#290 12年ぶりのFAX更新

2008/10/22

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 我が家にある家電のほとんどが結婚後に新規購入または更新されている中で、FAX機能つき電話機(以下FAX)はかなり昔から使い続けており、調べてみたら購入したのは1996年の夏であった。やることがそれほど複雑ではないし、いつまでも壊れないから更新する必要がなかっただけのことである。

 しかしながら、さすがに12年も使い続けるとあちこち具合が悪くなってくるのは仕方がない。ケーブルの被覆は破れて一部導線が剥き出しになるし、充電式の子機は充電池が劣化したせいか15分も話すと電池切れのアラームが鳴るようになるし、ハンドコピーを兼ねた読み取り部が本体からはずれているという旨を突然しゃべるようになるしで、そろそろ買い換えたらと妻に言われるようになってしまった。

 12年前に買った時には4万円以上もしたので、家庭用のFAXはなんとなく高いという気がしていたのだが、調べてみたら最近は廉価なものであれば1万円そこそこで買えるのであった。これなら買換えをためらうほどのものでもない。例によってWebでちょこちょこと調べて、通信販売でエイヤと新しいものを買ってしまう。

 ということで、12年ぶりに更新されたFAXは、値段もさることながら、本体の大きさも驚くほど小さくなっている。だいたい従来機の3分の1くらいにはなっているのではないだろうか。占有面積も小さいので周りにメモなどを置くスペースが十分取るのはありがたい。

 以前に買った時には、普通紙FAXは割高で業務用というイメージがあり、民生用廉価版のFAXは感熱ロール紙を使うものと相場が決まっていたものである。が、12年たった今では、すっかり状況が変わり、民生用廉価版のFAXであっても、感熱ロール紙を使うものはほとんどない。かつて普通紙FAXは印刷用普通紙をストックするスペースが必要な分、本体も大きくなりがちであったのだが、半導体メモリが圧倒的に安くなった今、少々の枚数であればFAXデータは本体のメモリに保存できるようになり、紙への印刷は必要な時に紙をセットして印刷するという方式になっている。

 もちろん、感熱ロール紙は時間がたつと色が薄くなったり、すぐに丸まったりして保存に向かないなど問題が多かったので、普通紙対応が可能であれば利用者としてもその方がありがたい。また副次的な機能として、数枚程度の書類であればコピーすることも可能である。消耗品のインクリボンがそれほど安くはないので、ランニングコストを考えると、コンビニでコピーするのとさほど変わらないのであるが。

 またこれも時代の流れであるが、12年前にFAXを購入したときには、通信事業が自由化されてNTT以外の電話会社が参入し、かける先によって割安な会社を自動的に選択するというLCRという機能がついていたものである。今では事業者の選択はマイラインという形で事前選択式になり、LCRの機能もその役目を終えている。そのかわり、一部業者で携帯電話への通話を割安にしているものがあり、その事業者の識別番号を自動的につけてからダイヤルする「携帯トクトク機能」という、かつてのLCRのような機能がついている。

 また回線もトーンかパルスといったもののほかに、最近では光電話とかADSLなどが加わっており、これらの回線の識別を自動で行う機能もついている。いずれにせよ、12年もたった今、この辺の通信事情の変化を1台のFAXに感じることができる。

 昔のFAXでは電話帳も親機で20件ほどしか登録できなかったが、新しいFAXでは100件まで登録できる。もっとも昨今の携帯電話などは1000件以上登録できるものもあるようで、携帯電話の機能強化がいかに先鋭化しているかがわかる。

 そのほか、特によくかける相手先3件は、ボタン一つでかけられる機能がついている。もっとも、4歳の息子がちょっといたずらするだけでかかってしまうので、ある意味危険であるが。

 12年前に比べれば、固定電話よりも携帯電話を、FAXよりも添付メールを使う方が多いご時世であるから、新しいFAXの出番も昔ほどにはないのであるが、それならそれで、また今後10年くらいは壊れずに使い続けていくことになるのかも知れない


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