#203 面白いぞカシミール3D

2002/08/17

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 夏休みシーズンを迎え、海や山に繰りだす人も多い季節である。私も、社会人になってからはそう機会がないが、学生の頃の夏休みは、合宿だとかでちょこちょこ山に登る機会も多かった。富士山頂剣が峰には二度行ったことがあるし、大学の友人と八ヶ岳赤岳山頂にも行った。そして雪の季節が来たら、スキーにも目がない私である。また、昔から鉄道に興味がある方でもあり、地理や地図も好きである。

 カシミール3Dは、そんな私にぴったりのソフトである。何をするソフトかと言うと、地図データをもとに様々な角度から地形を表示・解析するソフトである。詳しい紹介は後に述べるが、非常に高機能でありながら、ソフト本体はフリーで配布されている。機能が多くて全容をつかむのが難しい人には、全国20万分の1の地図、全国50mメッシュの地図、及び関東中部地域の5万分の1の地図のデータを同梱したCD-ROM付きの入門書が販売されている。私もそちらを購入した。

 添付されたCD-ROMの中のデータのほとんどは地図データであるので、すべてインストールするとそれこそCD-ROM丸々1枚分のディスク容量を消費することになる。もちろんインストールの際には地図データをインストールしないオプションもあるが、HDDの容量に余裕がある場合は、データも含めフルセットでインストールした方が快適に利用できる。地図データについては、添付のデータのみならずほかにも様々なデータフォーマットに対応しており、国内のみならず、海外の地図データや、火星の地図データまでも扱うことができるそうだ。

 基本的には、ジャンプの機能を使って見たい場所を入力し検索するのが一般的である。地名や山・湖の名前、駅名などから検索すれば、その周辺の地図を表示してくれる。地図は自由に拡大縮小ができるし、2点間の距離や矩形の面積などを簡単に求める事ができる。地図上のパスに沿った断面図なども出す事ができるので、例えば登山道の高度を調べるのに便利である。

 カシミール3Dの最大の醍醐味は、カシバードと呼ばれる三次元景観表示機能である。地点と方向、視野角、仰角、高度などを調整し、任意の位置からの景観図を作成する事ができる。景観図は、季節や時間なども調整することができ、例えば冬の早朝の朝日に照らされた山々や、夏の湖水に映った山々などの景観をシミュレートすることができる。山の名前なども表示されるので、360度のパノラマ図を作って、どんな山々が見えるのかを調べることもできる。更に、作成した景観は「カメラ」の機能を使って、仮想的に「写真」を作って残しておくことができる。被写界深度やカメラ(レンズ)の種類を変えることで、湖水に映った山々や、遠くに霞んで見える山々までもリアルに再現することができる。

 そのほか、ある山(例えば富士山)が見える地域の分布を調べることもできる。計算してみると、福島県から三重県にまで及ぶ広い範囲で富士山は見えることがわかる。全国のあちこちで「富士見」などという地名が存在するのは(もちろん一部は本物の富士山を指しているわけではないにしろ)、あながち誇張というわけでもないことがわかる。

 またある地点から別の地点の見通しを調べたり、谷にダム湖を作ったりといったこともできたりする。ポータブルなGPSを持っていれば、その軌跡を地図上に投影し解析することもできる。地図を上からただ見るだけでなく、様々な角度から解析したり、時には手を加えることができるというのは、大袈裟に言えばパソコンの中に日本列島を保存している感じである。鳥になった気分で、日本の国土を縦横に飛び回り、いろんな景色を見ていると、それだけで気分転換ができる。

 バージョンアップなども頻繁に行われており、ユーザー登録をするとそのお知らせなども届くようになっていて、アフターサポートもすばらしい。山歩きやスキーや鉄道や地図に興味のある人にはもちろん、そうでない人にもお勧めのソフトである。


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