#299 スマートフォンと遊ぶ(模倣編)

2009/07/28

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 大容量のメモリカードを装備することによって、PC上のファイルを数多く保存し、必要に応じてそれらを参照したり編集したり、あるいは画像や動画や音楽ファイルを楽しんだりするなどができたり、はたまたネットワーク経由でメールを送受信したりWebを覗くことができるなど、スマートフォンは非常に使いでのあるツールである。ずっと愛用していたものの生産中止となってしまい、壊さないように気をつけながら使い続けていた携帯端末のHP200LXは、私の場合、その役割をほぼ完全にアドエスに譲ったような形になった。

 ただ、HP200LXにあってアドエスにないもの、それがコマンドラインシェルとその上で使えるツール類である。もともと私はここにも何度か書いたように、PCのほとんどがMS-DOSで動いていた頃からテキストファイルを軸にしてデータを収集保存してきている。LXも基本的にMS-DOSで動いており、UNIXもどきではありながら、テキスト処理に使えるgrepやsedやawkやPerlなどのツールが使えたので、PCと共通で使える様々なスクリプトを作ってはこまごまとした仕事を簡単にすませるようにしていた。しかし、WindowsMobileは基本的にMS-DOSとは違うものなので、そういったツールがそのままでは使えない。

 調べたところ、WindowsMobileに対応したPerlはあるようなので、そちらをインストールしてみることにした。適当なスクリプトを書いて動かしてみたところ、確かにPerlとして動作しているようである。

 ただし、コマンドラインが使えるわけでなく、またコンソール画面があるわけではないので、利用に関してはやや変則的になる。具体的には、作ったPerlのスクリプトは関連付けでもってPerlで起動するように設定しなくてはならない。コマンドラインで指定するパラメータがある場合には、ショートカットにしてあらかじめパラメータを固定して指定しておかなくてはならない。更に、実行するとWindowが現れて実行結果を表示するほか、ルートにperl-stdout.txtやperl-stderr.txtという形のテキストファイルによって出力される。

 更に、コマンドラインで指定するファイルのパスに日本語が含まれているとうまく引けないなどの制限もあるようだ。アドエスの場合、外付けのmicroSDカードには、そのものずばり「microSDカード」という名前でマウントされているため、このままだとmicroSDカードの中にあるファイルは引数指定できなくなってしまう。これに関しては、レジストリを操作して、マウントされる名前を「microSD」に変更して回避することができた。しかし、実行結果を示す画面で日本語を表示できない問題は解決していない。

 いろいろ制限はあるものの、とりあえず動くことは動くので、このPerlを使って、昔から連綿と使い続けている簡易出納計算ツールをアドエス用に移植し、キーボードショートカットですぐに実行できるようにしている。今まで使用してきたテキストベースの出納記録をそのまま使い、いつでも財布の中身を計算できる環境は、これによりどうにか実現することができた。出納記録の原本がアドエス内にあるので、使ったその場で記録ができ、すぐに確認できるのは今まで以上に便利である。

 このほか、WindowsMobile上でDOSプロンプトの環境を手っ取り早く実現するものとして、DOS窓Openというソフトもある。起動するとDOSプロンプトが表示され、簡単なDOSコマンドやUNIXもどきのコマンドは実行できるようになっている。パスの指定をダイアログからたどって指定できるようになっているなど、それなりに工夫されている。しかし、DOSとの互換性があるわけではないので、DOSの実行形式(EXE,COM)ファイルがそのまま動くわけではない。

 もっと一般的に、今まで使っていたDOS上のUNIXもどきツールが使える環境を構築できないものかと、いろいろ探してみたところ、WindowsMobile上で動くMS-DOSエミュレータが存在するようである。今のところ、そういったもののうち、PocketDOSというものを試用している。インストールしてみると、懐かしい真っ黒な画面にDOSプロンプトが起動する。autoexec.batなどでpath指定することで、path上の実行形式ファイルも、テキストベースのものなら問題なく実行できるようだ。ただ、これを起動させていると、なぜかCPU負荷率が100%から下がらないなど、常用するにはちょっと厳しいところもある。

 まだいろいろ実験途上のところもあるが、MS-DOS時代から苦労してパソコンを使ってきた私にとっては、このように自分好みの環境を少しずつ工夫しながら構築していくのも、忘れかけていた感覚が戻ってきたようで、これもまた楽しいのである。


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