#301 pomera大活躍(前編)

2009/09/27

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 以前にも書いたが、何かの会議のメモや議事録を作る必要に迫られた時に、トータルの作業効率を考えて一番良いのは、ノートパソコンなどを持ち込んで発言要旨をその場で記録する方法である。すでに文書のほとんどがPCで作られ電子化されている昨今では、結局最終成果物にするためにどこかで電子化する作業が必要なわけで、それならば会議をやっている場所で電子化するのがタイムラグも少なく一番確実であるし、全体の作業時間の短縮にもなる。

 しかしながら、ノートパソコンの場合はどうしても電池の持ちが気になるし、どんなに小さくても重量は1kgくらいはある。最近はそれより小さいタブレットPCやウルトラモバイルPCと言われるようなものもあるが、そこまで小さいと、今度はキーボードが小さくなり、文字入力そのものにやや難渋してしまう

 そういった意味では、かつて愛用していた携帯端末HP200LXや、現在愛用しているアドエスも、文字入力に関しては、タッチタイプによる高速入力ができない以上、パソコンのキーボードからの入力に比べれば、非効率的であることに変わりはない

 そんなわけで、出先でバッテリ残量など余計な心配をせず、快適にテキストが入力できる、かさばらない道具というのはなかなかなかったのであるが、そのような道具として忽然と現れたのが、文具メーカーのKING JIMが開発したpomeraである。

 pomeraは、畳んだときの大きさは厚めの文庫本と同じくらいで、重さは370g。HP200LXに比べれば重いが、ノートパソコンに比べれば非常に持ち運びやすい大きさである。重さの分だけ作りはしっかりしているようで、メーカーによれば75cmの高さから落下させても壊れないとのことである。

 液晶ディスプレイ部を開き、左側脇のボタンを押すと、2つに折り畳まれたキーボードが開いて、本体のほぼ倍の幅のキーボードが現れる。キーピッチは17mmで、6段の日本語キーボード。キーストロークは浅く、強すぎず弱すぎず、打鍵音も静かである。日本語変換にはATOKを採用しており、パソコン版に比べると語彙はやや少ないものの、学習機能もちゃんとあるようである。

 ディスプレイは4インチのモノクロ4階調のもので、バックライトなどはないものの、視認性は非常に良い。表示については、フォントの大きさは小(24dot)中(32dot)大(48dot)の3種類から選べるほか、白地に黒文字または黒地に白文字、行間の小中大などが設定できる。

 扱えるファイルはテキストファイル(拡張子が.TXTのもの)のみで、本体には合計わずか100Kbyte程度の文書しか入れられず、しかも1つのファイルの中の文字数は約8000文字までという制限がある。最大2GbyteまでのmicroSDを挿入することができ、そちらに保存することもできるが、1ファイルの最大容量の制限は同じである。どうもこの制限は、テキストの快適な編集を担保するために設けられた制限のようである。

 テキスト編集自体は、検索や置換、切り取り、コピー、ペースト、ジャンプ、アンドゥなどの基本的な機能はあるが、検索や置換は正規表現が使えなかったり、行番号ジャンプはできても行番号表示機能がなかったり、アンドゥも直前の1回しかできないなど、Windowsのメモ帳程度の機能しかない。

 パソコンとの連携は、先に述べたmicroSDを使ってコピーするか、miniBコネクタのUSBケーブルを介してパソコンと接続し、パソコンのドライブとして認識させることが可能である。

 そして、テキストファイルを編集すること以外には、ほとんど何の機能もない。メールを送受信したりとか、Web閲覧とか、ゲームだとか、そういった付加的な機能は一切ついていない

 このように、いろいろと制限のある仕様ではあるが、起動は2秒で、電源を切って終了したあとも元の文書をそのまま保持し、単4電池で20時間駆動し、動作も比較的軽快であるという、キーボードを使ったテキスト作成ツールとして絶対に譲れない条件は譲らず、それ以外の余計な機能は敢えてそぎ落とした、非常にストイックな作りになっている。(つづく)


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