#305 なぜ私はiPhoneを買わないのか(前編)

2010/01/25

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 日本でも2年前に鳴り物入りで販売開始されたiPhone。日本では発売当初は、騒がれているほと実際には売れていなかったようだが、昨年、より機能強化された3GSが販売されるようになり、最近はかなりの勢いで売れていると聞く。実際、通勤途上でもiPhoneを持っている人を結構見かけるようになった。

 ユーザーが多くなればそれだけ使えるアプリケーション(アプリ)も増えてくる。いろいろなアプリが世界中で作られ、AppStoreを通じて販売されている。それなりに高いものもあるが、無料あるいは100円ちょっとという金額で買って使えるものもあり、導入するのもiPhone一つで簡単にできるので便利である。今年に入ってから、全世界での総ダウンロード数が30億を越えたというのだから、驚きである。

 PCの世界で、有志の作ったアプリケーションを「シェアウェア」という形で、利用者にいくばくかのお金を払ってもらうという仕組みにしているものは以前からあったが、支払いの手続きが面倒だったり、販路が限定的だったり、設定金額が高かったりして、いまひとつ有効に機能しているとは言えない部分も多い。iPhoneの場合は、AppStoreのような仕組みがあることで、ユーザーの裾野が広がり、単価が低くても十分な収益が得られ、アプリ作者にも十分なリターンが確保できる。こうしたアプリケーションの流通経路を確立し、利用者にもアプリ作者にも双方に益のある仕組みを作ったことは、AppStoreの大きな功績であろう。

 また、インストールされたアプリは、基本的に画面をタッチするというインターフェイスなので、直感的で使いやすい。なんとなく触っていると使えてしまうので、ゲームなど機能が単純なものであれば、英語版のアプリであっても使うのにほとんど問題はない。

 Appleのページには、こうしたiPhoneの機能を紹介するページがあるのだが、5歳になる私の息子は、ここのページにあるビデオクリップを見るのが大変好きである。かっこいい英語の歌に合わせていろんなアクション系ゲームをして楽しんでいるような映像は、子供心にも面白く見えるらしい。5歳の子供をも虜にしてしまうのだから、面白くないわけはない。

 そう、iPhoneは面白いに決まっている。また実際にゲームに限らず、住所録やスケジュールなどの個人情報の管理や、Webの閲覧やメールの送受信、各種PCファイルの閲覧や再生、地図や天気情報や交通情報や株価情報の入手など、およそPCでできるようなことはこの小さい端末ですべてできるわけで「こんなに小さいのにこんなに高機能」という私のツボにはまった機械なのである。

 しかし私はiPhoneを持っていない、というより、買わないと心に決めている。なぜだろう。

 現実的な問題として、私は妻とともにwillcomを使っており、乗り換えるには結構なコストがかかるということがある。私が私用の携帯電話を持ってなかった時期に、妻が携帯を新たに買うにあたり、キャリア選定の段階で「softbankは個人情報の漏洩などがあったから嫌」という理由で真っ先に除外され、電磁波レベルが弱く体に優しいという積極的理由から、いまや唯一のPHSキャリアとなったWillcomを選んだのであった。やがて私も私用携帯電話を持つことになり、キャリアを合わせた方がお得な料金プランになることと、スマートフォンの先駆けであるW-ZERO3が使えるということで、アドエスを使っている次第である。妻はキャリアを変えるつもりはないだろうし、私だけがキャリアを変えてsoftbankにすると、月々の通信料が跳ね上がることになるのは間違いない。

 まあこれはあまり本質的なことではないし、携帯電話として乗り換えるのが嫌なら電話機能のないiPod Touchを選べば利用にあたり月々のコストは特にかからない。iPod Touchだと通信は無線LANに限られるので、自宅にも職場にも無線LAN環境がない私にとっては通信できる環境が非常に限られて魅力が半減するということになるが。(つづく


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