#218 ビデオカードを増設(後編)

2003/03/24

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 前回は、画面表示に関してどれだけのメモリが必要になってくるかというような話をしてきたが、では実際の所、積めるだけ多くのビデオメモリを用意すればそれだけ多色かつ大画面の表示ができるのかと言えば、そういうわけでもない。あたりまえのことだが、画面表示を行うモニタのハードウェア的な制限というものがある。

 近年はパソコンのモニタも、省エネルギーと省スペースの観点から、CRTから液晶ディスプレイに徐々に取って代わりつつある。実際、妻が長年使っているパソコンのモニタが先日具合が悪くなり、いい機会なので15インチの液晶ディスプレイに買い替えた。古いCRTディスプレイはそれだけで10kg以上の重さがあり、梱包するには、緩衝材なども含めて1メートル立方も嵩があろうかという箱が必要だったことに比べ、秋葉原の店頭で買った新しい液晶ディスプレイは片手で十分持って帰れる大きさ・重さであり、机の上に置くと、それまでCRTが占めていたスペースがまるまる空いて机が広々と使えるようになった。消費電力も低いし言う事なしである。

 思わず私のパソコンも買い換えようかと思ってしまうほどメリットの多い液晶ディスプレイであるが、結局そうはしなかった最大の理由、すなわち液晶ディスプレイの弱点こそが、最大解像度が低いという問題である。高解像度の液晶ディスプレイの製造にはまだまだ高度な技術とコストがかかるため、5万円以下の廉価で購入出来るクラスでは、なんとか1280×1024が表示できるという程度であり、それ以上表示可能なものとなると、値段がべらぼうに跳ね上がる。よって、現実的な予算で高解像度を求めるのであれば、まだまだ巨大なCRTに頼らざるを得ないのが現実である。

 現在出回っているビデオカードは最低でも32Mbyte程度はビデオメモリを積んでいるので、どんなに廉価なビデオカードでも、2D表示でビデオメモリが足りなくなるというケースはほとんど無いと言っていいだろう。2048×1536×32bitカラーが表示可能なCRTでも、12Mbyteあれば表現可能であるからだ。ビデオメモリの使い道とビデオカードの性能は、もっぱら3Dの表示に求められることになってしまう。のだが、つまるところ3D表示が重要になって来るのはほとんどが3Dゲームの世界であり、従ってパソコンを使う目的に3Dゲームというものがなければ、ビデオカードはあまり性能を希求しても仕方がないのかも知れない。

 ただまあ、だからと言ってあんまり安いカードでもいいのかと言うと、これまた相性の問題がどうのこうのとかいうこともあるらしいので、そのあたりの保険として、無難なところで安い方から3番目のビデオカードを買ってみた。

 ビデオカードの増設はなかなか緊張する。ほかのパーツであれば接続にあたって失敗や不具合があったとしても、画面に何がしかのメッセージが表示されるので、まだしも対策を立てやすいところがある。しかしビデオカードの場合は、何しろ画面表示を司る部品であるために、うまくいかないということは画面表示ができないということだから、どこが良くないのかという情報をほとんど得ることができなくなってしまう。実際、ボードを差し込んで起動してみたところ、最初は全く画面に何も表示されなかった。相性が悪かったか初期不良だったか、と一瞬青くなったが、何のことはない、ボードがきちんと奥まで刺さっていなかっただけだったということで、きちんと奥まで差し込んで(差し込んだときにものすごい音がしたのも別の意味であせったが)再起動したら、ちゃんと表示されて胸をなでおろした。

 ところで今回グラフィックカードを購入した直接のきっかけとなったのは、実はポストペットV3を使ってみたかったという理由だったりする。ポストペットというのはメーラにペット育成を組み合わせたツールであるが、このたび出たバージョン3は、ペットやペットの家が3D表示となり、表現力が相当アップしている。そのため、画面表示に関してはそれなりのスペックが要求されるのである。メーラにとって大事なのはメールの送受信・管理の機能であって、ペットの表示のために計算機資源が割かれるのは本末転倒であるというのは確かに正論なのであるが、ポストペットというのはまあそういうソフトなわけであるし、実際3Dのペットがちょこまか動き回る姿はかわいらしいのだから、まあ大目に見てください。


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