#238 電波時計は動くか

2004/11/14

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 私の部屋には掛時計が1つかかっている。単3電池2本で動く、何の変哲もないクオーツ式の掛時計である。回りには腕時計や携帯電話の時計や、パソコンのデスクトップに貼り付けたデジタル時計もあるので、これがなければ時刻がわからないというものでもないのだが、やはり文字盤が見やすい時計が部屋にあると役に立つ。

 この時計が最近微妙に遅れるようになってきた。電池が切れかけたとかで盛大に違う時刻を指しているのであれば、おかしいと気が付くので実害は無いのだが、朝の忙しい時間に、身支度をしていてまだ余裕があると思ったら実際には数分時計が遅れていたというでのは結構なダメージになる。

 何度か電池を交換しても時計の遅れが改善されないので、これは時計そのものが壊れたものと判断し、新しい壁掛時計を買うことにしたのだが、せっかくなので今回は電波時計を買うことにした。

 電波時計とは、日本の標準時を知らせるJJYという長波信号を受信し、時刻を自動修正する機能を持つ時計である。長波信号は1999年から福島県のおおたかどや山の標準電波送信所から40kHzのものが発信されるようになり、2001年からは佐賀県はがね山の標準電波送信所からも60kHzでの発信が開始された。それぞれの基地局からの電波は半径1000kmくらいの範囲で受信可能なので、ほぼ日本全体でJJYを受信することが可能になった。市販の電波時計は、この長波JJYを受信して、都度時刻校正を行うものである。

 電波時計は、腕時計でも掛時計でも、最近では1万円を切るような値段で売っており、普通の時計に比べてそれほど高くない値段で購入できるようになった。デザイン性を別にすれば、時計の目的からして正確な時刻を刻むに越したことはない。というわけで、次に買う掛時計は電波時計にターゲットを絞って探すことにした。

 掛時計タイプの電波時計の場合だと、日付の表示があったり、温度計や湿度計までついているようなものがある。情報が多いのはありがたい気もするけど、一方で掛時計の場合は見やすいことが大事だとも思う。あれこれ表示されるデジタル型の掛時計は、結局肝心の時刻がわかりづらい気がしたので、最もシンプルな、アナログ型の時計にした。秋葉原の店頭でリユース品として販売されていたもので、2000円という価格に引かれたというのもある。

 取り扱い説明書によると、電池を入れてリセットをすると、針が自動的に0時0分0秒の位置に動き、そこからJJYの受信を開始するとある。数分待って、受信に成功すると、針がおもむろに正確な位置に動いて、以後正確な時を刻むが、失敗した場合はそこから時刻を刻み始める。その後のJJY受信はのべつ行っているわけではなく、通常は一日一回、深夜2時5分に行い、その際に受信に失敗した場合は、以後毎時5分に受信を試みる。時計の文字盤にはLEDが1つだけあり、毎正分時に受信の状態を示すようになっている。24時間以内に受信に成功していれば緑色に光り、それ以外の場合は赤色に光るということになっている。

 JJYも電波であるから、観測局からの距離や天候、地形によって受信状態に差があるようである。更に、部屋の中で使う掛時計の場合は、掛ける場所によっても受信状況が異なる。一番いいのは、送信局のある方角に面した窓側に掛けるのが良いとある。また、受信状態の変化により、その時成功しなくても、数日後に成功することもあるという。

 で、書かれたとおりの場所に設置し、何度か受信を試みたが、なかなかうまく受信しない。一度たまたま受信に成功した場面を目撃し、そのときは時計の針が正確な時刻のところまで動いてから時を刻み始めたので、それなりに感動したが、前の時計を掛けていた場所と同じところに掛けておいたところ、受信に成功しなくなってしまった。そもそも受信に失敗した時に赤く光るはずのLEDも光らない。

 受信状態が悪いのは立地条件のせいかも知れないが、LEDが光らないのは初期不良かも知れないということで、その後販売店にもっていって症状を話したところ、新しいものと取り替えてもらった。交換してもらった方は正しく受信するようで、今のところ毎日正確な時を刻んでいる。ただまあ、動いている分には、やはり何の変哲もない時計にしか見えないのであるが。


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