#206 パソコンのない日々

2002/09/25

<前目次次>


 そういう次第で、購入後わずか1年余りで調子が悪くなったパソコンを、迷った末にメーカーに送って修理を依頼することにした。机の上には、17インチのディスプレイはあるものの、その先のケーブルは本体から引き剥がされ、その他の周辺機器とともに、ケーブルをだらしなくぶら下げている。パソコンが修理されて戻ってくるまでの最低2週間は、自宅ではパソコンなしで過ごさなくてはならない。ADSLのネット常時接続の環境もないし、寂しい限りである。と言っても、使えなくなったのは自分のデスクトップパソコンだけで、日用のデータ処理に使っている現役のDOSノートパソコンや携帯端末は使えるわけだし、妻のデスクトップパソコンもあるし、いざとなれば職場のパソコンだって利用できないことはない。

 幸いにもこのページや劇団のページのコンテンツはバックアップを取ってあるので、パソコンがない間もページの更新は辛うじて可能である。普段使っているオーサリングソフトが使えないので、HTMLはテキストエディタで編集することになるが、類似のページをコピーして必要な部分を書き直す程度なので、大した手間ではない。オーサリングソフトの場合は、勝手にヘンテコなHTMLにしてしまうのを自作のツールで整形していたのだが、プレーンテキストの編集ならその必要もない。逆に、文章の構造を細部に至るまで読むことができるので、今まで見落としていたリンクミスなどを発見することもできたりして、メンテナンスのためにはかえってよかった。

 比較的難渋したのは画像の処理である。いつもはデジカメの画像をUSB接続のカードリーダで読み出していたのだが、こちらが使えるパソコンが他にない。仕方がないので、このカードリーダを導入する前に使用していたフラッシュパス(フロッピードライブを使って読み出すディスク型リーダ)を引っぱり出して、妻のパソコンにドライバを入れてなんとか読み出していた。

 ネットの方も、普段はダイヤル回線とモデムで接続している妻のパソコンに、一時的にADSLを接続して使用することにした。ただ、妻のパソコンはノーマルペンティアムなので、折角ADSLの環境にしても、Webの閲覧に関してはどうしてもパフォーマンスが上がらず、ダイヤルアップで接続しているのと体感的には変わらない程度の速度しか出ない。まあ、たとえ速くなくても時間を気にせず接続できるから、ダイヤルアップよりはましなのだけれど。

 メールに関して言えば、普段はプロバイダのWebメールを使っているので、アドレス帳や送受信メールなどはそのままホストに残っており、パソコンが違っても問題なく使える。アクセスできる場所と時間はやや制限されるが、普段のやりとりにはそれほど困らない。場所を選ばずメールを見ることがWebメールは、こういう時は本当に助かる。

 考えてみれば、入院させたデスクトップパソコンでいつもやってることと言ったらせいぜいそのくらいなので、よくよく考えると、パソコンがなかったからと言ってものすごく不便であるとかものすごく困ると言ったこともない。夜遅くまでだらだらとネットに接続することもなくなって早く寝るようになるし、パソコンがない方が健康で規則正しい生活のためには良いくらいである。

 そうこうしているうちに、ようやくメーカーから修理の見積の知らせが来た。修理に出したパソコンは、予想していた通りマザーボードが故障していた他、HDDも交換の必要があるとのことで、修理代は7万2千円と言われた。販売店の保証により、自己負担は3万円でいいそうだが、それだけあれば今よりも性能のいい新しいパソコンが丸ごと買えてしまうくらいである。なんだか馬鹿馬鹿しくなったのと、原因がはっきりしたのなら自分でパーツだけ購入して交換した方が安上がりだろうと考え、修理はキャンセルして、自分でパーツを交換して直してやろうという気になったのであった(続く)。


<前目次次>