteにも満たないので、640MbyteのMOが2枚あれば足りる。途中何度もコピーエラーが発生したりして難渋したが、なんとか全データを退避して、新PCに移すことに成功した。

 最後に、古いPCに入っているデータは、機密漏洩防止のためにも、完全にデータ消去しておきたい。これには、やや古いソフトであるが、destroy.comというソフトを使う(正確にはこれをNEC PC9801版に移植した98DSTR.comを使う)。このプログラムを入れた起動用FDから古いPCを立ち上げ、NSA(米国国家安全保償局)の勧告に準拠した消去(ランダムなデータや0データを全セクタに計3回書き込む)を選んで、中身を完全に消去する。データを消去したPCを起動して、システムが立ち上がらないことを確認。あとはリサイクル法に則った方法で処分してもらうだけである。

 その後はとりあえず順調に動いているようであるが、どうも古いソフトとの相性がよくないせいか、時々ハングアップしてしまうことがあるようで、その都度、時間のある時に出向いては、システムの点検や復旧に勤しんでいたりする。

 他人のPC購入からセットアップ、ネット接続、データ移行に旧PCの処分、その後のフォローと言った作業は、煩雑には違いないけれども苦にはならない。なんだかんだ言って自分は、PCそのものが(そしてそれに伴う様々な作業が)好きなんだろうなと思う。


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